地球温暖化を止める方法ドローダウン

「ドローダウン地球温暖化を逆転させる100の方法」本

60年以上生きてきて、世の移り変わりははなはだしいものを感じています。特に、スマートフォンやパソコンを使って、手軽に、いろいろな情報を入手できたり、人と会わずにコミュニケーションできたりすることなど、幼いころは、SFの世界の話であった。野山もかわりました。良く冒険ごっこや球技で遊んだ雑木林や空き地は宅地化したり商業ビルが立ち並ぶ地区と化しました。これは、数万年もの人類の歴史において、ほんの一瞬の移り変わりであるに過ぎないことであります。地球の歴史として考えればさらに無視していいぐらいの長さに違いありません。


その地球が危ないです。いや、その地球に存在する生き物が危ないです。

もちろん、その生き物の中には、人類も含まれます。人の一生という、きわめて短い期間での目に見える変化は、異常です。ところが、日々の生活の中で、実感しにくいので、やり過ごしていますが、やっぱり何か考えなければいけないと感じております。では、何をどうすればいいのか。答えは見つかりませんが、答えとなるのではないかということが、この「ドローダウン」という著作の中でみつけることができます。


この本に書かれてある、データとその根拠については、専門性を有するものであり、軽々しく、言及すべきものではないので、私見とおもわれるものは、単なるたわごとと解釈して下さい。また、取り上げられている解決策をすべて鵜呑みにする必要がないと思われます。場所や情勢によって適用できるものが異なってくるかと思われます。あくまでも、グローバな見解です。原子力利用や一部の解決策について「本当か?」と思われても構わないと思います。以下、一言でも、読者に刺さるフレーズがあれば、幸いであると感じております。

目次

ドローダウンの意味するところ

地球温暖化を食い止めることに対する象徴的な言葉として、「カーボンニュートラル」「カーボンフリー」「カーボンオフセット」があります。「ドローダウン」とはどういうことを意味しているのか。冒頭に掲げられている言葉の意味は以下のようであります。

「大気中の温室効果ガスがピークに達し、減少に転じる」

元々は、軍事力・資本勘定・井戸の水位などの減少などとして使われてきた言葉のようです。
それを「温室効果ガスの排出と吸収が均衡するではなく、吸収量の方が勝るというところまでにする」、という解釈に広げた言葉です。まさに野心的なものを感じます。この本は気候変動を引き起こしている温室効果ガス増加に対する危機感がタイトルのつけ方から汲み取ることが出来ます。
その中身はこの問題に対する提案や、解決策に対する学術的検証ではないようです。

「ここで取り上げている解決策に対してそれは人類の集合知として世界に既に存在している青写真のようなものです。・・・本書はそんな人々の物語です。」
と書かれてあります。

気候学の専門用語や学術的理論のようなものは少なく、話し言葉のような文章で書かれてあります。
地球温暖化対策として、太陽光・風力発電や電気・水素燃料電池自動車の事が真っ先に思い浮かびますが、この本を読んで、視野の狭さに気づかされました。。特に女性の権利・自立と女児の教育機会が解決策の上位にランクしているとは思ってもみないことでした。日本で暮らしていると、世界では、まだまだ、女性の活躍機会が抑えられ、特に、環境に対する教育機会が乏しいことに目を向けることがないです。日々の生活の中で、もっと効率的に豊かにしかも平和に過ごせることが、まわりまわってどれだけ温暖化対策に寄与するか知りました。
 結局、ドローダウンというのは、「地球温暖化対策として、再生可能エネルギーの推進だけに目を向けるのではなく、もっと、生活に係わる全般について考えなければ、目標は達成されないのだよ」として捕らえてほしいという意味をこめてつけられた名前であると感じられます。

地球温暖化の現状と今後

人為的な影響による2100年までに起こる主要な気候変動
人為的な影響による2100年までに起こる主要な気候変動
IPCC_AR6_WGI_SPM_Figure_8を加筆

「地球に生きる生物が危ない」といえるのは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)という、国際的に権威のある学術的組織の報告書の中で警鐘されていることを根拠としております。最新の第6次評価報告書(AR6)においても

人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない。大気、海洋、雪氷圏及び 生物圏において、広範囲かつ急速な変化が現れている。
{2.2, 2.3, Cross-Chapter Box 2.3, 3.3, 3.4, 3.5, 3.6, 3.8, 5.2, 5.3, 6.4, 7.3, 8.3, 9.2, 9.3, 9.5, 9.6, Cross –
Chapter Box 9.1}(図SPM.1, 図SPM.2)

と結論付けております。

各国政府がこの問題に声を上げ始めているきっかけが、この報告書にかかれているものをうけてのことであるということからも、その信憑性は高いものとおもわれます。

肝心なことは、今後どのようにすればいいかです。

AR6では、 今後の気候変動に関する予測として、5つの明示的な予測のシナリオ(ドローダウンのシナリオとは異なる)を提示しております。但し、確実にいえることは以下のようなことです。

世界平均気温は、本報告書で考慮した全ての排出シナリオにおいて、少なくとも今世紀半ばまでは上昇を続ける。向こう数十年の間にCO2 及びその他の温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、21 世紀中に、1.5℃及び2℃の地球温暖化を超える。
{2.3, Cross-Chapter Box 2.3, Cross-Chapter Box 2.4, 4.3, 4.4, 4.5}(図SPM.1, 図SPM.4, 図SPM.8, 表
SPM.1, Box SPM.1)

解決策とそのシナリオ

解決策の中で示されている数字は、ドローダウンプロジェクトに参加している各項目のスペシャリストが算出したものであり、算出された数字に基づいてドローダウンへのシナリオを描いています。地球温暖化問題において、解決に導く為の具体的なものを可能な限り洗い出して数値化したものは、この書が唯一のものとおもわれます。導き出された数値の信憑性については、 ここではとりあげず、 ドローダウンウェブサイト上に示されておりますので、そちらの方で精査いただくようお願い申し上げます。

解決策を取り上げるにあたっての視点 Insight

  1. 下記の解決策を実行することにより、今世紀半ばまでにドローダウンに到達する。
  2. 下記の解決策は相互依存されており、すべてを実行することが前提となる。
  3. 温室効果ガス削減のみならず、より良い、平等な世界を築くことに貢献する。
  4. 経済的にコストダウンにつながる。
  5. 化石燃料(石炭・石油・天然ガス)使用の削減、再生可能エネルギーへの置き換えを加速させる必要がある。
  6. 自然環境における、炭素吸収作用(炭素隔離)なくして、ドローダウンは達成できない。
  7. 常に、解決策の発掘、拡大につなげる視点を持つ。
  8. 解決策を加速させるものは、その規模、範囲、スピードを考える上で重要です。
  9. すべての人々、機関がこの解決策に係わり、参加することが出来る。
  10. 解決策を可能せしめるためには、協力、同意形成、創意工夫が必要です。

解決策の枠組み Framework

解決策を数値化するにあたって、分類化しています。個々の解決策は、この分類の枠にはめこみ、数値化を行っております。最終的な到達点は、すべての項目の合計の算出です。尚、下記データは、書籍の中のデータではなく、2022年5月時点でのウェブ上でのものを使用したものです。「Min / Max」表示のMinはシナリオ1、Maxはシナリオ2に対応しております。

削減単位 Min / Max CO2-eq (Gt) reduced/sequestered (2020-2050)とした現時点の数値

1 排出を削減する Reduce Sources 649.2 / 1113.5

発電 Electricity 197.7 / 444.0 200.6 / 441.1

  • 効率の向上 Enhance Efficiency 34.0 / 46.7
  • 代賛となる生産活動 Shift Production 163.8 / 397.0
  • システムの改善 Improve the System N / A

*食品・農業・土地利用 Food,Agriculture & Land Use 203.7 / 274.4 204.2 / 273.9

  • 食品ロスと食生活改善への取り組み Address Waste & Diets 151.4 / 185.3
  • 生態系の保護 Protect Ecosystems 40.8 / 63.1
  • 代賛となる農法 Shift Agriculture Practices 11.5 / 26.0

*産業活動 Industry 122.9 / 149.6 128.7 / 143.7

  • 冷媒の改良と改善 Address Refrigerants 101.3 / 108.3
  • 廃棄物利用 Use Waste 12.7 / 21.4
  • 素材の改良 Improve Materials 8.9 / 19.9

*輸送 Transportation 51.2 / 104.2 58.0 / 97.4

  • 代賛となるものへの移行 shift to Alternatives 19.3 / 54.8
  • 効率の向上 Enhance Efficiency 19.9 / 33.1
  • 車両の電化 Electrify vehicles 12.0 / 16.3

*建物 Buildings 73.6 / 141.3 73.7 / 141.2

  • エネルギー源転換 Shift Energy Sources 46.3 / 108.4
  • 効率の向上 Enhance Efficiency 27.4 / 32.9
  • 冷媒の改良と改善 Address Refrigerants N / A

*Other

2 炭素隔離をサポートする Support Sinks 246.4 / 393.7

*陸地に係わる Land Sinks 239.0 / 391.9 243.1 / 387.8

  • 代賛となる農法 Shift Agriculture Practices 116.9 / 193.3
  • 生態系の保護と復元 Protect & Restore Ecosystems 78.1 / 120.1
  • 荒廃した土地の利用 Use Degraded Land 43.0 / 77.6
  • 食品ロスと食生活改善への取り組み Addredd Waste & Diets 1.0 / 1.0

*沿岸と海洋における Coastal & Ocean Sinks

  • 生態系の保護と復元 Protect & Restore Ecosystems 1.1 / 1.5

*技術的な事による Engineered Sinks

  • 炭素隔離と排出削減 Remove & Store Carbon 2.2 / 4.4

3 人間社会を良い方向に導く Improve society 85.4 / 85.4

*健康な暮らしと教育 Health & Education 85.4 / 85.4

シナリオの意味するもの

ドローダウンに向けてのシナリオは2つあります。(本書では3つですが)

2015年後半に起草され2016年に採択された 気候変動問題に関する、国際的な枠組みであるパリ協定では、温暖化を産業革命前から比べて 気温上昇+2°C未満に保ち、+1.5°Cに制限する取り組みを追求するという世界的な目標を掲げました。ドローダウンはこの目標への解決策を示したものになっております。

シナリオ1は最低目標として2℃未満を、シナリオ2は野心的な目標である1.5℃を想定した解決策の数値目標を示したものになっております。

2020年~2050年累計 シナリオ1 / シナリオ2

  • co₂削減量 ( CO2-eq (Gt) ) 997.2 / 1,576.5
  • 正味初期コスト ( Billions $US ) 22,479 / 28,394
  • 正味維持コスト ( Billions $US ) -95,112 / -145,492
  • 正味利益 ( Billions $US ) 15,600 / 28,700
  • 但し、数値化できないものは含まれていない。

シナリオ1における二酸化炭素累積削減量は997.2 CO2-eq (Gt) 、シナリオ2では1576.5 CO2-eq (Gt) になっております。この数値が上記の数値目標なのですが、 その根拠は、ウェブサイト内または本書では掲載されていないようなので、自論ながら以下のように推測iいたしました。

そもそもパリ協定における目標数値は、「地球温暖化の現状と今後」で取り上げているipccのデータに基づいています。ドローダウンの解決策目標数値もこのipccを参考にしたと思われます。ここでは、最新である気候変動に関する政府間パネル第6次評価報告書(AR6)第1作業部会報告書(自然科学的根拠)の地球温暖化予測シナリオとの対応について考えてみたいと思います。

AR6では、主に下記の5つのシナリオを考えております。これは 将来の社会経済の発展の傾向を仮定した共有社会経済経路と 放射強制力を組み合わせた「 SSP」という名称でシナリオを定義しております。ipccにおける放射強制力とは、以下のようなことであります。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は1994年の第1次評価報告書で、「対流圏の上端(圏界面)における平均的な正味の放射の変化」を放射強制力と定義し、現在もこの定義が使われている。つまり、気温が一定に保たれている状態(IPCCの予測では1750年)を基準として、地球から宇宙への放射によって地球が持つエネルギーを減らす(気温を下げる)外部因子を負の放射強制力、宇宙から地球への放射によって地球が持つエネルギーを増やす(気温を上げる)外部因子を正の放射強制力という。………但し 大気中のの影響は考慮していない 。

WikiPedia 放射強制力

ここでは地球における温暖化の尺度を放射強制力(W/m2) という単位で表し、温暖化が進行している場合、プラスとして、温暖化が縮小している場合はマイナスとして示しております。

シナリオは SSPx-y と表記され、x は5 種のSSP(1:持続可能、2:中道、3:地域対立、4:格差、5:化石燃料依存)、y は2100 年頃のおおよその放射強制力を表しております。

それぞれのシナリオでの地表面温度の予測は以下のようになっております。ここでは1850~1900年の世界平均気温に対する変化の予測を幅を持ってあらわしております。()内の数値は最良推定値を表しております。

SSP1-1.9
2021~2040年 1.2~1.7 (1.5)
2041~2060年 1.2~2.0 (1.6)
2081~2100年 1.0~1.8 (1.4)
SSP1-2.6
2021~2040年 1.2~1.8 (1.5)
2041~2060年 1.3~2.2 (1.7)
2081~2100年 1.3~2.4 (1.8)
SSP2-4.5
2021~2040年 1.2~1.8 (1.5)
2041~2060年 1.6~2.5 (2.0)
2081~2100年 2.1~3.5 (2.7)
SSP3-7.5
2021~2040年 1.2~1.8 (1.5)
2041~2060年 1.7~2.6 (2.1)
2081~2100年 2.8~4.6 (3.6)
SSP5-8.0
2021~2040年 1.3~1.9 (1.6)
2041~2060年 1.9~3.0 (2.4)
2081~2100年 3.3~5.7 (4.4)

*上記数値は、「 IPCC_AR6_WG1_SPM_JP_20220512.pdf 表SPM.1 複数の証拠に基づく評価による、本報告書で考慮した5つの例示的な排出シナリオにおいて選択された20年間の世界平均気温の変化」に掲載されているものです。

二酸化炭素換算推定値を加えた、グラフは以下のようになっております。

2050年度までの二酸化炭素換算積算値削減量
シナリオSSP5-8.5とSSP1-1.9、SSP1-2.6との差1350と1000が2050年度までの二酸化炭素換算積算値削減量を示している。
IPCC_AR6_WGI_SPM_Figure_10を加筆
2100年までの各シナリオ平均気温変化予測
ipcc ar62100年までの各シナリオ平均気温変化予測
IPCC_AR6_WGI_SPM_Figure_8(a)を加筆

2100年までにドローダウンできるシナリオは、SSP1-1.9とSSP1-2.6の2つです。そのうち SSP1-1.9 は2050年あたりに平均気温+1.6度( 最良推定値 )、 SSP1-2.6 は2100年度までに平均気温+1.7度( 最良推定値 )でドローダウンしているのがわかります。

SSP5-8.5は現状のまま推移していく状態を示すシナリオです。2050年までにおいて、SSP5-8.5の 二酸化炭素換算積算値から SSP1-1.9 、SSP1-2.6それぞれ減算すれば、排出削減量が算出できます。それぞれ 1350 1000という数値になりました。

ドローダウンシナリオについて、再び考えて見ます。

ドローダウンシナリオ1は2050年までには温度上昇+1.74℃、2060年代半ばに排出量がピークに達し、温度上昇+1.85℃になります。温度上昇が無くなるドローダウンは2100年以降温度上昇+2℃と推測されます。

ドローダウンシナリオ2は2040年代半ばに排出量がピークに達し、温度上昇は2050年代には+1.52℃でドローダウンになります。

*数値はTheDrawdownReview–2020–Download.pdf Reaching Drowdawn p.73,74、本文、および図を参照しました。

以上から、ドローダウンシナリオ1はipcc ar6における SSP1-2.6シナリオに、ドローダウンシナリオ2は SSP1-1.9 より少しシビアーになっていることに対応していると考えられます。 

統計データについて

注目すべきことは、その解決策が実現可能であり、それにかかる費用と排出削減量が数値として示されていることです。

全地球上の温室効果ガス排出抑制のデータを可視化するのは容易なことではないことは、素人目にも認識できます。自然的な要因として、大気中の水の循環、海洋陸地における温室効果ガス吸収放出量のデータ化、人為的要因として、各国の政治・経済における施策(炭素税の導入・炭素クレジット)の予測などは、データに反映できないので、無視せざるを得ないとしております。それ以外のものに関して、各分野のスペシャリストの英知を集め、限りなく忠実に示したものが掲示されております。

co₂削減量の算出について

削減単位 Min / Max CO2-eq (Gt) reduced/sequestered (2020-2050)とした現時点の数値

地球温暖化を促進する大気成分は二酸化炭素だけではありません。亜酸化窒素やメタン、フロンなど、より強力な温室効果ガスが存在します。このようなガスの影響力を二酸化炭素に換算して何倍あるかを示した「地球温暖化係数GWP」を掛け合わせた数値として、加えております。

削減量は2020年から2050年までの全期間の全世界総量です。解決策を昂じて得られるであろう量を現状維持と比べてどれくらい削減できたかの差です。

co₂削減量解決策ランキング

本書に掲げているランキングは実現性の高いシナリオとしてのものです。日々更新しているウェブサイトの中では、さらに積極的に解決策を採用した場合シナリオ1と2050年までに100パーセントクリーンな再生可能エネルギーが普及すると想定したシナリオ2のデータが取り上げております。ここでは、シナリオ1のデータをランキングしたものになっております。( 本書におけるランキングとは異なっています。)

