白州森の家の紹介

本宅

2011年、重度の化学物質過敏症である妻が、身の置き場として建てた家です。
発症してから、日本各地を転地し、たどり着いたのが、山梨県白州の森の中にあるこの土地でした。腕利きの若い大工と出会い、自ら設計した図面で建築をお願いし、化学物質過敏症の人でも住める家として建てました。

目次

  • ロケーション
  • 気候
  • 周囲の環境
  • 土地
  • 建物
    土地境界から離れている | 国産地元の材木を使用する | ガルバニウム鋼板の屋根 | 有害物質を放出しない断熱材を使用 | 離れがある
  • 水源
  • 外部設備
    外電源 | 合併浄化槽 | プロパンステーション | 外水道 | 物置小屋 | テレビアンテナ | 物干し台 | 屋外用給湯器
  • 間取り
    玄関・入り口棚・調理収納・冷蔵庫室 | キッチン・トイレ・脱衣室 | 浴室 | 居間 | ロフト | 寝室 | ベランダ | 開口部 | 収納スペース
  • 屋内設備
    分電盤(ブレーカー) | コンセント | 白熱球電灯 | モニターケース | 電動シャッター | 蓄熱暖房機 | インターフォン | 居間のガス詮 | 電話回線 | 調理台・シンク
  • 癒しの家として

ロケーション

南アルプス甲斐駒ケ岳山麓の森の中にあります。日向山登山口が近くにあります。サントリー醸造所はこの山を水源とする水でウィスキーを作っているようです。

森は、ミズナラと赤松の混合林になっており、ここにたたずんでいると、サルや鹿の大群に遭遇することもまれではないです。動物たちは、ここの森の恵みにより、多くの恩恵をうけているようです。

白州花崗岩の沢

近くに何筋かの沢が流れており、浅くえぐられた川底は白い花崗岩の岩肌が露出しております。敷地のあちらこちらにあるこの花崗岩の石やザレは、この山から流れ落ちる尾白川の扇状地にあることを示しております。

白州森の家への道

森の家は、近くの集落まで1kmぐらいの距離にあり、舗装されていない悪路の先に建っております。

気候

雪化粧

日本の中で山梨県は一年を通して一番晴天率が高い県であるといわれております。白州は同じ山梨県中部地域ほどではないにしろ、天候に恵まれている地域だとおもいます。

家は、標高850mのところにあります。夏は甲府盆地の中よりは涼しいものの、30℃を超える日が何日かありますが、山谷風により、午後になると山から涼しい風が木々の隙間から吹き抜けてきます。冬は昼夜の寒暖差が大きく、12月から2月にかけては氷点下10℃ぐらいまで下がることもあります。但し、日中は晴れて日差しの暖かさを感じることが多いです。

冬型の気圧配置が強まると、八ヶ岳方面からの北西の風(八ヶ岳おろし)が吹き、ベランダに出していたものが飛ばされてしまうこともあります。

周囲の環境

鎮守の森

地元の人が曰く「この森は甲斐駒ケ岳神社の鎮守の森なので、神聖な所として大切に守られてきた。」ということです。

森はしばしば伐採が入り、所々空間ができています。地主が燃料用の薪を採取したり、きのこのほだ木用に使われたり、太陽光発電などに使われたりする目的の為であるようです。かつでは別荘地開発により、森が切り開かれてきたようですが、現在は、かつての好景気であったときのような状況ではなくなった為、別荘地もひっそりと静まり返っているような状況です。森の中に暮らす住民も、都会の喧騒を逃れ、ひっそりと静かな環境を好むような生活スタイルをしている人が多いようです。

土地

森の家外観

500坪ある土地は緩く北東から南西側に傾いております。元々、ミズナラと赤松の混合林を切り開いた所であり、建物は混合林の中に建っております。但し、東側と敷地の一部は昨年、一昨年に伐採が入りました。

建物

土地の測量図

土地境界から離れている

本宅は土地も真ん中にあり、床面積34平米の小さな家になっております。真ん中にあることで、外部からの出入りがある、プロパンや郵便ポスト、物置を敷地境界付近に配置することができ、音や匂いの脅威から多少逃れられるメリットがあるようです。

国産地元の材木を使用する

国産地元木材使用

木造平屋ですが、ロフトも利用できます。柱は杉で壁は赤松と漆喰で作られており、すべて自然乾燥された地元産無垢材と自然素材が使われております。ヒノキや唐松でもいいのですが、妻がこの材の匂いが気になるということで、このようになったようです。

ガルバニウム鋼板の屋根

屋根

屋根はガルバニウム鋼板で葺いております。塗料の塗りなおしが無く、耐久性にすぐれたものということです。但し、保温性や通気性にかけるため、断熱材を施してあります。

有害物質を放出しない断熱材を使用

天井・壁・床にパーフェクトバリアという断熱材を施してあります。この断熱材は、ペットボトルを回収して粉砕溶解し再繊維化した原料からつくられており、衣料・寝装用にも使用されるポリエステル繊維100%で作られています。有害物質を揮発することもなく、安価である為、シックハウス対応の建築に広く使われております。化学物質過敏症対策用資材としても認知されています。

パーフェクトバリア[ エンデバーハウス株式会社 ]

離れがある

離れ

入り口道路に面して、9平米ほどの小屋があります。無垢材とガルバニウムが使われておりますが、物置や来客用に使う目的で建てた為、ガス詮と簡易電灯だけのシンプルなつくりとなっております。また、道路上の電線より、光ケーブルを引くことも出来ます。親類や友人・知人が本宅に入れないとき、この小屋で面会していました。また、電気がきているので、本宅では使えない、冷蔵庫やパソコンなどの電化製品を使う目的としても活用できます。

水源

別荘分譲地でも、集落でもないので水は敷地内にて井戸を掘削して利用しています。。表流水の影響のない深さである地下80メートルより、接着剤等使わぬ工法でオールステンレス配管を通して汲み上げております。花崗岩扇状地下か染み出る水なので、軟水であり、うまみを感じるとてもおいしい水です。

外部設備

外電源

外電源

合併浄化槽のブロアーの電源、小屋(離れ)の電源はここから取っております。外電源があることで、屋外での電化製品の利用が可能になります。

合併浄化槽

ブロアー小屋

浄化槽は敷地の東側、境界線に沿って設置されております。本宅とは20mほど離れたところにブロアーが動いております。外電源で動いております。

プロパンステーション

井戸・プロパンステーション

道路側、本宅とは20メートル離れたところに設置してあります。これは、プロパン差し替え作業をやりやすくする為の者であり、業者との接触を避ける目的も含まれております。

外水道

外水道

家の中で洗濯機を回すと、音(低周波)が気になる人がいます。外であれば、幾らかそのことが軽減されます。特に、化学物質過敏症の方は、洗濯する回数が多いです。外水道の蛇口にホースをつなげ、本宅から距離を置くという使い方も考えられます。但し、冬は凍結してしまう為に、朝夕の水抜き弁の開閉と、露出した水道配管のカバーが必要となってきます。

物置小屋

物置

組み立て式のガルバニウム鋼板物置が4つ敷地、東側隣地境界に沿って建っております。ダンボールや紙類、缶、ビン、ペットボトル、不燃ごみなどのごみ置き場や、修理工具、捕集材、自動車タイヤなどの器具、宅配業者からの荷物の受け渡し用、などとして利用しておりました。また、本宅に入れるには匂いがきついものも、ここに保管していました。食料品(乾物)や電化機器などは、湿気や暖気がダイレクトに入るので格納するには注意が必要です。

テレビアンテナ

テレビアンテナ

地上波デジタル放送は、NHK総合・Eテレ・UTYの3チャンネルしか受信できません。しかも、確実に受信できるということではないです。アンテナの接続は居間とロフトにあります。

物干し台

物干し台

過敏症だと、洗濯物がおおいです。物干しはベランダ前に3,4セットは置くことができます。ベランダでも干せます。

屋外用給湯器

屋外用給湯器

給水管(給湯用と追い炊き用))・水抜き管・ガス管。凍結防止ヒータつき

間取り

間取り

玄関・入り口棚・調理収納・冷蔵庫室

玄関外
冷蔵庫室
玄関内

玄関を入った左右にあるスペースになる。右に電話の設置台、左スペースに調理用収納棚・冷蔵庫室があり、扉がついて閉きることができます。冷蔵庫室がこの位置にあるのは、常に作動している冷却機の音対策の為です。寝室から一番遠い位置に配置してあります。

キッチン・トイレ・脱衣室

キッチン
トイレ
脱衣所

水周りは北側にまとめて配置してあります。トイレは水洗です。冬季凍結防止ヒータがついております。脱衣室は洗面台・洗濯機置き場になっております。

浴室

浴室

タカラシステムバス。お風呂場の壁はホーロー、ステンレス浴槽 屋外用給湯器のせっとになっております。
ホーローは匂いがつきにくく、水で流すだけで汚れが落ち、保温性があり、施工に化学物質をあまり使わずに済むということで、過敏症の方には都合がいいそうです。浴槽も同じような理由でステンレスにしてあります。

ステンレス浴槽 エメロード[ タカラスタンダード]

居間

居間

夏は木々に囲まれているせいか、2面にある網戸にすれば涼しい風がはいってきます。ベランダにもすぐ出られます。冬は蓄熱暖房、或いはガス暖房を使って暖かく出来ます。木のはしごを上るとロフトにいくことができます。