費用と利益

正味初期コスト net first cost (Billions $US)

解決策で示された削減量に相当する解決策に着手する為にかかる費用から、解決策を使わない既存の策において費やされる費用の差である。「-20」という様にマイナスがついている場合は、コスト安で実現できるということを意味します。

正味維持コスト net lifetime cost (Billions $US)

2020年から2050年の期間を対象としています。 解決策で示された削減量に相当する解決策を維持管理する為にかかる期間内総額から、解決策を使わない既存の策において費やされる期間内総額の差である。「-20」という様にマイナスについている場合は、コスト安で維持管理できるということを意味します。

正味利益 net lifetime profit (Billions $US)

2020年から2050年の期間を対象としています。 解決策で示された削減量に相当する解決策を実行したことによる期間内利益総額から、解決策を使わない既存の策を実行したことによる期間内利益総額の差である。「-20」という様にマイナスについている場合は、相対して利益損失になるということを意味します。

地球温暖化を逆転させる解決策ランキング

第1位 食料の廃棄削減

  • Reduced Food Waste 87.5 / 94.6
  • Address Waste & Diets [Food,Agriculture & Land Use] 86.7 / 93.8
  • Address Waste & Diets [Land Sinks] 0.8 / 0.8
  • 世界で食料の3分の1は捨てられています。植物性食事を採用していくことを前提に、この廃棄される食料の50~75%を削減します。その分、農地拡大による森林破壊が回避されます。家庭レベルでは、高所得国での食品ロスは最大35%になっている。
  • ドローダウン[食料の廃棄の削減]

第2位 家族計画・女児の教育機会

  • Health & Education 85.4 / 85.4
  • 性と生殖に関する保健医療と家族計画の採用(とりわけ低取得国において)により、2050年世界人口中位予測97億人(国連2015年)の10億人増加を阻止することによる。
  • 低所得国・中低所得国における13年間の学校教育の資金提供を行う。農作業や家事を中心的に担う女性、子供に環境に対する知識が向上すれば、解決策の推進役になる。
  • ドローダウン[ 家族計画 女児の教育機会 ]

第3位 植物性食品を中心とした食生活

  • Plant-Rich Diets 65.0 / 91.7
  • Address Waste & Diets [Food,Agriculture & Land Use] 64,8 / 91.5
  • Address Waste & Diets [Land Sinks] 0.2 / 0.2
  • 肉の生産は多量の温室効果ガス排出につながります。世界人口の50%の人は動物性たんぱく質の過剰摂取である。これを、1日の摂取カロリー2250kに抑え、肉の消費を減らせば、この削減分が温室効果ガス削減につながる。そのことで、 森林伐採による牧草地拡大の抑制につながる。
  • ドローダウン[ 植物性食品を中心とした食生活 ]

第4位 冷媒管理

  • Refrigerant Management 57.7 / 57.7
  • Address Refrigerants [Industry]
  • Address Refrigerants [Buildings] N/A
  • net lifetime cost 600 /
  • 既に全世界に流通している87%分の冷媒の管理(漏れの回避)・破壊(寿命の終わりに冷媒を破壊)することによる。但し、破壊無害化にコストがかかる。
  • ドローダウン[ 冷媒 ]

第5位 熱帯林再生

  • Tropical Forest Restoration 54.5 / 85.1
  • Protect & Restore Ecosystems [Land Sinks]
  • 劣化した熱帯林復元が1億6,100万から2億3,100万ヘクタールで発生する可能性があると想定しています。1エーカー(0.4ヘクタール)当たり年間1.4トンの二酸化炭素を隔離します。
  • ドローダウン[ 熱帯林 ]

第6位 陸上風力発電

  • Onshore Wind Turbines 47.2 / 147.7
  • Shift Production [Electricity]
  • net first cost 800 /
  • net lifetime cost -3800 /
  • 陸上風力発電が世界の電力需要の4.4%から2050年までに19.6〜26.9%まで増えることを想定しています。初期投資は化石燃料によるものよりもかかりますが、運用コストは30年稼動すれば、大幅に削減できます。
  • ドローダウン[ 風力発電 ]

第7位 代賛冷媒 new!!

  • Alternative Refrigerants 43.5 / 50.5
  • Address Refrigerants [Industry]
  • Address Refrigerants [Buildings] N/A
  • 代替フロンであるHFC(ハイドロフルオロカーボン)は強力な温室効果ガス(二酸化炭素の1000~9000倍)です。これを自然冷媒に替える。ギガリ協定により、新規にエアコンや冷蔵庫にはHFCを使用しないことになっている。
  • ドローダウン[ 冷媒 ]

第8位 ソーラーファーム

  • Utility-Scale Solar Photovoltaics 42.3 / 119.1
  • Shift Production [Electricity]
  • net first cost -200 /
  • net lifetime cost -12900 /
  • 9353〜17740 TWhの発電レベルで、発電ミックスの20〜25%を占める可能性があると予測しております。化石燃料発電所に比べ初期投資額も正味運用コストも大幅に減らせます。
  • ドローダウン[ ソーラーファーム ]

第9位 クリーンな調理コンロ

  • Improved Clean Cookstoves 31.3 / 72.6
  • Shift Energy Sources [Buildings]
  • net first cost 100 /
  • net lifetime cost 1900 /
  • 人類の40%は調理用燃料に薪や動物の糞、石炭などの固形物を直接燃焼させるものを使用している。これを、燃焼効率の良い調理コンロに移行させます。最大市場規模を1.6%(2014年時点)を16%に引き上げます。
  • ドローダウン[ クリーンな調理コンロ ]

第10位 屋上ソーラー

  • Distributed Solar Photovoltaics 28.0 / 68.6
  • Shift Production [Electricity]
  • net first cost 400 /
  • net lifetime cost -7800 /
  • 0.6%から7%まで普及させます。初期投資はかかりますが、長期的には大幅な節約効果があります。
  • ドローダウン[ 屋上ソーラー ]

第11位 シルボパスチャー(林間放牧)

  • Silvopasture 26,6 / 42.3
  • Shift Agriculture Practices [Land Sinks]
  • net first cost 200 /
  • net lifetime cost 2300 /
  • net lifetime profit 1700 /
  • 世界ですでに5億5000万ヘクタールの土地で森林放牧が行われているが、それを7億2000万〜7億7200万ヘクタールに拡大します。本来、放牧地で行われるところを炭素隔離となる森林地にシフトすることにより、年間2.74トン/haの隔離につながります。
  • ドローダウン[ シルボパスチャー(林間放牧) ]

第12位 泥炭地の保護と再湿潤

  • Peatland Protection & Rewetting 26.1 / 41.9
  • Protect Ecosystems [Food,Agriculture & Land Use] 25.5 /40.9
  • Protect & Restore Ecosystems [Land Sinks] 0.6 / 1.0
  • 泥炭地は世界の土地面積のわずか3%ですが、膨大な量の有機物を抱えております。総保護面積が2050年までに884万ヘクタールから2億6,670万〜4億4,860万ヘクタールに増加し、現在劣化している泥炭地の35.2〜47.0百万ヘクタールを再湿潤させる。
  • ドローダウン[ 泥炭地 ]

第13位 植林

  • Tree Plantations (on Degraded Land) 22.2 /35.9
  • Use Degraded Land [Land Sinks]
  • net first cost 16 /
  • net lifetime cost 100 /
  • net lifetime profit 2100 /
  • 1億1,200万〜1億7,400万ヘクタールの辺境地に植林をします。炭素隔離すると共に、その木材利用により、収益が見込めます。
  • ドローダウン[ 植林 ]

第14位 温帯林の再生

  • Temperate Forest Restoration 19.4 / 27.8
  • Protect & Restore Ecosystems [Land Sinks]
  • 現在荒廃している土地を保護し、自然の再生を可能にすることで、温帯林の回復がさらに9,200万から1億2,800万ヘクタールに拡大すると予測しています。
  • ドローダウン[ 温帯林 ]

第15位 集光型太陽熱発電

  • Concentrated Solar Power 18.6 / 24.0
  • Shift Production [Electricity]
  • net first cost 400 /
  • net lifetime cost 800 /
  • 世界の発電量の0.05%(2018年)から5.9〜7.3%に上昇するとします。
  • ドローダウン[ 集光型太陽熱発電 ]

第16位 断熱

  • Insulation 17.0 / 19.1
  • Enhance Efficiency [Electricity] 3.8 /4.3 f.cost 700/ l.cost -21700
  • Enhance Efficiency [Buildings] 13.2 / 14.8
  • 初期コストはかかりますが、導入後は電力消費を大幅に削減が見込まれます。毎年、温帯および熱帯諸国の既存の住宅および商業ビルの1.6〜2%が低炭素材料で断熱材を新たに設置する場合の削減効果になります。
  • ドローダウン[ 断熱 ]

第17位 管理放牧

  • Managed Grazing 16.4 / 26.0
  • Shift Agriculture Practices [Land Sinks]
  • net first cost 33 /
  • net lifetime cost -600 /
  • net lifetime profit 2100 /
  • その土地に適した家畜の密度と放牧のタイミングとローテーション(輪作)を管理することにより実現する。7,160万ヘクタールから5億210万から7億4,902万ヘクタールに増加させることにより、土壌の炭素隔離を促進させます。
  • ドローダウン[ 管理放牧 ]

第18位 LED照明

  • LED Lighting 16.1 / 17.5
  • Enhance Efficiency [Electricity]
  • net first cost -1700 /
  • net lifetime cost -4500 /
  • 世界で10億もの人々が電灯のない生活をしています。照明を直接燃焼するものではなく、再生可能エネルギーで得られた電力を使用することにより、大幅に、エネルギー消費を減らすことが出来ます。また、電灯があるところでも、LED証明に替えることにより、費用対効果が高まります。
  • ドローダウン[ LED照明 ]

第19位 熱帯性の樹木作物

  • Perennial Staple Crops 15.5 / 31.3
  • Shift Agriculture Practices [Land Sinks]
  • net first cost 83 /
  • net lifetime cost 800 /
  • net lifetime profit 1400 /
  • この作物は炭素隔離率は高く、1ヘクタールあたり年間3.34トンです。約5,000万ヘクタールからさらに6100万〜1億4,100万ヘクタール拡大すると想定しております。
  • ドローダウン[ 熱帯性の樹木作物 ]

第20位 間作林

  • Tree Intercropping 15.0 / 24.4
  • Shift Agriculture Practices [Land Sinks]
  • net first cost 100 /
  • net lifetime cost 600 /
  • net lifetime profit 200 /
  • 木と一年生作物を一緒に育てる相乗効果により、土壌有機物、および炭素隔離を増加させます。樹木間作の採用を世界で4億1600万から4億9000万ヘクタールに増加する必要があります。
  • ドローダウン[ 間作林 ]

第21位 環境再生型農業

  • Regenerative Annual Cropping 14.6 / 22.3
  • Shift Agriculture Practices [Food,Agriculture & Land Use] 1.0 / 1.5 f.cost 77 / l.cost -2300 profit 100
  • Shift Agriculture Practices [Land Sinks] 13.6 /20.8
  • 化学肥料に頼らず不耕起を実践することにより、土壌の活力を十分に引き出す農法に転換することにより、大気中に炭素を放出することを減らし、炭素隔離を促進します。
  • ドローダウン[ 環境再生型農業 ]

第22位 環境保全型農業

  • Conservation Agriculture 13.4 / 9.4
  • Shift Agriculture Practices [Food,Agriculture & Land Use] 1.5 / 1.1 f.cost 91 / l.cost -2800 profit 100
  • Shift Agriculture Practices [Land Sinks] 11.9 / 8.3
  • 耕作している農地の土壌肥沃度を高めることにより、炭素隔離率をあげます。総面積は1億4800万ヘクタールから、2035年までに4億から3億2700万ヘクタールに達すると予測しています。環境再生農業との補完関係にあります。
  • ドローダウン[ 環境保全型農業 ]

第23位 農地再生

  • Abandoned Farmland Restoration 12.5 / 20.3
  • Use Degraded Land [Land Sinks]
  • net first cost 98 /
  • net lifetime cost 3200 /
  • net lifetime profit 2600 /
  • 世界で4億ヘクタール前後の農地が放棄されており、そのうちの1億7千万ヘクタールを再生させ、環境再生農業など、炭素排出の少ない農業システムに移行させます。作物収穫で多額の恩恵を受けることが出来ます。
  • ドローダウン[ 農地再生 ]

第24位 電気自動車

  • Electric Cars 11.9 / 15.7
  • Electrify Vehicle[Transportation]
  • net first cost 4400 /
  • net lifetime cost -15200 /
  • 初期費用は高いですが、化石燃料車と比べれば、最終的には安くなります。走行距離が 16〜23%に上昇した場合として数値化しております。排出削減と再生可能エネルギーによる電力使用により、温室効果ガス削減になります。
  • ドローダウン[ 電気自動車 ]

第25位 多層的アグロフォレストリー

  • Multistrata Agroforestry 11.3 / 20.4
  • Shift Agriculture Practices [Land Sinks]
  • net first cost 54 /
  • net lifetime cost 100 /
  • net lifetime profit 1700 /
  • いくつかの既存の農業システムに統合することができます。3900万から6600万ヘクタールに採用されることを見込んだ数字です。この農法にかえることにより、農業生産額の増収につながります。
  • ドローダウン[ 多層的アグロフォレストリー ]

第26位 洋上風力発電

  • Offshore Wind Turbines 10.4 / 11.4
  • Shift Production [Electricity]
  • net first cost 600 /
  • net lifetime cost -600 /
  • 現在の推定60TWhから2050年までに1,918-2,256TWhに成長する。初期投資はかかるものの、自然エネルギーをリソースとしているので、化石燃料使用の電力より、ランニングコストはかからない。
  • ドローダウン[ 風力発電 ]

第27位 高性能ガラス

  • High-performance glass 10.1 /11.7
  • Enhance Efficiency [Electricity] 2.0 / 2.4 f.cost 9000/ l.cost -3300/
  • Enhance Efficiency [Buildings] 8.1 / 10.3
  • 二重ガラスを含む最新の技術を使ったガラスは電力消費、エネルギー効率を高めます。世界の住宅用建物で18%、非OECDの商業用建物で6%の採用率を年間2.75〜5%の改修率で高性能ガラスに換えます。但し、初期投資にコストがかかります。
  • ドローダウン[ ]

第28位 メタンダイジェスター

  • Methane Digesters 9.8 / 6.1
  • Shift Production [Electricity] 3.6 / 2,3 f.cost 200 / l.cost 2 /
  • Use Waste [Industry] 6.2 / 3.8
  • 化石燃料による燃焼を、有機廃棄物を原料としたメタン発生装置を利用したものに替えることにより二酸化炭素削減になる。
  • ドローダウン[ メタンダイジェスター ]

第29位 稲作法の改善

  • Improved Rice Production 9.4 / 13.9
  • Shift Agriculture Practices [Food,Agriculture & Land Use] 1.5 / 1.1 l.cost -400/ profit 200/
  • Shift Agriculture Practices [Land Sinks] 5.4 /8.0
  • 稲作においては、世界の温室効果ガスは排出の少なくとも10%、メタンガスの9~19%を占めています。湿潤と乾燥の交互水管理・不耕起の実践により、炭素隔離を増やし、増収につなげます。4,100万ヘクタールから9,400万〜1億1,100万ヘクタールに適用を増やした場合の数字になっております。
  • ドローダウン[ 稲作法の改良 ]

第30位 先住民による土地利用

  • Indigenous Peoples’ Forest Tenure 8.7 / 12.9
  • Protect Ecosystems [Food,Agriculture & Land Use] 7.0 / 10.3
  • Protect & Restore Ecosystems [Land Sinks] 1.7 / 2.6
  • 先住民に対して、確定されていない土地所有権の拡大をつのることにより、より広範囲の生態系と炭素吸収源を保護し、森林破壊による排出を防ぐことができます。その面積を995〜1141百万ヘクタールと推定しております。
  • ドローダウン[ 先住民による土地利用 ]

第31位 竹の利用

  • Bamboo Production 8,3 / 21.3
  • Use Degraded Land [Land Sinks]
  • net first cost 52/
  • net lifetime cost 500 /
  • net lifetime profit 1700 /
  • 現在の3100万haからさらに1500万ヘクタールの荒廃地や放棄地に栽培面積を増やす。また、竹製品としての利益も見込めます。
  • ドローダウン[ ]

第32位 代賛セメント

  • Alternative Cement 8,0 / 16.1
  • Improve Materials [Industry]
  • net first cost -63 /
  • セメント生成は人的な二酸化炭素排出量の5~6%を排出しています。従来のセメント生産の9%を45%フライアッシュ(石炭燃焼殻)を混合することにより、二酸化炭素を多量に排出する燃焼行程をはぶける。
  • ドローダウン[ 代替セメント ]

第33位 ハイブリッド車

  • Hybrid Cars 7.9 / 4.6
  • Enhance Efficiency [Transportation]
  • net first cost 3400/
  • net lifetime cost -6100 /
  • 燃費向上により、排出量削減につながります。 2050年までに2億3600万から6億2100万台のハイブリッド車に達​​する可能性があると予測しています
  • ドローダウン[ 自動車 ハイブリッド車・ハイブリッドプラグイン車 ]

第34位 ライドシェア

  • Carpooling 7.7 / 4.2
  • Shift to Alternatives [Transportation]
  • net lifetime cost -5300 /
  • 都市部において一台の車に何人乗車するかを占有率として評価します。ここでは、2018年の1.57から2050年までに1.75または2.0に上昇する可能性があると想定しています。既にある車を対象としているので、初期投資は無く、一人、一台あたりの走行距離が短くなり、排出量削減となります。
  • ドローダウン[ ライドシェア ]

第35位 大量輸送交通機関

  • Public Transit 7.3 / 23.4
  • Shift to Alternatives [Transportation]
  • net lifetime cost -2100 /
  • 鉄道やバスなどの公共交通機関の利用が増えれば、マイカーなどの個人的な輸送利用が減り、削減につながります。
  • ドローダウン[ 大量輸送交通機関 ]

第36位 スマートサーモスタッド

  • Smart Thermostats 7.0 / 7.4
  • Enhance Efficiency [Electricity] 3.1/3.3 f.cost 100 / l.cost -1800 /
  • Enhance Efficiency [Buildings] 3.9/4.1
  • 2050年までにインターネットにアクセスできる世帯の3%から58〜63%に成長すると予測しています。 かなりの光熱費の削減が期待されます。
  • ドローダウン[ スマートサーモスタッド ]

第37位 ビルのオートメーション

  • Building Automation Systems 6.5 / 10.5
  • Enhance Efficiency [Electricity] 4.9/7.9 f.cost 200 / l.cost -1700 /
  • Enhance Efficiency [Buildings] 1.6/2.6
  • 商業ビル床面積34%から50%に拡大することにより、照明・電化製品を11.5%、冷暖房使用効率を最大20%削減される。
  • ドローダウン[ ビルのオートメーション ]

第38位 地域冷暖房

  • District Heating 6.3 / 9.9
  • Enhance Efficiency [Electricity] 4.6/7.2 f.cost 200 / l.cost -1500
  • Shift Energy Sources [Buildings] 1.7/2.7
  • 暖房設備採用率を0.01%から10%に増加するとしています。熱源として天然ガスではなく、再生可能エネルギーを使用します。
  • ドローダウン[ 地域冷暖房 ]

第39位 飛行機

  • Efficient Aviation 6.3 / 9.2
  • Enhance Efficiency [Transportation]
  • net first cost 800/
  • net lifetime cost -2400 /
  • 最新かつ最も燃料効率の高い航空機を採用することにより、排出量と運用コストを削減します。
  • ドローダウン[ 飛行機 ]

第40位 地熱

  • Geothermal Power 6.2 / 9.8
  • Shift Production [Electricity]
  • net first cost 80/
  • net lifetime cost -800 /
  • 世界の発電量の0.34%から2.6〜2.8%に増加すると想定しています。風や太陽などの変動要因ではない、安定的な電力供給が見込めるので、ベースロード電力として使われます。
  • ドローダウン[ 地熱 ]

第41位 森林保護

  • Forest Protection 5.5 / 8.7
  • Protect Ecosystems [Food,Agriculture & Land Use] 4.4 / 6.8
  • Protect & Restore Ecosystems [Land Sinks] 1.1 / 1.9
  • 森林破壊からの排出を防ぎ、その炭素を保護し、継続的な炭素隔離を可能にします。3億3500万から4億6600万ヘクタールの森林を保護することを想定しています。
  • ドローダウン[ 森林保護 ]

第42位 家庭リサイクル・産業廃棄物のリサイクル

  • Recycling 5.5 / 6.0
  • Use Waste [Industry]
  • net first cost 10/
  • net lifetime cost -200 /
  • 紙製品と有機性廃棄物は、別の解決策に含まれるので、それをのぞいたものが対象になります。排出量の削減は、埋め立てに関連する排出量の回避と、未使用の原料の代わりにリサイクルされた材料を使用することから生じます。リサイクルされた材料の約50%が家庭から、残りが産業からのものであり、世界の平均リサイクル率がリサイクル可能な廃棄物全体の65〜68%に増加した場合を想定しております。
  • ドローダウン[家庭リサイクル 産業廃棄物のリサイクル ]

第43位 バイオガスを調理に使う

  • Biogas for Cooking 4.6 / 9.7
  • Shift Energy Sources [Buildings]
  • net first cost 23/
  • net lifetime cost 100 /
  • 有機性廃棄物を発酵させて得られるバイオガスを調理に利用します。特に、薪や木材を使って調理してきた 、アジア・アフリカ諸国の熱源をバイオガスに替えることにより、燃焼効率の向上と排出量の削減が見込めます。5,700万〜8,700万の調理用ストーブを対象とした場合の数字です。
  • ドローダウン[ ]

第44位 トラック

  • Efficient Trucks 4.6 /9.7
  • Enhance Efficiency [Transportation]
  • net first cost 400/
  • net lifetime cost -3400 /
  • 燃料節約技術の採用が2050年までにトラックの10%から50〜60%に増加した場合を想定しております。
  • ドローダウン[トラック ]

第45位 船舶

  • Efficient Ocean Shipping 4.4 / 6.3
  • Enhance Efficiency [Transportation]
  • net first cost 500/
  • net lifetime cost -600 /
  • 燃料節約船の設計、搭載技術、および運用慣行により、効率を向上させ、排出量を削減できます。燃費向上により、燃料費の削減にもつながります。
  • ドローダウン[ 船舶 ]

第46位 ヒートポンプ

  • High-Efficiency Heat Pumps 4.1 / 9.7
  • Enhance Efficiency [Electricity] -1.7/-3.0 f.cost 76 / l.cost -1000
  • Shift Energy Sources [Buildings] 5.8/12.3
  • コストが減少するにつれて、商業ビルにおいて、供給熱源の3%から20~40%に拡大が見込まれます。
  • ドローダウン[ ヒートポンプ ]

第47位 多年生バイオマス

  • Perennial Biomass Production 4.0 / 7.0
  • Shift Agriculture Practices [Land Sinks]
  • net first cost 200/
  • net lifetime cost 1500 /
  • net lifetime profit 900 /
  • バイオマスエネルギーの材料となり、排出削減につながります。また、一年生植物よりも炭素隔離量が多いです。現在の27万ヘクタールから2050年までに1億600万から1億9千万ヘクタールに増加すると想定しています。コストはかかりますが、収益も見込めます。
  • ドローダウン[ 多年生バイオマス ]

第48位 太陽熱温水

  • Solar Hot Water 3.6 / 14.3
  • Enhance Efficiency [Electricity] 0.8/3.2 f.cost 700 / l.cost -200 /
  • Shift Energy Sources [Buildings] 2.8/11.1
  • 太陽熱温水は、燃料や電気ではなく、太陽の放射を直接利用します。対応可能な市場の8%から15〜30%に成長した場合を想定しております。既存の電気・ガスボイラーの温水をこの太陽熱温水に置き換えての数字になっております。
  • ドローダウン[ 太陽熱温水 ]

第49位 [草地保護]

  • Grassland Protection 3.4 / 4.2
  • Protect Ecosystems [Food,Agriculture & Land Use] 3.2 / 4.0
  • Protect & Restore Ecosystems [Land Sinks] 0.2 / 0.2
  • 草地は、主に地下に大量の炭素を保有しています。それらを保護することで、貯蔵炭素放出を防ぎます。劣化していない369.3〜403.2百万ヘクタールのうち1億5900万ヘクタールを保護することを想定しております。
  • ドローダウン[ ]

第50位 稲作地土壌強化システム

  • System of Rice Intensification 2.8 / 4.2
  • Shift Agriculture Practices [Food,Agriculture & Land Use] 2.0 / 3.0 l.cost -14/ profit 500/
  • Shift Agriculture Practices [Land Sinks] 0.8 /1.2
  • 生産に必要な投入量を減らし、作物の収穫量を増やす、稲作強化システム(SRI)を実践する。種子の使用量は80〜90%減少し、水の投入量は25〜50%減少します。これにより、土壌中の炭素隔離を促進させる。670万ヘクタールから4,000万〜5,200万ヘクタールに拡大させる。
  • ドローダウン[ 稲作法の改良 ]

第51位 原子力

  • Nuclear Power 2.7 / 3.2
  • Shift Production [Electricity]
  • net first cost 100 /
  • net lifetime cost -300 /
  • 世界の発電のシェアは現在の10.5パーセントから8.6〜13.2パーセントの数値に変化すると想定しています。但し、脱炭素とは別に、放射性廃棄物・原発事故対応などの環境面での問題を孕んでおります。再生可能エネルギーに完全に置き換わるまでの、繋ぎとしての位置づけとして考えられている国々が多いのが現状です。
  • ドローダウン[ 原子力 ]

第52位 自転車インフラ

  • Bicycle Infrastructure 2.6 / 6.6
  • Shift to Alternatives [Transportation]
  • net first cost -2600 /
  • net lifetime cost -800 /
  • 都市の中の移動が5.5%から7.5%に増えると想定しております。
  • ドローダウン[ 自転車インフラ ]

第53位 バイオマス

  • Biomass Power 2.5 / 3.6
  • Shift Production [Electricity]
  • net first cost 51 /
  • net lifetime cost -200 /
  • 廃棄物もしくは持続可能性をそなえた多年生植物利用に限り、削減の対象となりうる。但し、他の再生可能エネルギーに取って代わる過渡期としての位置づけである。
  • ドローダウン[ バイオマス ]

第54位 窒素肥料の管理

  • Nutrient Management 2.3 / 12.1
  • Shift Agriculture Practices [Food,Agriculture & Land Use]
  • net lifetime cost -23 /
  • 肥料(とりわけ化学肥料)の使用を控えることにより、亜酸化窒素の大気中の放出を軽減することが出来ます。その分、肥料代節約になります。
  • ドローダウン[ 窒素肥料の管理 ]

第55位 バイオ炭

  • Biochar Production 2.2 / 4.4
  • Remove & Store Carbon [Engineered Sinks]
  • net first cost 100 /
  • net lifetime cost 700 /
  • 植物の腐敗による、メタンや二酸化炭素の放出を留まらせる解決策として、バイオ炭利用があります。また、土壌を肥沃にさせる効果があり、化学肥料の施肥を減らす効果があります。
  • ドローダウン[ バイオ炭 ]

第56位 埋立地メタン

  • Landfill Methane Capture 2.2 / -1.6
  • Use Waste [Industry] 2.0 / -1.5 f.cost -4 / l.cost 6 /
  • Shift Production [Electricity] 0.2 /
  • 食生活が変わり、廃棄物が減り、リサイクルと堆肥化が進むにつれて、埋め立てごみは減少します。あくまでも、現存の埋め立て廃棄物の解決策としては、有効に発揮します。
  • ドローダウン[ 埋立地メタン ]

第57位 堆肥化

  • Composting 2.1 / 3.1
  • Use Waste [Industry]
  • net first cost -60 /
  • net lifetime cost 100 /
  • 2015年度、食品廃棄物の推定38%が米国で 57%がEUで堆肥化が行われました。この米国の水準を低所得国で達成するとの想定での数値です。
  • ドローダウン[ 堆肥化 ]

第58位 廃棄物エネルギー

  • Waste-to-Energy 2.1 / 3.0
  • Shift Production [Electricity] 0.5 / 0.9 f.cost 100 / l.cost 96 /
  • Use Waste [Industry] 1.6 /2.1
  • 廃棄物を燃焼させ、熱や電気に替えることにより、化石燃料の代賛になりますが、健康や環境への負のリスクもあります。ここでは、廃棄物を埋め立て地から排除することによるメタン排出量の削減と発電の代替により、2050年までに2〜3ギガトンの温室効果ガス排出を回避すると見込んでおります。但し、他の廃棄物処理解決策が浸透するにつれて、衰退する存在であります。
  • ドローダウン[ 廃棄物エネルギー ]

第59位 小水力発電

  • Small Hydropower 1.7 / 3.3
  • Shift Production [Electricity]
  • net first cost 46 /
  • net lifetime cost -300 /
  • 現在の約670テラワット時から994〜1,136テラワット時の電力を供給するように成長した場合を想定しております。特に、山岳地帯など送電網のない地域の電力供給に威力を発揮します。
  • ドローダウン[ 小水力発電 ]

第60位 歩いて暮らせる街づくり

  • Walkable Cities 1.4 / 5.5
  • Shift to Alternatives [Transportation]
  • net lifetime cost -1600 /
  • 歩行者が車に取って代わる削減量になります。都市のモビリティの3.5〜5.8%を車ではなく徒歩で提供できることを想定しております。
  • ドローダウン[ 歩いて暮らせる街づくり ]

第61位 波力と潮力

  • Ocean Power 1.4 / 1.4
  • Shift Production [Electricity]
  • net first cost 200 /
  • net lifetime cost 1000 /
  • 世界の発電量の.0004パーセント(つまり、約1.1 TWh)から2050年までに398〜521 TWhの範囲に成長すると推定されます。
  • ドローダウン[ 波力と潮力 ]

第62位 小規模自営農への持続可能性強化

  • Sustainable Intensification for Smallholders 1.3 / 0.7
  • Protect Ecosystems ・Shift Agriculture Practices [Food,Agriculture & Land Use] 0.1 / 0.1 net lifetime cost -100 / profit 300 /
  • Protect Ecosystems ・Shift Agriculture Practices [Land Sinks] 1.2/0.6
  • 特に、低所得国での農業の担い手である女性に対して、持続可能性のある農業への解決策を供与することにより、生産性をあげ、温暖化対策につなげる。1630〜3280万ヘクタールの農地がこの解決策により、成果を上げたと想定した数字になっている。
  • ドローダウン[ 小規模自営農の女性 ]

第63位 電動アシスト自転車

  • Electric Bicycles 1.3 / 4.1
  • Shift to Alternatives [Transportation]
  • net first cost -300 /
  • net lifetime cost -600 /
  • 自動車に取って代わる部分が排出削減、輸送コスト削減につながります。
  • ドローダウン[ 電動アシスト自転車 ]

第64位 高速鉄道

  • High-Speed Rail 1.3 / 3.8
  • Shift to Alternatives [Transportation]
  • net first cost 600 /
  • net lifetime cost 800 /
  • 電気で動く高速鉄道の普及により、交通手段としての自動車からの回避ができます。また、電気を再生可能エネルギーにかえれば、更なる温室効果ガス削減につながります。但し、都市システムとして、広範な効率的な観点から拡大を考えていく必要があります。
  • ドローダウン[ 高速鉄道 ]

第65位 農地の灌漑

  • Farm Irrigation Efficiency 1.1 / 2.1
  • Shift Agriculture Practices [Food,Agriculture & Land Use]
  • net first cost 200 /
  • net lifetime cost -500 /
  • 水の汲み上げ、配水を効率化することにより、その動力に使われるエネルギーの削減につながります。このような改善された面積は2018年の5,380万ヘクタールから2050年には1億8,770〜2億8,650万ヘクタールに増加すると想定しています。
  • ドローダウン[ 農地の灌漑 ]

第66位 再生紙

  • Recycled Paper 1.1 / 1.9
  • Use Waste [Industry]
  • net first cost 400 /
  • 再生紙の総排出量は従来の紙よりも約25%少なく、紙の製造に使用される再生紙の割合は2050年までに55%から69〜74%に上昇するとします。
  • ドローダウン[ 再生紙 ]

第67位 テレプレゼンス

  • Telepresence 1.0 / 3.8
  • Shift to Alternatives [Transportation]
  • net first cost 86 /
  • net lifetime cost -1200 /
  • リモートでのやり取りを促進させることにより、輸送交通に費やされるエネルギーを減少させます。4億8600万〜6億7600万以上の出張がテレプレゼンスに置き換えられることを前提としています。
  • ドローダウン[ テレプレゼンス ]

第68位 沿岸湿地保護

  • Coastal Wetland Protection 1.0 / 1.5
  • Protect Ecosystems [Food,Agriculture & Land Use] 0.7 / 1.0
  • Protect & Restore Ecosystems[Coastal & Ocean Sinks] 0.3 / 0.5
  • 世界の沿岸湿地の5,320万ヘクタールのうち、現在1,260万ヘクタールが保護されています。2050年までにさらに1740〜22.1百万ヘクタールが保護された場合、結果として生じる排出の回避と継続的な隔離につながります。
  • ドローダウン[ 沿岸湿地 ]

第69位 バイオプラスチック

  • Bioplastics 1.0 / 3.8
  • Improve Materials [Industry]
  • net first cost 88 /
  • ほとんどのプラスチックは化石燃料から作られていますが、バイオプラスチックは代替の炭素源として植物を利用しています。二酸化炭素排出量が少なく、時には生分解します。プラスチックの生産は今後も増えていきますが、市場の12〜46%を獲得スつと推定しております。
  • ドローダウン[ バイオプラスチック ]

第70位 家庭の節水

  • LowFlow Fixtures 0.9 /1.6
  • Enhance Efficiency [Electricity] 0.2/0.4 f.cons 1/ l.cost -400 /
  • Enhance Efficiency [Buildings] 0.7 / 1.2
  • 推定市場の59%から81〜92%の割合で低流量の蛇口とシャワーヘッドを採用すると熱水をつくる電力とエネルギー消費を削減できる。
  • ドローダウン[ 家庭の節水 ]

第71位 沿岸湿地再生

  • Coastal Wetland Restoration 0.8 / 1.0
  • Protect & Restore Ecosystems[Coastal & Ocean Sinks]
  • ドローダウン[ 沿岸湿地 ]