ロフト

ロフト

寝室や第2の居間としても使えるほどの広さがあります。2面の窓と天窓がついているので、ロフトとはいえ開放的です。

寝室

寝室

天井がついている特に何も設備が備え付けてない空間となっております。その分、建物の中で一番静かな所です。ベランダにすぐ出られます。

ベランダ

物干しや簡易テーブルなどを出して、食事などに利用できます。シャッターを使えば、3面閉じた空間にもなります。

開口部

開口部

窓はアルミサッシになっております。森の中なので、虫除けに網戸がついております。また、日差しよけに、窓すべてにカーテンレールが設置されております。ロフトには、天窓もあります。星空観測用というよりも、換気目的としてつけてあります。

収納スペース

棚

本宅内にはいわゆる納戸はありません。すべて、前面が開放状態になっている、棚になっております。過敏症の方は、閉鎖空間に使用頻度が高いものを置くことを好まないので、このような造りになっております。

屋内設備

分電盤(ブレーカー)

分電盤

30A契約の電源を部屋ごと、以下のように設備ごとに区切って、電源を落とせるようにしてあります。

  • 西側電灯コンセント(居間)
  • 東側電灯コンセント(寝室)
  • 2階電灯コンセント(ロフト)
  • 屋外コンセント(ブロアー他)
  • 洗濯機
  • 井戸ポンプ
  • 電子レンジ(キッチン背面)
  • ベランダシャッター
  • 冷蔵庫

  (蓄熱暖房機用深夜電力)

コンセント

複数個所アースされています。

白熱球電灯

照明

LEDや蛍光灯の光は過敏症患者にとっては、厳しいようです。一番影響の少ない、アンペア数が少ない白熱球を使っております。漆喰壁の白と開口部からの外からの光により、弱い照明をカバーしております。但し、白熱球は今後製造されないということのようです。

モニターケース

テレビ台

簡易に電磁波シールドされた配線つきボックスの中に、テレビ・PCモニター等を入れて扉を閉じ操作するようになっております。機器からの電磁波の影響を軽減させるためのケースになっております。

電動シャッター

電動シャッター

光過敏症対策のために、 南側ベランダ につけました。開口部からの光を完全にシャットアウトする遮光窓とともに、このシャッターで外からの光の遮光を防ぐそうです。

蓄熱暖房機

蓄熱暖房

日本ではあまりなじみのない暖房機ですが、北米やヨーロッパです広く知れ渡っているものです。深夜電力を使って蓄熱用レンガを暖め、放熱するという方式のものです。二酸化炭素を放出しないクリーンであり、日中は放熱するだけにすれば、通電することも無く、昼の電力料金の節約にもなります。エアコンと違って、屋内の湿度を保てるというのも特徴の一つです。ここでは、ドイツのスティーベル社の酸化鉄を含む蓄熱レンガを使ったものなので、れんがは700℃まで熱せられ、冬でも、一日中、全館他の暖房は要らずに済ませることができます。居間の西側に設置してあるので、電磁波が気になる人は東側の寝室かロフトで睡眠することにすれば、影響は少なくて済みます。

蓄熱暖房機[日本スティーベル]

インターフォン

インターフォン

居間に設置してあります。敷地の入り口付近に呼び出し口があるので、外部の人とのやりとりは、20mほど離れた場所からできます。

居間のガス詮

居間にあるガス栓

ガス暖房機用です。電気配線を使うことが無いので、冬季など、停電のときは重宝します。蓄熱暖房の電磁波がだめの方でもガスは大丈夫という人は、これをメインの暖房として使用することも出来ます。5mホースをつなげば、キッチン、寝室、ロフトの暖房もカバーできます。

電話回線

玄関電話台

玄関口にあります。

調理台・シンク

調理台

材質はオールステンレスになっております。棚状になっておりますが、引き出し、扉はありません。これは、収納スペースの場合と同じ理由です。

癒しの家として

日本全国、化学物質過敏症(電磁波過敏症)で苦しんでいる人が、多数いると思われます。この病気は、普通に暮らせない、人と接触できない、コミュニケーションを絶たれてしまう病気のようです。重度になると、身内ですら、寄り添うことができず、孤独と戦いながら、日々乗り切らなければいけない、苦しい状況にあると思います。病気であれば、「医者にかかればいい。」と思いますが、そもそも、匂いや、電磁波に強く反応してしまうので、病院にも行けないのです。


 それでも、化学物質過敏症支援センターや、化学物質過敏症専門医がいますが、圧倒的に数が少ないのが現状です。


この家は、そんな苦しみを解消すべく、建てました。

日本全国、世界中、どこへ行っても、化学物質や電磁波の脅威から逃れることは不可能かとおもいます。文明社会において、何かしらの脅威が存在して当然の事と思います。そんな脅威に疲れ、身の置き場がない人に少しでも、この家に佇むことによって、安らぎを与えられることが出来ればと願っております。

また、このページが、化学物質過敏症対策の家を建てる参考になれば幸いかと思っております。


<参考>

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