第72位 水供給システム

  • Water Distribution Efficiency 0.7 / 0.9
  • Enhance Efficiency [Electricity]
  • net first cost 17 /
  • net lifetime cost -200 /
  • 水を汲み上げるには、膨大な量の電気が必要です。特に都市における配水網の漏水に対処することで、水の損失、エネルギー使用、および排出を抑えることができます。世界全体で水損失をさらに38〜47%削減できると推定されます。
  • ドローダウン[ 水供給システム ]

第73位 屋上緑化

  • Green & Cool Roofs 0.6 / 1.1
  • Enhance Efficiency [Electricity] 0.7 / 1.3 f.cost 600 / net lifetime cost -300 /
  • Enhance Efficiency [Buildings] -0.1 / -0.2
  • 初期コストの高いグリーンルーフと比較的安価なクールルーフの拡大を想定しています。
  • ドローダウン[ 屋上緑化 ]

第74位 スマートガラス

  • dynamic glass 0.3 / 0.4
  • Enhance Efficiency [Electricity] 0.2 / 0.3 f.cost 69 / net lifetime cost -98 /
  • Enhance Efficiency [Buildings] 0.1 / 0.1
  • 初期投資コストがかかるので、高所得の商業ビルでの採用が見込まれます。 長期的には照明に使われる電力、冷却によるエネルギーコストの削減されます。
  • ドローダウン[ スマートガラス ]

第75位 列車(燃費向上と電化)

  • Electric Trains 0.1 / 0.6
  • Electrify Vehicle[Transportation]
  • net first cost 600/
  • net lifetime cost -700 /
  • 電化された線路での貨物輸送が大幅に増えると、燃料使用による排出量 の削減につながります。
  • ドローダウン[ 列車(燃費向上と電化) ]

第76位 小型風力発電

  • Micro Wind Turbines 0.1 / 0.1
  • Shift Production [Electricity]
  • net first cost 52 /
  • net lifetime cost 19 /
  • コストがかかりますが、送電網のない低所得国・僻地・自前電力などの利用が見込まれます。費用効果が今後の技術進展により増してくることが予想され、10倍増になると試算されております。
  • ドローダウン[ 小型風力発電 ]

モデル化対象外

建物の改修

  • Building Retrofitting
  • Enhance Efficiency [Electricity]
  • Shift Energy Sources・ Enhance Efficiency [Buildings]
  • 建物それぞれ改装内容が異なる為、モデル化不可能です。改修そのものは、断熱、ビル管理システムなど個別解決策に含まれる。
  • ドローダウン[ 建物の改修 ]

マイクログリッド

  • Microgrids
  • Improve the System [Electricity]
  • 大規模送電網から外れた地域において、再生可能エネルギー拡大に欠かすことのない解決策であります。数値化としては、個々の再生可能エネルギーの解決策に含まれます。
  • ドローダウン[ マイクログリッド ]

送電網の柔軟性

  • Grid Flexibility
  • Improve the System [Electricity]
  • 再生可能エネルギー拡大を下支えするものとして重要な解決策です。複雑かつ動的システムをモデル化することは困難です。
  • ドローダウン[ エネルギーグリッド(送電網)の柔軟性 ]

エネルギー貯蔵(発電所規模)

  • Utility-Scale Energy Storage
  • Improve the System [Electricity]
  • 再生可能エネルギーの持続的な採用を可能にする解決策であり、そのもの単体で、二酸化炭素削減できるというものではない。
  • ドローダウン[ エネルギー貯蔵(発電所規模)]

エネルギー貯蔵(分散型)

  • Distributed Energy Storage
  • Improve the System [Electricity]
  • マイクログリッド・ネットゼロビルディング・グリッドの柔軟性・屋上ソーラーなどの解決策に不可欠な支援策です。 単体で、二酸化炭素削減できるというものではない。
  • ドローダウン[ エネルギー貯蔵(分散型) ]

ネット・ゼロ・ビルディング

  • Net-Zero Buildings
  • Enhance Efficiency・ Shift Energy Sources [Buildings]
  • スマートガラス・グリーンルーフ・効率的な冷暖房システム・断熱材の改良・分散型エネルギー貯蔵などの解決策を組み合わせたものであります。
  • ドローダウン[ ネット・ゼロ・ビルディング ]

ドローダウン100の方法

エネルギー energy

風力発電 wind turbines

風力による発電は古来より、行われてきました。近年、注目を浴びてきたのは、地球温暖化対策による化石燃料からの脱却があったからです。政府からの化石燃料への補助制度が、風力発電へとシフトしたことにより、ヨーロッパや中国では、発電に占める、風力発電によるものの割合が増えてきています。コストもさがり、化石燃料によるものより安くなってきています。騒音や景観を損なうといった課題があるものの、特に、西欧では、再生可能エネルギーの中で、一番普及しているエネルギーになっております。さらに、全世界的に風力発電が増えていくには、化石燃料への補助金を風力などの再生可能エネルギーに向けるような各国政府の政策に係わってくるものと思われます。2030年には、最も安いエネルギーになるものと予測されます。

マイクログリッド microgrids

マイクログリッドとは、その地域で作られた再生可能エネルギーなどを、送電・蓄電・制御する、地域分散型エネルギー制御システムです。電力の地産地消システムです。元々、電気は、大規模発電所で作られ、広域に枝分かれされた、送電網により、需要家に供給されていました。このようなシステムでは、風力や太陽光などの、地域に分散された再生可能エネルギー発電源に対しては、なじめないものになっています。広域送電網に組み込むには、余りにも設備的にコストがかかるものになってしまうからです。発電源の供給元と、需要を接近させれば、この問題は、うまく折り合えることになるということで考えられたのがマイクログリッドです。これは、郊外や、低所得国などに貢献できるものです。地域それぞれ、自然エネルギーによる、発電源をもっています。大掛かりの設備を必要としない、マイクログリッドはコストがかからず、これらの地域になじめるものです。ネックとなるのは、既存の電気事業者による独占状況を解消することです。これらをどうすすめていくかは、国の施策にかかってくると思われます。

地熱 geothermal

地球の内部にある熱は、地球が誕生したときに生まれたものと、放射性物質が継続的に崩壊したときに発するものとがあります。そのエネルギー量は、世界全体のエネルギー消費の1000億倍といわれております。この熱を利用したものが、地熱発電になります。効率よく利用するには、地理的条件が左右されます。熱源、地下貯留層、熱源を取り出すための水または蒸気が必須条件です。この条件を満たしていて、実際に地熱発電をやっているところは、アイスランドやフィリピンなどの火山帯地域に限られたところになります。発電としての利用のみならず、暖房などの温水としての利用価値があります。近年、熱源さえあれば、人工的に、温水や蒸気を取り出す技術が開発されており、潜在性が高まっております。2050年には世界の発電量の4.9%まで達すると予測されます。欠点はあります。温水や蒸気とともに、二酸化炭素や有害物質も取り出されてしまうこともあります。地層のバランスが崩れ、地震を誘発したり、振動による人体への障害も考えられます。いずれにしろ、そういった地下の状態を見極めるのも含め、膨大なコストがかかります。これは、国家的プロジェクトの中で、長期的視野で進めるべきものと考えます。風力や太陽光などの再生可能エネルギーのような、時間的変動もない安定的なエネルギー供給が受けられることは、今後期待できるエネルギーであるといえます。

ソーラーファーム solar farm

ソーラーファームとは火力発電所のような、発電所として機能する大規模ソーラー発電所のことです。地球上に降り注ぐ太陽光は無尽蔵に近い存在です。光を電圧に変え、エネルギーを得ることはつい最近のことではないようです。
近年、地球温暖化対策が叫ばれるようになり、再生可能エネルギーとして太陽光発電が見直され、普及し始めてきました。火力発電によるものよりも、コストも下がり、今や、これらに肩を並べるあるいは、コスト的に有利になってきているようです。弱点は太陽が出ていないときは発電が出来ないことです。安定供給が求められる送電システムにおいて、これを、風力や地熱などの他の再生可能エネルギーとどうバランスを取っていくかが課題です。砂漠や軍事基地、使われていない埋立地など有効活用することにより、今後も再生可能エネルギーの拡大するための貢献度を増していく存在であると考えられます。

屋上ソーラー rooftop solar

太陽光発電を、屋上に設置したソーラーパネルにより、実現したものが、屋上ソーラーです。大規模送電網を必要としなくても、電気を自給できる手軽さから、急速に普及しました。余剰電力は、バッテリーで蓄電したり、送電網を通じて売電できます。大掛かりな送電網インフラを必要としないので、10億人以上もいる電線がない低所得国地域でも需要が期待できます。

波力と潮力 wave and tidal

寄せては返す波、潮の満ち引きで生じる、上下往復運動を使い、タービンを回して発電するのが波力・潮力発電です。特に、干満差が激しい、湾、入り江が適しているとされています。潜在的なエネルギーは膨大です、絶えず繰り返しています。但し、余り普及してこなかったのは、この波や潮力といった、自然現象を運動エネルギーにかえる技術的な難しさがネックになっております。海水を利用するため、塩害に対する素材の開発、機器のメンテナンスに多額の費用がかかります。海中に沈めるために海洋生態系にも配慮が必要となってきます。技術の進歩と、実用化に向けての政策が今後の普及の鍵となってきます。

集光型太陽熱発電 concentrated solar

太陽のエネルギーで発電する太陽光発電と同じように、集光型太陽熱発電も太陽のエネルギーを使います。違いは、太陽光線を反射鏡を使って集め、水を沸騰させてタービンを回し発電することです。太陽が輝いている限り、無限に近いです。しかも、太陽が隠れても、溶解塩タンクに蓄熱でき、発電を継続できることです。5から10時間は持続できます。太陽光や風力によるものをバッテリーに蓄えるのと同じようなことが出来る事は、この発電の大きな強みです。潜在的な、発電適所はまだまだたくさんあります。緯度15度から40度までの乾燥した地域が発電に適しています。但し、発電に使う、水の問題、エネルギー効率、コストの問題がネックとなっています。同じ太陽を利用するのであれば、太陽光発電の方が、優位だからです。但し、今後、太陽光発電との、コストとの関係や、普及の度合いによって、この発電方法が、普及していく可能性を秘めたものであることには間違いありません。

バイオマス biomass

炭素貯蔵は、地球温暖化対策の一つの方法です。石炭や石油は、古代に植物の残骸によって貯蔵されたものです。これを燃焼させるということは、地球温暖化対策に逆行しています。生ごみや廃材などの廃棄物をエネルギーに利用するのはどうでしょうか。焼却されれば、二酸化炭素を大気中に放出されます。そのままにしておけば、腐敗し、温室効果ガスである、メタンを放出してしまいます。これをエネルギーとして利用すれば、化石燃料の代替になります。間伐材利用も同様にかんがえられます。炭素貯蔵されたものを利用していますが、これをドローダウンに加えているのは、その素材である、植物が持続的に炭素貯蔵を続け、持続可能であるということです。但し、トウモロコシやソルガムのような毎年の穀物を使用する物の利用は、地下水が枯渇し、大量のエネルギーを必要とします。原生林の利用は生態系に大きく影響を受けることになる為論外です。本当に、持続可能になっているか、すべてライフサイクルの中で検証することが難しいので、持続可能なものと捕らえがたいと考える人もおります。ドローダウンの目的として、いかに二酸化炭素放出を減らすかということなので、究極的には、バイオマス利用は、廃棄物を出さない、二酸化炭素を放出しないエネルギー利用の過渡期的存在として、位置づけております。

原子力 nuclear

原子力発電は、原子核を分裂させて得られるエネルギーで水を沸騰させてタービンを回して電気を発生させるものです。発電そのものは二酸化炭素を発生させません。ところが、このドローダウンに原子力が含まれているのは、おそらく大多数の読者が疑問に感じることでしょう。多くの先進国では、この原子力発電に現在も少なからず依存しております。文明が進み続けている以上、電力需要は生活にかかせないものになってきています。それを他のドローダウンの解決策でまかなえるればいいのでしょうが、現実にはそうなっていません。昨今、政治情勢のこともあり、地球温暖化防止を進めていく中で、原子力利用が再び注目を集めております。第四世代の原子力発電所は従来よりも安全性が向上しているというのが推進派の根拠とされております。実際、将来的には、再生可能エネルギーが主力になるつなぎとして、推し進めていこうとする国が多いです。日本政府もそのような考えです。原子力発電はいろいろな問題点を含んでおります。放射性廃棄物の処理、核兵器の製造、安全管理、建設管理にかかる膨大なコストなどを考えると、長期的には深刻な事柄を秘めております。ここでは、悔いの残す解決策として述べられております。

コジェネレーション cogeneration

石炭火力や原子力などの発電のエネルギー効率は3割ほどといわれております。残りは、そのままではむだにすてられてしまいます。この、残りのエネルギーを活用することを、コジェネレーションといいます。フィンランドやデンマークなどの北欧の諸国では、以前から積極的にこのシステムを導入してきました。1970年代の石油危機をきっかけに、エネルギー安全保障の観点から政策として推し進められてきました。コジェネレーションは地域暖房システムにつながっております。普及を後押しするのは、政策転換です。特に、大規模送電網による、電力供給に頼らない、地域分散型エネルギー供給システムに真価を発揮します。いろいろなルーツに対しての発電にこのシステムは付け加えることが出来るので、エネルギー利用効率を上げる上で、欠かせないものになってくるでしょう。

小型風力発電 micro wind

小型風力発電は、一昔前の農村にある風車に似ています。風の力を動力に変え、脱穀したり、水を汲み上げたりします。発電し、バッテリーにたくわえて、電灯や、電化製品を動かすのに使われれば、電気の自給自足になります。大規模送電網がない、低所得国の生活を潤すことが期待されます。再生可能エネルギーである、風力発電なので、温暖化対策につながります。また、大規模風力発電とちがって、騒音がない、景観を壊さない、農地や空き地など、手軽に設置できるといった、優位性があります。送電網が整っている、都市部でもビルの屋上などに設置できます。今後、小型風力発電を普及させていく鍵は、コストです。固定価格買取制度や、優遇税制など、政府の後押しにより、設置件数が増えてくれば、コストも下がってくると思われます。

[コラム] アレクサンダー・フォン・フンボルト

アレクサンダー・フォン・フンボルトは19世紀において今日の気候変動問題を考える上で基点となる最も有名な科学者です。2度の長期旅行の中で、人為的なものが、気候変動に及ぼす影響を観察し、説明しております。人間活動が気候変動に及ぼす要因として、森林破壊・灌漑・産業地帯での多量の蒸気、ガスの放出をあげております。これは、現代でも、当てはまる、重要な要素であり、そのことを2世紀以上前からフンボルトは警告していました。

小水力発電 in-stream-hidro

古来からある、水車を模したものを発電に利用したものである。巨大ダムと違い、水をせき止めることなく、川の流れの落差を利用している。落差がつく川が存在する、山間部の電化を進めるのに都合が良い。大規模な環境改変を少ないものの、川に生息する生物、魚の遡上に係わるもの等、に配慮する必要があります。落差が生じる、水道管の内側に、タービンをつけて発電することを実践している地域もあります。

メタンダイジェスター methane digesters

農業、工業、人間の生産活動から生じる、有機物残渣を利用します。これらを、密閉した空間で、微生物の活動を利用し、嫌気性発酵することにより、バイオガス、とダイジェステート(発酵残渣)を得ます。バイオガスはメタンと二酸化炭素からなり、燃料や発電に利用されます。ダイジェステートは肥料として利用します。二酸化炭素の34倍の温暖化効果であるメタン燃料を化石燃料ではなく、元々、活用されない、バイオガスを利用することにより、二酸化炭素削減につながります。

廃棄物エネルギー waste-to-energy

廃棄物をエネルギーにして利用するということは、二酸化炭素を削減する解決策ではなく、汚染物処理であるとしています。そもそも、廃棄物を出すこと自体は、人類の負の産物であり、推奨されることではない。リユース(再利用)、リデュース(削減)、リサイクル(再資源化)すべきものとしています。それにもかかわらず、ここでとりあげているのは、廃棄物を出さないような技術、習慣、政策などが、必ずしも、全世界で共有、実践されていない現状があるからです。これは、あくまでも、こういう事を浸透させるための過渡期としてのエネルギー利用であるとしています。特に、東アジア、中国などの新興国では、上記のような施策が弱い為に、廃棄物の多くが、利用しきれずに、埋め立てされてしまう現実があります。埋め立てた廃棄物は、そのまま放置しておくと、二酸化炭素より温室効果がある、メタンが発生します。そういうことから、埋め立てよりも、高性能な汚染物質除去装置をつけた焼却炉で燃やし、燃焼によって、その熱利用し、排出したほうが、相対的に二酸化炭素排出削減につながるとされております。

エネルギーグリッド(送電網)の柔軟性 grid-flexibility

グリッドとは、発電に係わる発電・送電・蓄電・消費のネットワークを指します。発電された電気と消費される電気は常につりあっている関係でなければなりません。需要と供給のバランスが求められています。その調整役としてグリッドがあります。再生可能エネルギーは、自然条件に左右される、風力・太陽光によるものと、自然条件に直接関係しない、地熱蒸気・流水・燃焼バイオマスに大別されます。断続的なものと恒常的なものが存在することになります。これをいかに振り分けて、バランスを取るかが、無駄なく、支障ない暮らしを維持する鍵となっております。国境をまたいだ大規模送電システムにおいて、その柔軟性を維持する役割がグリッドシステムであります。

エネルギー貯蔵(発電所規模)energy-storage(utilities)

発電されたものは、消費が無ければ、捨てられるだけです。発電するものとして、太陽光や風力は日々その供給が変動します。需要側では、夜間と昼間、冬と夏ではその消費量は変動します。その消費変動に呼応させるために、エネルギーを貯蔵する方策が必要となってきます。地形の落差を利用して、電気そのものではなく、そのポテンシャルを保存するという方法が行われております。電気が余る状況であれば、その電力を使って、高所にある貯水池に揚水し、足りなくなれば、放水するという、水力発電を利用します。水が無いところでは、それを鉄道の車輪の回転に置き換えて、電気を生み出すことも考えられています。太陽光や風力では、溶解塩やリチウム電池バンクで蓄熱し、貯蔵しております。

エネルギー貯蔵(分散型)energy-storage(distributed

自宅や工場・事業所で電気を生み出すことが出来る、太陽光や風力は、大規模グリッドシステムに頼らない、電気の利用の仕方を創出しております。その原動力として、電気自動車やバッテリーの低価格化、性能の向上があります。

太陽熱温水 solar water

住宅において、水を温めることで消費しているエネルギーは、住宅全エネルギーに対する4分の1を占めているとされております。太陽熱温水器を使用して、物理的に水を温めて利用することにより、その50から70パーセントを削減できるとされております。もちろん、二酸化炭素を放出しません。但し、太陽光発電による物と比べ、初期投資額や設置条件の複雑さが理由で、まだまだ資源として、活用しきれていません。イスラエルやキプロスでは、国による支援で、普及が進んでいる国もあるようです。近年では、太陽光との組み合わせで、設置を進めているところもあるようです。

食品 Food

植物性食品を中心とした食生活 plant-rich-diet

家畜の飼育による温室効果ガスの量は、世界全体の15%近くになります。牛などは反芻や、糞尿排出により、多量のメタンガスを出します。その餌となる、牧草を栽培するのに、広大な面積の土地と、化学肥料を使用することにより、亜酸化窒素の排出になります。動物性食品中心の食生活は、多量の二酸化炭素排出につながります。本来、家畜用の飼料生産に使われる農地を、人間が農産物として食べるものに置き換えることが出来れば、二酸化炭素排出削減につながります。また、植物由来の食事をすることにより、慢性疾患などの予防効果につながること、森林伐採や農地疲弊の解消、食糧不足による、貧困の解消につながっていくと考えられる。

農地再生 farmland-restoration

世界で、4億ヘクタールの農地が耕作放棄地となっております。しかも、そのほとんどが20世紀にはいってからになります。気候変動などの自然的要因、多量の化学肥料使用や、地下水利用による、土地の荒廃、収益性を考えて離農などの社会的要因がそのような事態を招いております。本来、農地として有効に利用されていれば、炭素貯蔵出来るところを、そのままにしておけば、その役目をなさないことになります。これらを解消させるには、時間と費用がかかるため、長い目で取り組んでいく必要があるとされております。耕作放棄地再生は、食糧安全保障、農民の生計向上、生態系の健全性、炭素のドローダウンということからも、無視できないものとなっております。

食料廃棄の削減 reduced food waste

農場や工場からの食品の3分の1は食卓に届かず、一方、全世界で8億人の人が飢餓状態にあるとされています。このミスマッチを解消することが、食糧不足による貧困をなくし、廃棄される食品からでる、温室効果ガス削減につながります。人間活動に由来する温室効果ガスの8%に当たる量になります。サプライチェーンにおける食品ロス問題は低所得国と高所得国では事情が異なります。低所得国では、インフラが整備されていないことによる、原材料などの貯蔵状況や、輸送手段、ロスを招きやすい道具、機械など、生産・流通段階でのロスが多いようです。高所得国では、販売段階、販売後でのロスが目立ちます。消費者のニーズに答えるべく、形を重視したり、売れ残りをブランド重視のために、再投入せず廃棄したり、需要と供給のバランスがうまく機能せずに多量のロスを生み出したりしている。総じて言えることは、生産・流通・販売・消費におけるサプライチェーンのなかで、食品ロスを考える必要があることです。その各段階において、個人の問題とせず、組合組織を通じて、あるいは、国の目標や政策を通じて、考えていく必要があります。

クリーンな調理コンロ clean-cookstoves

全世界で、40%ほどの家庭で、調理に固形燃料(薪・炭・動物の糞・作物残渣・石炭)が使われております。これらを燃焼することにより、煙とすすが大気中に放出されます。この排出物は、温室効果ガスとして、大気中に漂い、気候変動の要因となります。全温室効果ガスの2から5%に当たるとされております。また、これらを吸い込むことにより、人体に悪影響があるとされております。このような昔ながらの調理法による弊害は、持続可能でない、森林伐採をひきおこし、温室効果ガスを放出するという、二重のマイナス要因をひきおこすことになっております。
この、ブラックカーボンと呼ばれるものは、大気中で8から10日ほどで、大気中から消滅してしまうものの、二酸化炭素の気体と比べ、100万倍もの光吸収性があり、二酸化炭素についで、温室効果の影響があるとされております。
 解決策として、燃焼をガス化したものに替え、燃焼効率を上げることと、燃焼量を下げる効果を生み出すことにあります。クリーンな調理コンロを普及させる為に、2010年に国連財団が立ち上げたGACCあります。GACC主導により、特に、アジア・サハラ以南のアフリカがその重点地域として、すすめております。これらは、調理を主に担当する女性や子供などのジェンダー平等・貧困問題にも関連したものとして捕らえることもできます。

多層的アグロフォレストリー multistrata-agroforestry

自然林の水平的・垂直方向の生態系を作物栽培に応用した考え方で行うもののことである、農法のことでしょうか。ここでは、熱帯地域で栽培されているもの、たとえば、コーヒーを例に挙げております。元々、コーヒーの木は、林床の日のあたらないところで栽培されるものであったが、生産性をあげるために、日向の土地で単一栽培されるようになりました。このことにより、地下水が涸れ、肥料分が収奪され、土地がやせていくという状況をひきおこしています。多層的アグロフォレストリーの考え方は、本来の作物の生育条件を考え、多層的な植生の中で栽培することを目的としております。その収穫量は、単一栽培に比べれば、落ちますが、長い目で見れば、肥料や農薬の使用量を減らし、土地からの収奪が少なく、持続性のあるものになります。こういった条件で収穫されたコーヒーは、薫り高く、おいしいものとして、高値で取引されることにつながります。その分、零細農家にとっては、収益向上につながるものとして、期待されます。全世界で行われている、家庭菜園的なもの、あるいは、自給用作物栽培は、この農法に類似しています。少量多品種で、その土地にあったものを栽培し、自家消費する点では、商業的に栽培するものと比べ、コストがかかりませんし、土壌収奪もおきません。しいては、生物多様性を支え、多量の炭素を吸収(炭素隔離)して蓄えます。但し、一旦改変された土地を本来に近い植生に戻すのは、時間とコストがかかります。機械の導入が難しい為、収益性を考えると、人口密度の高い、小規模自営農家にたいしては、活路を見出せる可能性があります。

稲作法の改良 improved rice cultivation

稲作による農業由来の温室効果ガスはその全体の10%になります。全世界ではメタンガス排出の9~19%になる。これは、耕作地に水を張り、あたためられることにより、有機物が分解され発生するものです。その解消策として、SRI農法が考案されました。苗を疎埴し、断続的に潅水し、有機肥料を使用し、除草のための田車をひいて、土の中に空気を送り込むやり方です。つまり、稲という植物の生育環境を、活発な土壌微生物によって、良好状態にさせるものといえます。自然農法に近いこのような農法は、小規模自営農家に採用されており、収量も多いようです。但し、ここでいわれている、農法は、すべての土地条件に導入可能であるかどうかは、述べられておりません。特に、水田水の調節が、この農法の肝というべきものですが、果たして、その管理が適切に行われる農地がどれだけ存在しているかが温室効果ガス削減への貢献につながるものだとおもいます。

シルボパスチャー(林間放牧)

シルボパスチャーとは、ラテン語で森と放牧を合わせた言葉になります。放牧といえば、広大な草原で行われるのが、普通ですが、これは、人間の都合で商業化したもので、本来は、必ずしも、草原で無ければいけないというわけではないのです。牛などの反芻動物の飼育には、世界の耕作可能地の30から45パーセントの土地を必要としています。そして、これらの動物からのメタンガスは地球の温暖化に影響しております。森林伐採してつくられた草原で飼育するよりも、森の中での方が、動物たちも、本来の自然の中で生育することで、メリットが大きいそうです。動物は、森がはぐくむ土壌で生い茂った草を食べ、日陰で静養し、その排泄物で、土壌を肥やし、除草され、豊かな森を保つ。地上のバイオマス(植物本体)にも地中にも土壌にも、炭素隔離できます。また、きのこやメイプールシロップ、ナッツなどのさくもつとも組み合わせることが出来、多角的な経営を構築することが出来ます。そういうことから経営規模に係わらず、農家経営できるというメリットがあります。

「コラム」温室効果ガス削減の鍵は、人の心にある。

LED照明に替えよう、太陽光発電で電気を得よう、車をハイブリッド車にする、自転車通勤にかえる、などなど、カーボンニュートラルに貢献することにより、「自分は、地球のためにいいことをしているのだ。」という風に、人は、そのことに社会的意義をみいだす。その一方、たかが、そんなことを個人的に行っても、無駄であるという皮肉をもつ、自分も存在する。
 原始人的な生活をめざしているのでなければ、このような地球の環境のためにいいことをしようと行動している一方では、しっかりと、現代文明の道具である、電気を使い、スーパーで外国産の安い食材をあさり、コンピュータ・スマートフォンを駆使して、ちゃっかりと、IT社会の恩恵を受けている。「生きる糧を生み出す行為から分断されて、消費するだけの安いエネルギー頼みの思考に陥っている。」
作物を育ててみよう。何だって良い。本格的でなくてもいい。植物が生長していく様を見ていると楽しい。収穫して、その食材を使って料理すると、さらに実感する。余れば、ご近所様におっそわけしてもいい。そうやって、人とのコミュニケーションがひろがっていく。気候変動の解決策は、こんな些細な、思いを持つことから導きられてくると思う。

環境再生型農業 regenerative agriculture

環境再生型農業とは痩せた農地を回復させて行う農業です。その目的は、土壌の炭素含有量を回復させることにより、土が肥え、有用微生物を繁殖させ、病害虫の発生を抑え、生産性を向上させることにあります。慣行の農法は、化学肥料を投入し、よく耕し、雑草を押さえるために除草剤を蒔き、病害虫対策として農薬を使い、作業効率を上げる為に、大型機械を投入し、単一作物を多量生産をするやり方です。その結果、土が痩せ、化学肥料をさらに投入することにより、土壌流出、乾燥、地下水枯渇をまねき、農地として使えなくなってしまう。
 その方法として、不耕起(耕さない)栽培、多様な被覆作物、化学肥料・農薬を使わない、複数の作物を輪作するなどあります。耕すことにより、炭素は大気中に放出されてしまいます。土が露出されることにより、水分が蒸発してしまいます。化学肥料や農薬は、土中の微生物の数を減らします。そして、複数の作物を栽培することにより、作物の養分吸収に係わる、多様な微生物環境の維持につながります。この農法は、林間農法などの、ここで取り上げているものと関連づけ、その土地の置かれている環境にそって、柔軟に行う必要があると考えます。

窒素肥料の管理 nutrient management

化学的に合成された窒素肥料は、農作物の増収に寄与してきました。ところが、過剰に施肥されることにより、土壌中に残留し、有機質分を減らし、土壌流出により、河川・海洋環境の富栄養化を引き起こします。魚が死滅したり、硝酸肥料を分解する細菌により、二酸化炭素の298倍もの温室効果がある、亜酸化窒素の発生につながります。効果的な施肥システムとして、4つのRという手法があります。植物の要求や農機具の制約条件を考えた、適正な養分源(right resource)、効果が期待される所に施す適切な場所(right place)、効果が期待される時期(right time)、そして、温室効果ガス削減に最も関係している、適切な量(right rate)です。このような手法を、法律的に、義務化することも考えられますが、むしろ、奨励策や教育プログラムを浸透される事が優先すべきと考えます。農地の実情に合わせて、受け入れられるやり方が、得策である。肥料管理には、特別なインフラを必要とせず、投資がかからずに実施できる、有効な二酸化炭素削減につながるものです。

間作林 tree intercropping

木々の間に作物を植える間作林というやり方は、古来から世界各地で行われているようです。木の根は、下層の土壌を肥やします。また、防風林の役目を果たす為に、その間に植える作物は、肥料を多量に投入しなくても、良く生育するということです。そのやり方は、いろいろあるようです。アレイ栽培では、木や生垣などを縦に狭い間隔でうえ、その間に、とうもろこしなどの作物を植えます。マメ科の植物は、窒素を土中にたくわえるので、その栄養分で、作物が成長します。また、家畜の飼料となる、シロアカシヤなどの木をうえ、牧畜と組み合わせて行うやり方もあります。そこには、その土地がそのような環境であるかを理解したうえで、適切な方法で、行う、知恵が必要となってきます。古来の生態学的手法ともいえます。近代、単一種多量機械化農業とは、対極にある、間作林による農法は、あながち、土壌の収奪をなくし、持続可能なものであるため、結果として、収量の増加、温暖化防止につながるものと思われます。

環境保全型農業 conservation agriculture

土壌の撹乱を最小限に抑える、地覆植物を維持する、輪作を管理するが環境保全型農業の原則とされております。土壌の生態系への貢献をいかし、農業者の収益向上と、気候変動に対処した農業と考えております。環境再生型農業と似ていますが、今ある農地を生かすという点で差別化しています。農薬や化学肥料の使用も許容しております。特に、不耕起にすることがポイントです。土壌からの蒸発散をふせぎ、炭素や窒素の放出を防ぐことは、温室ガス放出をふせぐことにつながり、土壌流出や、灌漑、農薬・化学肥料の使用を抑える意味でも有用です。但し、結果がすぐに農家の収益に反映されないので、小作農や、小規模農家にとっては、そこがネックとなります。補助制度など、国の施策で、バックアップしていけば、大きな成果につながると考えております。

堆肥化 conposting

世界で消費される固形廃棄物の半分は有機物、すなわち生分解されるものです。有機物は、そのままの状態では、腐敗し、温室効果ガスである、メタンを放出します。これを、堆肥という、古来から肥料としてつかわれたものに替えることで、二酸化炭素削減につながります。近代農業は化学肥料の使用により、作物の生産性を増大させてきました。ところが、植物が養分を吸収し生長するために、土壌中の微生物が深く係わっていることがわかってきました。微生物が有機物を分解し、それを植物が根から吸収します。微生物は、その植物から供給される炭水化物を餌とします。こういった関係を作り出すのに有機物に適度な空気と水分と温度を加え、発酵させたものが堆肥です。これを作物に施すことにより、窒素価格肥料の使用を減らし、土壌中の生態系保持に貢献することになります。米国やEU諸国などは、家庭から出される生ごみを堆肥化することを義務付けているようですが、発展途上国などは、施設面、運用面、教育的な側面で進んでいませんので、十分、ポテンシャルがあるものと考えられます。

バイオ炭 bio char

有機廃棄物を土の中に埋めて燃やすと、炭ができます。この炭は、土壌を肥やす作用があります。炭自体が肥料になるというのではなく、土壌中の微生物のすみかとなり、その微生物が土を肥やします。これは、有機物から炭素を排出するのを阻止し、炭素を地中のとどめておく作用があります。このような利用の仕方は、古来からの慣習として、世界各地で行われてきました。現代社会において、これを実践するには、都市生活者や農業者が利用して、廃棄されるものを幅広く集める必要があります。廃棄物でないものをわざわざ集めることは、炭素隔離につながりません。このことを踏ませた上で実践する必要があります。

熱帯性の樹木作物 tropical staple trees

一年生植物は、毎年、枯れては、種から発芽しを繰り返すので、土壌から大気へ炭素を放出してしまいます。作物の89%はこの一年生植物ですが、これを多年生植物に変えれば、炭素隔離につながります。熱帯性樹木植物には、この多年生農作物が豊富です。バナナ、ココナッツ、やし、アボガド等、食卓になじみのある農産物がこの熱帯性樹木植物です。一年生作物と違い、機械化が難しいことが、欠点といえますが、そのことが長所にもなっています。森林農法や、間作林など、環境保全型農業を導入するのにうってつけであるといえます。何度も、農地を耕作リセットする必要が無いので、植えてしまえば、コストはかからないので、低所得国で、広まっていくポテンシャルが高いものと思われます。

農地の灌漑 farmland irrigation

世界全体で農作物生産の40パーセントが灌漑によるものとされております。灌漑による、水利用に係わる作業(汲み上げ、分配)でエネルギー消費による多くの二酸化炭素が排出されます。この水を効率的に利用することにより、温室効果ガス削減につながります。点滴灌漑、スプリンクラー灌漑はその解決策として考えられます。ところが、水を制御する装置や技術は、一部の先進諸国におけるものに限られ、発展途上国の小作農では、いまだに、旧態の、全面浸水・潅水による、水利用になっております。水管理のシステムを、この地域に導入すれば、エネルギー消費削減にもつながり、地下水位低下や、土壌浸食問題、土地を巡る争いをも解決に向かうことが考えられます。

[コラム] 自然の隠れた半分 the hidden harf of nature

人類は、土の中にいる微生物がどのように暮らしているかなど、10分の1ほどしかわかっていない。自然の隠れた半分とは、このことを言っているのだと思う。植物は、土の中の有機物を直接吸収して成長しているのではない。微生物が有機物を分解し、根に吸収させている。植物の構成物質の中で、窒素・リン・カリウムなどがそのようなプロセスで維持されている。では、炭素はどうなのか。それは、植物が大気中の二酸化炭素を葉から吸収して、取り込んでいる。これを、光合成という。このような仕組みは、化学肥料や農薬のを使用し始めた以後にわかってきたことである。人類が、地球上で、その存在を維持する為に、膨大な量の作物の生長が必要とされている。化学肥料使用・遺伝子組み換えにより、その解決策をみいだしているようにおもえる。しかし、それは間違っている。自然界の生態系の大いなるバランスの中で、数ある生命の営みが維持されていることを、自覚すべきである。そのことを暗にここで主張している。

管理放牧 managed grazing

放牧地で、動物が草を食べ、移動し、食べられた草地が元の状態に回復するのは、その土地における、地形、土壌・気候条件に左右されます。このような、草食動物と草地との関係を良好に持っていくことを考えた放牧が管理放牧としています。適正な数の動物、草地の状態を回復させる為の、ローテーション間隔・動物を集約させるパドックなどをその土地にあわせた、放牧をすれば、土地の有機物蓄積量も維持され、炭素隔離につながります。世界全体では、4億ヘクタール以上の放牧地が管理されていない過放牧状態にあることからすれば、これを管理放牧にすることにより、炭素隔離の量が増えることが期待されます。

女性と女児 woman and girls

小規模自営農の女性 woman smallholders

小規模自営農の女性と地球温暖化とはどのように結びついているか、我々にはぴんと来ない話です。その視点は、低所得国の状況にあります。小規模自営農の担い手として、農業労働人口の43%が女性であり、6から8割の食用作物の生産に係わっております。しかも、無賃金・低賃金で働き、土地所有権や農業技術の取得・教育 など、男性に比べ、不平等な状況を強いられています。世界で高所得国と低所得国の食糧供給の格差を考えた場合、この問題がさらに、格差を助長していくことになります。森林伐採して、農地を増やすことにより、食糧供給を増やすことは、温室効果ガスの増加につながります。この地域での、女性の権利の不平等をなくすことにより、自営農の働き手である女性の、権利を向上させ、知識の蓄積により、生産性が向上し、森林伐採しなくても、農業生産していけるようになります。

家族計画 family planning

人間が環境に及ぼす影響はIPATという等式であらわされるとされる考え方があります。Impact(影響) = Population(人口)+ Afluence(豊かさ) + Technology(技術)ということになっております。その中で、人口というのは、「地球上にいる人間の数を減らせば、地球温暖化防止につながる」ということがいえるのではないかと考えてしまいます。このことは、一般的には、受け入れられない、タブーとなるものとおもわれます。但し、地球上で、望まれない出産があるという事実が、この問題に、ちょっと別の角度で、考えられるものです。特に、低所得国では、避妊の機会が、女性の権利として認められていないということ、そういうことを含めた、家族のあり方についての教育・知識が不足していること、などがそうさせている側面があります。こうした問題を解決することにより、出生率が下がり、人口が減少し、そのことが、地球環境への影響力が少なくなるという、図式が考えられます。

女児の教育機会 educating girls

世界全体で見れば、女性が自然環境に係わることが多いです。低所得国では、水汲み、農作業、食事作り、家事育児などがそれにあたります。どういうことかというと、水道がなければ、その場所で、いかに効率的に水を得る事を考えなければいけないことでしょう。農作業は、手作業が多ければ多いほど、季節や、土地の自然環境の見極めガ必要になってきます。食事家事は、家族の生命維持に係わってきます。こういった状況で、知識が十分備わっていれば、効率性が高くなり、自然環境に対する付加も軽減されます。一億3千万の女児が教育機会を失っております。しかも、中等教育まで終了する人まで含めると、さらに、多くの人がいるということです。知識があれば、出生率も下がり、人口が減ります。農作業の効率化が進めば、少ないエネルギーで食料生産が見込めます。これは、気候変動、温室効果ガス削減につながるポテンシャルは高いものと考えられます。

建物と都市 buildings and cities

ネット・ゼロ・ビルディング net zero buildings

消費するエネルギーと生み出すエネルギーが差し引きゼロになる建物を言います。建物の中で、自然光を取り入れつつ、断熱効果を高め、なるべく、電力の消費を少なくし、なおかつ夏は涼しく、冬は暖かくする。人間活動で生じた汚水はその場で堆肥化する。太陽の熱を利用して、発電・蓄電するなどして、このようなことを実現します。その概念は、建物を、自然界にある有機体と同じようにするという考え方です。この思想の元に、先進国各地で、建物を新築するときに、ネットゼロを義務付けている自治体もあるようです。

歩いて暮らせる街づくり walkable cities

近年、車社会であるがゆえに、車から出される排気ガスにより、温室効果ガスの上昇を招いております。なぜ、人は、車を利用しようとするのか。物流に係わることであれば、仕方ないことでありますが、我々、生活者は、都市における利便性を求めております。生活用品を買うためであったり、職場通勤であったり、遊び場や、癒しを求めるものであったりします。そのような欲求を車を使わず、徒歩圏内で済ますことが出来れば、温暖化防止対策になるという考え方です。個人で出来ることではありません。周到な都市計画案の下で、実現できることです。世界の都市生活者は今後ますます増え続け、2050年には、全人口の3分の2を占めるといわれております。計画性を持って、歩行優先の街作りをすすめでいく必要があります。

自転車インフラ bike infrastructure

都市の中での移動手段として、車を使うよりも、自転車を使うことが環境に優しいです。自転車は排気ガスを出さないクリーンな輸送手段を実現するからです。西欧、特にオランダやデンマークでは、都市における自転車利用者が他の国に比べ、多いです。これは、自転車専用道路が多く、自転車優先のインフラとして整備されていることによると思われます。自転車利用は、温暖化対策のみならず、運動不足による、メタボ対策にも貢献します。また、ストレス解消にも効果があるとされています。今後、世界中の都市で、このような動きが高まれば、より、温室効果ガスの削減が進むことと思われます。

屋上緑化 green roof

建物の屋根の役割は、主に雨風を防ぐことだと思います。この都市空間における屋根がある建物の大きさに占める割合は、地球環境に影響を及ぼすほどです。都市部のヒートアイランド現象はこの、建物から発する熱によるものが大きいです。この屋根の部分を、植物環境で覆ってしまえば、この部分の熱エネルギーが吸収され、冷暖房にかかるエネルギー節約につながり、温室効果ガス削減につながるということになります。世界では、ドイツやシンガポールなどの、都市における建物の、屋上緑化を推進している自治体があります。エネルギー節約のみならず、雨水貯蔵、緑の癒しを与える等、その有用性は高いものとおもわれます。但し、それなりにメンテナンスが必要です。一方、屋根を植物ではなく、熱を跳ね返す、素材・色で屋上緑化と同じ効果をねらったものがクールルーフをいわれております。こちらは、コストもメンテナンス性も少なく、より現実的とされております。太陽熱吸収パネル・太陽光発電パネルも含めて、屋根のこのような利用をすすめれば、地球温暖化対策につながっていくものと考えられます。

LED照明 led lighting

照明は、全世界の電力消費の15%を占めていると言われております。一方で、10億の人々が電灯のない暮らしをしているそうです。照明は3種類の光電タイプがあるそうです。白熱球、蛍光灯、LEDになります。その中でも、LEDは電子を光子に替える効率性をそなえており、白熱球や蛍光灯より、消費電力が少なく(90%白熱球より少ない)、27年ほどの寿命があるということです。但し、少々コスト高なのですが、広く普及すればコストも下がり、しかも耐用年数が長いので、コストパフォーマンスが良いようです。このような特性を利用して、太陽光自家発電と組み合わせて、電灯のない地域に普及し、貧困対策につなげることが出来るという側面があります。

ヒートポンプ heat pumps

建物の冷暖房にエアコンを使うことが当たり前になってきています。特に、米国では、その使用量は、アフリカ大陸での全用途での電力使用量に匹敵するといわれております。今後、新興国、特に、中国での使用量が増えてく事を考えると、このエアコンにおける使用量を減らしていくことが、温暖化防止対策になると考えられます。エアコンを適切に制御して使用することでエネルギー消費を抑えることができるでしょう。ヒートポンプは、このエアコンに代わって、温暖化対策を推し進める上で、冷暖房に使用、普及できる存在であります。建築部門でのエネルギー消費は全エネルギー消費の32%です。その3分の1は冷暖房用とに使われております。そのことを考えると、ポテンシャルは大きいです。原理は、冷蔵庫と同じです。コンデンサ、コンプレッサー、膨張弁、蒸発機です。外気を取り込み、熱の出し入れで建物の内部の温度をコントロールしています。エアコンよりも少ない電力で動きます。普及率は世界全体で0.02%に過ぎませんが、広く普及することで、コストも下がり、温暖化対策に項コンスルことが期待されます。但し、低周波による人体への影響が懸念されている問題も抱えております。

スマートガラス smart glass

建物の開口部には、ガラス窓が取り付けられております。ガラスは外からの光を通し、室内を明るくします。しかし、暑さ寒さもとおしてしまいます。断熱効果がすくないです。スマートガラスは、ガラスに断熱効果を兼ね備えたものとして開発されました。可視光線と熱放射の両方をコントロールすることにより、実現されます。ガラスの色を変化させることにより、暑いときは、可視光線だけとうし、寒いときは両方をとうすようにコントロールするのです。それを、電気による、エレクトロニズムガラスという技術や電気を使わず、外気温の変化におおじてコントロールするサーモグラフィックガラスなどがあります。但し、普通のガラスよりも、コスト高なので、高所得国でしか採用されていないようです。冷暖房にかかるエネルギーを抑えるために、スマートガラスがもっと使われるようになれば、コストも下がり、普及が進むことが期待されるようです。

スマートサーモスタッド smart thermostats

スマートサーモスダッドは、建物の冷暖房システムを制御するものです。先進国の一部で採用されております。手動では、昔からこのようなものがありましたが、ブロードバンド環境・スマートフォン所有者の増加・AIの普及により、欠かせないアイテムになってきています。今や、建物の使用状況を学習し、自動で制御するものにがわってきております。エネルギー利用のピーク時、価格のピーク時、排出のピーク時を学習することにより、自動制御するように出来ております。エネルギー削減率は業界の推計では20パーセントほどになりますが、EU諸国などの冷暖房エネルギー使用量は、全エネルギー消費の半分を占めていることからすると、削減効果は大きいです。但し、コスト高になるので、他の最新テクノロジーを使った温室効果削減機器と同様、普及を後押しする要因をつくれば、その目的にかなうことが出来ると思われます。

地域冷暖房 district heating

地域で冷暖房を行うのは古来の都市では古代ローマなど、すでにあるようでした。地域の中で、特定の箇所に熱源をもうけ、パイプを張り巡らせて、水道の配管と同じように、ここの建物に、供給するという方法です。近年では、コンピュータ制御機能も加わって、より効率的に、地域冷暖房システムが行われてきています。とりわけ、北欧諸国では、このシステムが広く、波及しているようです。問題は、その熱源です。これまでは、石炭火力エネルギーや、廃棄物の燃焼によるものがつかわれていました。これを、太陽光やバイオマスエネルギーにおきかえれば、温室効果ガス削減につながります。北欧以外の場所では、そもそも、建物が個別冷暖房として、設計されているものが多く見受けられますが、これを地域冷暖房システムに替えることで、エネルギー消費の効率化につなげることが出来、さらに、熱源を再生可能エネルギーにすれば、より、温暖化効果ガス削減につながることでしょう。このような、大規模プラントは、個人の力ではなかなか現実的なことではないので、自治体主導で行う必要があります。

埋立地メタン landfill methane

人間活動により排出されたものは、一部は再利用・再資源化によって、循環されますが、最終的には、ごみとなって処分されることになります。そして、処分場で、燃焼できない・燃焼すべきでないものが、埋め立て場に集積されることになります。埋立地からは、そのまま山積みされるとメタンガスと二酸化炭素が半々の割合で発生するといわれております。廃棄物のほとんどは、有機物であり、埋め立てにより、内部では、嫌気性微生物により分解されます。その際に発生するメタンには、世界全体のメタンガス発生の12パーセントになるそうです。そして、メタンは、二酸化炭素に比べ温室効果が最大34倍になります。これを、回収すれば、メタンは、エネルギーとして発電や、燃料に使用できます。方法は単純です。パイプを埋立地の底までおろし、発生するガスをパイプに集めます。完全にクリーンとはいえませんが、そのまま放置するよりはましです。特に、今後、埋め立てごみが増えていくことが予想され、避けて通れないものなので、回収を前提に埋立地を設計していく必要があります。特に、低所得国では、そのままの状態で、放置している状態なので、再資源化・再利用を含めて、焦点を当てていく必要があります。

断熱 insulation

建物に断熱材を使用することにより、冷暖房に係わるエネルギーを減らすことが出来ます。特に、外気からの侵入によるエネルギーの損失は家庭で使用されるエネルギーの25パーセントから60パーセントになるといわれております。熱エネルギーが損失される要因として、材料同士の熱交換(伝導)、空気や水などの流体による対流(熱循環)、電磁波による熱移動(放射)があります。これらをいかにおさえるかが、断熱効果を上げる効果につながるとされております。断熱材として、近年いろいろ開発されております。特に、廃棄されるようなものを、利用した場合は、特に、温室効果ガス削減により貢献することになります。古着や動物の羽などはその例です。コスト高になりますが、公的な奨励策により、普及されることが期待されます。断熱材自体は、一度設置してしまえば、耐用年数は長いので、長い目でみれば、コスト高を気にしなくなることでしょう。

建物の改修 retrofitting

新築の建物の設計施工に関しては、法律により、省エネが求められている国が多々あります。しかし、古い時代に立てられたものに関しては、まだまだ、エネルギー損失が十分解消されているとはいえません。世界に15万平方キロメートルある建築ストックの99パーセントがこの問題に手付かずです。グリーン化(省エネを考えた)された建物は、温暖化防止のみならず、そこを利用する人々に健康でクリーンな空間を与え、創造性や生産性の向上、幸福度が高くなるといった効果をもたらします。よって、入居率も高くなり、改修工事にかかるコストも、数年で回収することができます。

水供給システム water distribution

貯水池から水道の蛇口まで、水を供給する為のエネルギーは電気動力でポンプを使い圧をかけることに使われます。水は重たいのでそれなりにエネルギーを消費します。世界中で、このような水供給システムをつかって水を利用している、かなりの部分で、ロスがあります。それは、漏水です。高所得国のみならず低所得国でもその量は、供給量の半分ぐらいになることもあるそうです。この漏水を見つけふさぐ技術は必ずしも、全世界に行き渡っているわけではありません。そこには、漏水対策にかかる費用よりも、水道供給システムを新設したほうが、手っ取り早いからだと考えます。地球温暖化対策から考えると、配水の効率化はエネルギー削減につながります。資金面・技術面でのグローバルな取り組みがこの問題解決につながると思われます。

ビルのオートメーション building automation

建物を管理する上で、省エネに導く、スマートガラスや冷暖房システム、など一元管理する必要があります。これを、オペレータが手動でコントロールするのではなく、省エネ効果を最大限に引き出せる、自動化にすれば、温室効果ガス削減に効果が上がるということです。このように管理されたものを、ビルオートメーションシステムBASとよばれ商業ビルでは導入が進みつつあります。但し、このようなシステムの導入は、商業ビルに入居しているテナントの企業活動に直接利益となってくるものではないので、なかなか進んでいかない側面もあります。長い目でみれば、快適なビル内の居住環境に貢献しているので、生産性向上にもつながっていくものと考えております。IPCCによると建物から出るエネルギー消費は、エネルギー消費全体の3分の1、温室効果ガスの約4分の1を占めているので、無視できないものです。

土地利用 land use

森林保護 forest protection

温室効果ガス削減の解決策として、炭素隔離貯蔵と排出削減という二つの方法が大きく分けて考えられます。人間活動により生じたガスを再生エネルギー利用や省エネルギーにより、排出削減につなげるのは、人間自身による能動的な方法です。炭素隔離貯蔵は植物の炭素同化によるものしかありえないものとおもわれます。そういうことからすると、世界の森林の存在は、とても重要な役割を果たしているといえます。現在、5000億トンもの炭素を森林が隔離貯蔵しているといわれております。但し、現代では食糧生産やエネルギー消費のために、森林面積が減少してきています。かつては、陸地を覆っていた森林は、いまや全陸地の30パーセントまで減少してしまいました。そして、現在も、それは続いております。森林保護の必要性は、国連主導でのRDD+などの森林保護の取り組みなどにより、国や、企業により、共有化され、進められてきております。それでも、その制度をすり抜け、森林伐採される地域が後を立たない現状にあります。森林を伐採する人は、それによって、農地にかえて、作物を生産し、利益を得るほうが、得と考えるからでしょう。この考え方を改め、森林を保護することによって、利益が得られる方向付けを行うことが、必要と思われます。それには、森林保護による、利益を、国や、地域が保証し、保護当事者を支えていくことが求められると考えます。それには、森林を保護する重要性を認識し、広め、実際に行動につなげる管理体制システムを築くことが必要になってきます。

沿岸湿地 coastal wetlands

陸地と海洋の境目、特に河口などに、陸地から流れてきた有機物が堆積し、湿地帯になっております。荒地のようなエリアと思われがちですが、海鳥や海洋生物など、実に多種多様な生物の宝庫となっている生態系を形成しております。また、帯水槽としての、水ろ過システムの役割もはたしているといわれております。温室効果ガス削減の観点からみると、炭素貯留の重要な場所でもあります。特に熱帯地域では、植物の成長が早く、枯れ死したものが多量に積み重なり、嫌気性微生物により、ゆっくり分解し、炭素を蓄えます。その量は、長期的に見て陸生の熱帯林の5倍もの炭素を蓄えているといわれております。近年、パームオイルの生産や、えびの養殖など、開発が進み、沿岸湿地が失われつつあるようです。重要な役割を果たしているこの地域を保護する為に、ラムサール条約が締結され、各国で、湿地保護の動きが始まってきました。このような修復再生のプログラムにおいて、企業側に義務付けられている、温室効果ガス削減として、カーボンクレジットによるカウントダウンとして、利用されています。ただし、このような取り組みが、低賃金労働として地元住民を雇い、結局、その地域に還元されていないケースもみうけられるようです。このような問題を解決に結びつける為に、そこの暮らしと、生態系を十分理解した、取り組みが求められています。

熱帯林 tropical forests

世界の陸地面積の12パーセントを覆っていた森林は、いまや5パーセントまで減少してしまいました。とくに熱帯地域の森林は、パーム油、コーヒー園、家畜の放牧地など、食料生産のために、多くが失われてきました。熱帯林における炭素隔離固定量は、世界全体の多くの割合を占めております。このような森林現象の危機感を受け、国連農業機関FAOの提起により、森林再生プロジェクトが各国で行われてきました。そこには、森の生態系に即した再生に加え、その地域の森に係わる、ステークフォルダーの生命活動をも考え、持続可能な形で、進める必要があるとの認識の上で進められてきています。森林から得られるものは、食料生産などの収入面、食糧安全保障、エネルギー、癒しから生まれる健康面、など、人間活動や福利のダイナミックな原動力としての存在になっております。特に、熱帯地域での比重は大きいので、今現在、活発に、森林再生に向け動き始めております。それとともに、肉生産を減らし、その分を、穀物生産に向ければ、まだまだ、温室効果ガス削減の効果につながる余地を生み出すことが出来ます。

竹 bamboo

竹は主にアジア地域で古来より、いろいろなものにりようされてきました。竹はどの植物よりも、成長が早く、しかも、コンクリートのような圧縮強度とスチールがもつ引っ張り強度をそなえています。加工しやすいので使い勝手がよい物と考えられております。温暖化効果ガス削減の観点から、炭素隔離に大いに貢献しております。草木植物である竹は、プラントオパールという繊細なシリカ(二酸化珪素)を含んでおります。これは、容易に分解することが無いので、長期にわたって炭素隔離される事が期待されます。但し、欠点もあります。成長があまりにも早いので、生態系に影響が与えるということです。人間の手による管理の下、荒廃地、特に浸食が激しい土地、急斜面などに植生すれば、有用なものになるとおもわれます。

[コラム] 砂漠を止めた男 the man who stopped the desert

アフリカサハラ砂漠周辺に生きる人々は、近年、砂漠化の進行により厳しい生活環境を強いられている。そのため、ngoを通じて、このような気候変動を食い止める為、技術的にも、資金的にも支援されてきた。「砂漠を止めた男」の話題は、こうした支援プロセスとは異なった、方法で、その解決策を探り、実践している人々の話として、とりあげている。それは、農民管理型自然再生と呼ばれるものである。サハラに住む農民自身が、旱魃に見舞われたときに、作物の周りに溝を掘り、水をためて渇きを防ぐ古来からのやり方から、その溝の中に木が芽生え、それが成長し、日陰を作り、作物が良く育つことを発見した。このことが、土を肥やし、葉が家畜の餌になり、その糞が更に土を肥やし、持続可能なものになった。ngoなど、外からの資材や知識によるものでなく、そこで暮らす住民自身が、考え、解決策を導き出す。これこそ、世界各地で起こっている、気候変動の持続可能な解決策につながるのではないか。但し、ngoや国としての施策が必要ではないということではない。土地所有に関する法律や、情報共有の面では、その果たす役割を見出すことが出来るのである。

多年生バイオマス perennial biomass

米国では、ガソリンにバイオエネルギーとして、エタノールを一定の割合で添加することが義務付けられております。エタノールを生成するのに、とうもろこしが使われてきました。これは、温室効果ガス削減のための施策です。ただ、その効果に関して、懐疑的なものとして、考えている人は、多いことでしょう。とうもろこしは、食糧生産のための、農地を占有してしまい。食物の高騰を招きます。また、とうもろこしは一年生植物であるため、毎年植えつけなくてはいけないため、農地を耕す、種をまく、等に使われるエネルギーを多く使うことになります。結局、カーボンニュートラルにはならない。バイオエネルギー利用は、温室効果ガス削減に貢献しているのですが。これを、多年生植物にかえれば、その恩恵を享受できるのではないかと考えることが出来ます。ススキなどの植物は、一度植えてしまえば、手がかからず、管理に費やすエネルギー消費を削減することが出来ます。とうもろこしを多年生植物に替えるだけで、85%もの排出量削減につながるといわれております。但し、バイオエネルギーとして、植物を栽培することは、結局、食糧生産のための作付けと競合してしまうので、持続可能なものとして、生産することを前提として考えるべきでしょう。

泥炭地 peatlands

泥炭地は、湿地において、植物が枯れて積み重なり、分解されにくい状態で、層となっている土地をいいます。世界の陸地の3パーセントに過ぎませんが、炭素を抱えている量は、世界の森林の2倍とも言われております。60センチから18メートルほどの、泥状になった層は、50パーセントもの炭素含有量をしめています。以前は、これを燃料として利用されていました。また、熱帯地域では、パーム油や、放牧などのために、この泥炭地を利用してきました。泥炭地は、炭素を多く含むがゆえに、一旦、乾燥し、火災による、消失や、開発による、土地利用の変化により、膨大な量の炭素を放出することになる特徴的な場所です。この土地の保護については、初期段階であるといわれております。パーム油採取や、ピーとモスの利用、燃料調達、放牧の為の土地開発など、経済的利益に係わる土地なので、保護する重要性との関係をどう築き上げていくかが問題となることです。保護と再生の手法を探り、今後、国家規模で、泥炭地の土地利用について議論を深め、実践していけば、炭素隔離に大いに貢献できる存在であると考えられます。

先住民による土地利用 indigenous peple’s land management

古来よりその土地に根ざした生活をしている先住民は、現代人と違って、その環境を大切に考え暮らしてきました。それと、温室効果ガス削減とどのように結びついているか。食料調達の為、大規模土地開発により、先住民の土地が失われつつあることが、その鍵となっております。先住民の伝統的な知識体型と慣習が、実は、大いに貢献しています。

○ 家庭菜園としての側面
食糧自給のために、土地を利用するのは、大規模商業的農園と違って、多様な作物を栽培し、その土地に根ざした、決め細やかな持続可能性を備えた状態を保ち、生物多様性に富む状況を維持するのに貢献しています。
○ アグロフォレストリー
木と作物を混在させた土地利用は、土壌浸食の抑制、有機物の蓄積、など、炭素隔離につながるものです。
○ 焼畑
焼き畑農業は、計画的に、土地に火を放ち、休耕地にし、その後、いろいろな作物の作付けにより、輪作することにより、環境に与える負荷を抑えた農業です。研究によると、プランテーションによるものにくらべ、炭素隔離量が勝っているということです。
○ 遊牧型牧畜
自然放牧地は全陸地面積の40パーセントを占めております。商業的牧畜と比べ、土地の疲弊を招かない、環境に負荷を与えないものとして、評価することができるので、失われつつある、このような放牧地を維持することが、温暖化防止につながっていくものと思われます。
○ 火災管理(野焼き)
野山を焼き払うことは、温室効果ガスを多量に発生することになると思われますが、適切な管理法の下では、逆に、温室効果ガス削減につながるといわれております。主に、一年生植物が焼き払われている状況では、その後、森林の成長促進につながります。
○ コミュニティが管理する森林
世界全体で、32億ヘクタールもの森林が、先住民により、共有化され管理されております。その管理があるおかげで、森林の生態系が今日まで維持されてきているといえます。

上記のように、先住民による、その土地の持続可能性は維持されています。問題なのは、その所有権が認められていない地域が多くあることです。そういった土地は、開発業者などにより、土地が取り上げられ、持続可能性が奪われてしまっています。先住民に対する土地所有権を、国が、認めていくことにより、多くの土地が、持続可能性のある土地として、維持され、温暖化対策につながっていくと思われます。

温帯林 temparate forests

19世紀末までは、温帯地域の森林が、伐採、土地利用の変化の中心にあったようです。近年、それが、熱帯や歓待地域にシフトした結果、利用されなくなっています。そののち、自然再生や、人為的再生により、地球上で温帯地域の森林面積が増えてきているようです。但し、一旦開発の手が入った森林は、元の生態系に戻ることが難しく、自然の驚異にさらされ、山火事や、病害虫の発生、気候変動などの影響を強く受けることになってきています。より、管理が必要になってきていますが、炭素隔離量を増やせる地域であることは間違いない。

[コラム] 樹木たちの知られざる生活 the hidden life of trees

木が集まって森林を構成している。そして、光合成により、大気中に二酸化炭素を吸収し、葉や幹や根として、炭素隔離をする。木は、動物のように、動かず、ただそこに佇んでいるだけの存在ではない。地中では、菌類の助けを借りて、お互いにコミュニケーションをとっているのだ。菌糸は、木と木をつなぐネットワークの役目を果たしている。栄養素のやり取りや、お互いの葉がぶつかりあわないようにすること、また、森林として存在し続けるために、木の種類の区別無く、助け合っている。この、森林としての生態系を理解することが、温室効果ガス削減に貢献することとなると考えられる。

植林 afforestation

植物は、光合成により、大気中の二酸化炭素を吸収し、炭素として葉や茎や根に蓄える、炭素隔離の重要な役割を担ってきています。土壌浸食や荒地、人間の生産・経済活動によって生み出された、空き地などに植林することは、大気中の二酸化炭素濃度を減らすのに貢献すると思われます。植林は昔から行われてきました。但し、植林から得られる、木材加工品など、商業的なものが主流です。それでも、炭素隔離につながることは確かなことですが。但し、単層な樹種の植林地では、その土地に元々会った生態系を取り戻すことが出来ず、自然災害の影響を受けやすいものになってしまいます。そこに昔から暮らしている人々の慣習を尊重しつつ、持続可能なものにしていく為には、その土地の本来あるべき生態系を理解し、それを再現することが求められています。そのような植林の仕方が広まれば、安定的に、炭素隔離効果につながっていく。特に、低所得国では、その可能性が高く存在しております。植林プロジェクトとして必要なものは、初期費用の工面、森林から得られる生産物の市場開拓、土地利用権利の明確化としています。

輸送 transport

大量輸送交通機関 mass transit

大量輸送交通機関とは路面電車・バス・地下鉄・通勤鉄道の事を指します。これらは、主に都市の中での、人の移動に利用されます。所得が高くなれば、マイカーを持ち、マイカー通勤ということになりますが、車は、燃焼により、二酸化炭素を排出します。大量輸送交通機関を利用すれば、同じように、二酸化炭素排出がありますが、一人当たりの排出用に換算すると、車利用より、はるかに排出量は少なくなります。輸送分野は温室効果ガスの23パーセントを占め、都市交通に係わる割合が高いものとなっております。このような交通システムは、公的機関主導の都市計画の中に組み込まれるものとされております。住宅地や商業地との関係、利便性、人とのコミュニケーション、バリアフリー空間等、いろいろな要素と組み合わせて考えるべきものとおもわれます。都市計画段階で、マイカーを利用しなくても、都市の交通機関で事足りるようなものを作り上げ、現実化すれば、温室効果削減につながっていくことと思われます。

高速鉄道 high speed rail

高速鉄道に使われる動力は、電気です。電気が再生可能エネルギーで作られるようであれば、温室効果ガスを出さない、クリーンなものと考えられます。世界全体では、29700kmほどの高速鉄道網があります。それに、建設中なものは、プラス50パーセント見込まれております。但し、問題点があります。鉄道に付随したもの、橋や駅舎などのインフラ整備に、多量のエネルギーがつかわれます。また、そのコストも多額になります。必ずしも、クリーンということではない。いかに、地球温暖化対策のためにも有用にするには、効率的なシステム運用、対費用効果をあげることが必要とおもわれます。そのためにも、公的機関と連係して、インフラ全体を含めて考えていくものととらえることです。

船舶 ships

海運により排出される二酸化炭素は輸送部門の11パーセントを占めています。飛行機や自動車よりも、海上輸送の方が、燃料消費による二酸化炭素の排出は少ないといわれております。今後、ますます、海上輸送が、世界的な物流量の大きな比率を担ってくることは間違いありません。海上輸送に使われる船の設計において、省エネの取り組みは近年、すすめられております。素材の軽量化、ソーラーシステムの導入、水の抵抗を減らす等、の技術的な面があります。船の運行上の工夫も考えられております。船体に付着する、貝や藻の付着を軽減する、鮫肌の船体の導入、スロースチーミングと呼ばれる減速航行法、などです。船の燃料は、バンカー油と呼ばれる、低質の油が使われてきていました。石油精製の残りかすのようなもので、硫黄酸化物を多く含むものです。燃焼により、粒子状物質が多量に放出され、それが、大気汚染を引き起こしています。このような温室効果ガス削減の取り組みの推進、問題解決のために、国連主導で、新設船舶に対して、エネルギー効率設計指標FDEIが定められました。また、海運会社大手とngoが持続可能な、温室効果ガス削減を評価したA-to-G温室効果ガス削減格付けを船舶に対して導入しました。その効果は、徐々に浸透してきているようです。船からの排出は、気候温暖化協定に含まれず、今まで、見落とされたものでありましたが、こうした、取り組みを推し進めることで、地球温暖化対策につながっていくとおもわれます。

電気自動車 electoric vehicles

電気自動車はすでに、19世紀前半には作られていました。なぜ、普及されてこなかったか、それは、ガソリンや、ディーゼルエンジンを使ったほうが、コストが安かったからということでした。電気自動車は、エネルギー変換効率が60パーセント、ガソリンでは15パーセントということです。二酸化炭素排出量に換算して、ガソリン車の半減になります。電力を再生可能エネルギーすれば、95%になります。近年、気候変動問題を受けて、各国政府も電気自動車普及に力を入れてきています。まだまだ、ガソリン車に比べて、走行距離が短いという弱点はありますが、今後の技術向上を期待し、ますます、普及が進んでいくものと思われます。

ライドシェア ride sharing

ライドチェアーは車の相乗りのことです。自動車が普及した当初から行われてきました。一人で車を乗るのに比べ、移動にかかる一人当たりのエネルギー消費量の節約につながります。自動車の個人所有が普通になってきた、現代では、特に、先進国では、相乗りがすくなくなってきました。ところが、最近、相乗りマッチングサイトの登場により、再び、増加傾向に転じているようです。ソーシャルネットワークを通じて、手軽に、サイトから相乗り情報をえられることがその大きな要因です。車利用は、個人としては、共有するという風潮がひろまりつつあり、今後も、その傾向がつづいていくとおもわれます。

電動アシスト自転車 electoric bikes

都市空間のおける移動はおおむね10km以内であるといわれております。動力なしで自転車や歩行を移動手段で使う場合は、坂道や高齢者の移動を考えれば、これを電動アシスト自転車にすれば、利用価値は高まると思います。実際に、その利用は、特に、中国において、急速に伸びています。バスや路面電車、地下鉄利用ということも考えられますが、アクセスしやすさとしては、自転車利用が勝るでしょう。電動自転車は少ないエネルギーでバッテリーで動きます。充電に使われる電気は、再生可能エネルギーであるとは限らないので、電動でない自転車利用よりは、温室効果ガスを排出することになります。これを、再生可能エネルギーで充電するとか、バッテリーの性能向上、低価格化、をすればもっと、利用が進むことと思われます。また、道路を走る際の、交通法規もきっちりと整える必要があります。

自動車 ハイブリッド車・ハイブリッドプラグイン車 cars

自動車の排気ガスは、温室効果ガス増加の要因にもなっております。世界で10億台以上の車が存在し、今後2035年度にはその倍以上になるといわれております。それを、すべて、電動車にすれば、削減につながるのですが、コスト面、インフラ面を考えると、今のところ課題は多いです。そこで、将来の、電動車化を見据えた存在として、ハイブリッド車が登場しました。発進と低速走行は電動バッテリーで、高速走行時は内燃でというように、電動と内燃のそれぞれの長所を生かした設計で、燃費向上をすすめ、温室効果ガス削減につなげたものになっております。複雑なつくりのため、ガソリン車などより、コスト高ですが、ここのところの、原油高、気候変動対策、など、省エネ・環境性能向上の機運の高まりを受け、国として、税制上の優遇策により、その利用は、増加しております。それに伴い、ネックとなるコストも低減し、利用者が更に増えてくると思われます。

飛行機 airplanes

飛行機の利用は、旅客・貨物ともに年々増加し、温室効果ガス削減には無視できない存在になってきています。ポイントは、燃費をいかに減らすかとされています。バイオ燃料は、その切り札とされていますが、まだまだ実用性には乏しいです。現在は、エンジンの改良、機体の軽量化、空気抵抗の軽減がその解決策とされ、新規の作られた飛行機に導入されております。旧来の飛行機から性能が向上した飛行機に切り替えることが、最も手っ取り早い解決策につながります。排出量規制の義務付けは自動車に比べ、遅れておりますが、今後、規制強化の義務付けに向かえば、温室効果ガス削減につながっていくものと思います。

トラック trucks

最も環境に優しいのは、燃やさないこと、買う必要が無いものは買わないこと。とおもわれます。エコロジーとエコノミーの両輪をうまく組み合わせることが、温室効果ガス削減の道筋をきめてくるものです。トラック輸送は、他の輸送手段と比べ、電動化が遅れています。そして、硫黄酸化物や、窒素酸化物、粒子状物質PMなどによる大気汚染の一因がトラック輸送からの排気によるものとされております。トラックそのものの燃費向上のための性能向上がすすめられてきました。空気抵抗を減らすとか、軽量化、高効率のトランスミッションやエンジンの装着によるものが、あげられます。コストはかかりますが、長い目で見ると、燃費が向上した分、コスト安になるということです。これらを推し進める為には、トラックそのものの、燃費の基準化等の施策が係わってきます。また、最短ルートの選定や、省エネ運転などのソフト面でも燃料節約に貢献します。これらは、ドライバーの環境意識を高める為の教育が必要となってきます。

テレプレゼンス telepresence

テレプレゼンスとは通信機器を使い、遠くからコミュニケーションをとる技術をいいます。ネット環境がすすんできている現代社会において、普通におこなわれてきているものになっております。これを、更に推し進めれば、離れた場所への移動を減らし、それに伴う、移動手段からの二酸化炭素排出を減らすことにつながるということです。但し、前提条件があります。通信環境が整備されていること、やり取りする仕組みがハード面、ソフト面で整っていることです。それを実現させる為には高額の初期投資が必要です。主に、ビジネスや遠隔医療などの分野で活用が期待されますが、出張にかかるコストや、時間の事を考えれば、数年後には、元が取れるものと思われます。

列車(燃費向上と電化)trains

列車は特に、多量の重たいものを遠くに運ぶのにとても有用な存在です。線路がすべて電化すれば、再生エネルギー由来の電気の使用により、温室効果ガス削減が期待されます。世界では、いまだに、ディーゼルエンジンの列車が列車全体の大きな割合を占めております。車体本体の軽量化やレールの潤滑性を高めるなどして、燃費向上をつのればまだまだ二酸化炭素削減できる余地があるようです。運行方法や省エネ走行など、ソフト面で施策も必要です。

資材 materials

家庭リサイクル household recycling

消費者が出す廃棄物を少なくする取り組みとして、まず減らしreduce、ついで、再利用reuseし、最後に再資源化recycleがいわれております。リサイクルの原料の50パーセントが家庭からの廃棄物であることから、この3Rといわれるものを、より強力にすれば、エネルギー消費削減につながります。家庭ごみ削減の道筋は大きく2つになっております。廃棄物回収を回収したくなるようにすることは、重要です。予め商品に、回収分を課金し、デポジットされル方法を取っているところがあります。もう一つは、商品そのものを、軽量化、簡易包装化することです。メーカー側にも、コスト削減につながるメリットになります。消費者意識の中で、リサイクルの重要性を認識することも大切です。消費者は、商品を選ぶときに、環境に優しい商品を選ぶようにすれば、より、リサイクルがすすむことになると思われます。

産業廃棄物のリサイクル industrial recycling

自然界は、物質の循環で動いております。廃棄物として、蓄積されるものはありません。生物活動によって生じた二酸化炭素は、植物によって吸収され、炭素固定され、それがまた利用され、ぐるぐると循環します。こういった考え方を人間社会にあてはめれば、頑強に負荷をかけることなく、暮らしていけると考えます。文明の進化により、この循環は崩れてきております。そのことが、気候変動など、想定外の自然災害につながっていることは確かです。こういった状況を受けて、企業に、製品の製造販売だけではなく、廃棄されたものを回収するところまで、義務付けた「拡大生産者責任EPR」という環境政策上の手法が普及し始めております。商品の生まれたときから、捨てられた後までの、ライフサイクルマネージメントの重要性が高まっております。一部大手企業では、この手法を採用し、実行に移しているようですが、まだまだ、少ないのが現状です。リサイクルされやすい商品開発と、回収されやすい仕組みの両輪を持って、こういった考え方を推し進めていけば、より、強力なものになると考えます。

代替セメント alternative cement

セメントは世界中で建築材料として、広く使われております。セメントの製造工程の中で、石灰やアルミのケイ酸粘土を高温で熱するときに、多量の二酸化炭素を発生します。この、燃焼の工程を省き、代替材料を使うことで、発生量を抑えることができます。代替材料とは、産業廃棄物である、製鉄後のスラッグ、石炭火力で生じる、石炭燃焼かすなどです。フライアッシュとよばれております。但し、石炭火力などは、今後使われなくなるので、以前に利用されなくなった、野ざらしのフライアッシュを回収して利用するという、方法もとられております。また、有害物質も含んでいる場合もあるので、大々的に使用するに当たり、注意する必要があります。いずれにしろ、廃物利用により、温暖化防止につながるものと期待されているものとおもわれます。

冷媒 refrigelation

エアコンと冷蔵庫は経済発展の中で生まれた生活必需品になっています。吸熱・放熱する仕組みに使われているのが、冷媒です。クロロフルオロカーボンCFC、ハイドロクロロフルオロカーボンHCFCはかつてこの冷媒に使われていましたが、宇宙からの紫外線を遮断するオゾン層を破壊するということで、使用禁止になりました。これに代わるものとして、ハイドロフルオロカーボンHFCが広く普及してきました。HFCはオゾン層は破壊しないものの二酸化炭素の1000~9000倍もの温室効果を及ぼすものです。気候変動に対する国際的な取り組みとして、モントリオールギガリ協定により、HFCは段階的に、アンモニアやプロパンなどの自然冷媒に代え、削減することが盛り込まれました。エアコンや冷蔵庫からの冷媒が大気中に放出される要因の90%はこれらの製品の廃棄時であります。これから廃棄されるであろう、世界中にある、膨大な量の冷媒ユニットを適切に処理することにより、温暖化ガス放出削減につながるものとおもわれます。

再生紙 recycled paper

近年、紙の利用は、電子媒体に取って代わりつつあります。それでも、特に、包装紙の利用が増加しております。製紙産業における二酸化炭素排出量は、全産業の7パーセントをしめるほど、エネルギーを消費している産業です。原料となるバージンパルプから6から7回再生紙として使えます。この再生紙はバージンパルプからのよりも、約25パーセントのエネルギー消費で済むので、温暖化対策に有効です。現在、全世界で、古紙率が55パーセントであるのを、さらに高めれば、温室効果ガス削減につながります。

バイオプラスチック bioplastic

プラスチックが登場した、19世紀は植物性の原料を使ったバイオプラスチックでした。原料は、炭素化合物なので、植物や動物の屍骸など自然界のどこでも存在するものです。現在は、化石燃料から作られる石油系プラスチックが主流です。調達しやすさと加工しやすさ、コストなどが普及を後押ししてきました。世界の石油生産量の5,6パーセントがプラスチック製造に使われるので、温室効果ガス上昇の原因になっております。環境意識の高まりを受けて、最近は、PEにかわるPLA・PHAなどのバイオプラスチック製品が登場してきております。但し、このような製品の登場があっても、温室効果ガス削減につながっていないのが現状です。生分解しない石油系プラスチックに比べ、バイオプラスチックは、一定の条件(PLAは高温でのみ分解)で分解し、リサイクルされます。家庭用で出されるプラスチックごみは、バイオプラスチックであっても、分別されにくく、混ざった状態で回収され、そのまま焼却、埋め立てされているということです。混合してしまうとリサイクルできないです。いかに、分別しやすくするか、また、豊富にあるがバイオ材料をかき集める手間、コストをいかに削減するかが、有用活用につなげていく鍵となってきます。また、廃棄バイオマスから作られる場合、炭素を隔離することが期待されます。

家庭の節水 water saving at home

お湯の使用は、全住宅エネルギー消費の4分の1を占めております。水を供給するにもエネルギーを消費します。節水型設備・雨水利用などの施策をすれば、まだまだエネルギー節約の余地があります。節水することにより、コストが減らせるという意識とともに、自治体の節水に対する奨励制度も重要です。節水設備に対して、補助金をだすといったことです。

今後注目の解決策 comming attractions

[コラム] マンモスステップに草食動物を呼び戻す repopulateing mammoth steppse

永久凍土は北半球の陸地の24パーセントを覆っています。1,4兆トンの炭素を隔離しており、森林の2倍になります。その永久凍土が近年の温暖化の進行により、溶け出し、二酸化炭素やメタンといった温室効果ガスを放出しております。それを防ぐ解決策として、「マンモスステップに草食動物を呼び戻す」ということを提唱する研究者がおります。亜寒帯地域はタイガといわれる針葉樹林で構成されております。元々、草原であったところが、タイガに代わり、その広がりが、さらに、永久凍土を溶かすことになるということです。草原にしておき、そこに、かつての、マンモスのような大型動物をはなし、繁殖させれば、マンモスステップといわれている、生態系が構成される。動物が、草を食むことにより、永久凍土が守られるということである。ジモフという科学者は、草原がなくなったのは、氷河期になったのではなく、草食動物がいなくなったからであるとしている。

牧草地栽培 pasture cropping

大規模な牧草地では、家畜の放牧と穀物栽培が土地を分けて使われております。放牧地では、家畜が一年生草を食べ、一定程度食べつくした時点で土地をローテーションする。穀物の栽培地では、毎年、土地を耕し、肥料を投入して、作物を収穫する。土地を頻繁に耕すこと、化学肥料を多量に投入することは、やがて、土地が痩せ、炭素隔離量が少ないものになってしまう。多年生草木をうえ、土地を耕さず、混植し、化学肥料の使用を控え、その間隙を家畜のパドックをつくり、家畜を飼うことにより、土壌が活性かされ、炭素量が増えることになる。このような、環境再生型、持続可能なものになれば、温暖化防止対策につながっていく。

鉱物の風化促進 enhenced weathering of minerals

地球の歴史の中で、二酸化炭素は、岩石によって、閉じ込められ、光合成により、酸素が生成されてきました。この仕組みを利用して、大気中の二酸化炭素を隔離するのが鉱物の風化を促進するということです。風化とは、閉じ込め作用が強い、ケイ酸塩岩石(かんらん石)を粉砕し、土中の水と溶解、反応させて、炭酸カルシウムとして固定することをいいます。実現には、岩石材料調達と、粉砕すること、地面にまく手間にかかるコストを考えていかなければいけません。風化効果がより強く期待される熱帯地域の鉱物採掘跡の、残渣が残されている場所が候補にあがっております。

海洋パーマカルチャー marine permaculture

海は、大気中の炭素の55倍の炭素を貯留しています。大気中の二酸化炭素の半分を海が吸収しております。地球温暖化対策における海の存在は、とても大きいです。海洋パーマカルチャーとは、この海に、光合成を行う植物、つまりケルプなどの海草を栽培し、植物性プランクトンを増やし、酸性化してしまった、海洋の生態系を整えるということです。海草を成長させる為に、温水化した海面に栄養豊富な深層水をポンプにより引き上げ垂直対流つくり、栄養源とする。このような手法は、海洋パーマカルチャーアレイMPAとよばれております。このポンプの事を、本来の海の生態系を戻すことから、生物ポンプと呼ばれております。このような取り組みにより生まれた、ケルプの林は、乾燥重量1トン当たり、1トンもの炭素を貯留することになります。

集約的シルボパスチャー(林間放牧) intensive silvopasture

林間放牧とは、木、低木のある環境と、牧草を混在させ、農産物や、牧畜をすることです。
家畜にとって、自然に近い状態でいることは、成長を促し、良好な肉質・乳産品を生み出し、その排泄物で、土壌を肥やすことになります。農業にとっても、肥料や農薬の使用が減り、生産性があがることにつながっていく。持続可能な土地利用が成り立ちます。このようなやり方で放牧を行えば、従来のやり方に比べ3倍もの炭素隔離が見込まれるとされております。

人工葉 artificial reaf

再生可能エネルギーとして、バイオマスをつかったものがあります。これは、最終的に、植物からアルコールを精製し、燃料に替えるものです。地球上に暮らす生物のエネルギーの源泉は太陽にあります。それを、光合成により、大気中の二酸化炭素をとりこみ、炭素化合物としての生物が生まれます。上記のバイオマスエネルギー生成は、このような、炭素同化の流れの中で、持続可能性であるものであるかのように見えます。厳密に言えば、輸送や、裁断や、生成に係わる設備などのサプライチェーン全体の温室効果ガス発生量を考えてみれば、決して、影響力のある、温暖化対策につながるものではないということがいえます。むしろ、とうもろこしなどは、食料にまわしたほうが、全体のエネルギー量は少なく済むと思われます。自然界で行われている光合成を、人工でやってしまおうという試みは、アメリカの研究者の間で、すすめられております。ポイントは、大掛かりな装置を必要としない、誰でも手軽に光合成により、エネルギーをとりだすことです。日光と水からバクテリアの力を借りて安価なエネルギーを作り出す試みが、すすめられているようです。

自動運転車 autonomous vehicles

自動運転車とは、電気自動車で、人が操作することなく目的地に行くことができる車の事です。電気自動車はガソリン車に比べ、エネルギー消費量が4分の1になる。そういった意味では、自動運転車にすることは、温暖化対策につながるということです。iotという、ネット環境を利用した、技術革新の中で、自動運転ということが考えられてきたので、我々は都市生活全体として、自動運転のあり方を考えていけないということです。こうした考え方の基で、ライドシェアー・オンデマンドカー・コネクテッドカーというインフラ技術が生まれました。ライドチェアーは相乗り、オンデマンドカーは利用者が乗りたいときに配車するサービス、コネクテッドカーとは、インターネット環境を利用して、道路情報などを共有できるサービスを指します。これらの技術の実用化の先には、ドライバーや既存の車に係わる雇用の喪失・交通規則・インフラ改革をともなることになるので、これらをどのようにすすめていくかが今後の課題となってきます。

固体フロートによる波力発電 solid-state wave energy

寄せては返す波の運動エネルギーは、膨大です。人間が使用するエネルギーの100倍ものエネルギーを有しています。ポテンシャルがあるにも拘らず普及していかないのは、揺れ動く波の力をエネルギーとして取り出す、技術的なものが非効率的であるからです。その解決策として、固体フロートを使った発電が生まれました。海面にフロート板を浮かべ、そこから海面下に垂らしてあるプレートとの圧力差によりエネルギーをとりだすというものです。

リビングビルディング(生きた建築物) living buildings

持続可能な建築物の評価・採点をする基準として、リビングビルディングチャレンジLBCが生まれました。人間にも自然にも利益をもたらすという観点から、採点されるものです。具体的には、廃棄物を0にする、再生可能エネルギーを自己生産する、食べ物を自給自足するなど、カーボンオフセットを目指したものです。長期的な展望と先行投資が必要になってきますが、徐々に普及し始めております。ここでは、開発されたところでのみ建築されること・雨水利用など、正味0の水循環・再生可能エネルギー利用による正味0のエネルギー消費等20項目があげられております。

[コラム ] 共に暮らす家を大切に on care for our common home

この言葉は、教皇フランシスコのことばである。気候変動について、むずかしい環境用語は抜きにして、思慮深さと思いやりをもって語っていることを、紹介しています。特に、開発途上国において、あるいは、貧困に苦しんでいる人々に対してケアーすべきだとしています。この問題は、自然との共生という視点で、消費、生産など人間活動、ライフスタイルを代えていかなければいけないということを突きつけているのだと語っています。

ダイレクトエアーキャプチャー 二酸化炭素直接空気回収 direct air capture

植物の光合成と同じように、回収装置を使って、空気中の二酸化炭素を閉じ込めようとする装置がダイレクトエアーキャプチャーDACです。DACは二酸化炭素を取り込む機能と、保存する機能の2つの機能があります。保存する機能から二酸化炭素を放出利用することにより、取り込み・放出を繰り返すことが出来ます。この、くり返しがあることが前提となるようです。二酸化炭素を回収する素材については、研究が進められていますが、それをいかに利用するか、エネルギーとして利用するか、合成樹脂を作るかなどと平衡して進められなければ利用拡大につながらないのです。しかも、製造・利用工程においで、エネルギーを使うので、いかに利用につなげるもののライフサイクルをクリーンなものにするかが、今後の利用拡大につながっていくものと期待されます。

水素-ホウ素核融合 hydrogen-boron fusion

核融合は核分裂の逆の工程になります。核分裂により、原子力発電を行い、エネルギーを得ると同じように、核融合炉により、エネルギーを得ようとするものです。核分裂の場合は、重い原子を分裂させるのに対して、核融合は軽い原子を衝突させてエネルギーを得ます。そのエネルギー量は、前者の3~4倍ほどであり、放射能廃棄物も実質的に生成されません。クリーンなエネルギーということです。水素とホウ酸を使ったものは安価で安全性が保障されたものです。但し、30億度もの高温で、プラズマを生成し、それを維持制御するのに、技術的に高度なものであるのはたしかです。コストも、他の再生可能エネルギーに匹敵するようなものになると見込まれるので、実現に向けて、研究が進められております。

スマートハイウェイ smart highways

都市空間の中で、道路およびそれにかかわるインフラに占める面積はかなりの割合です。ここを、地球温暖化対策、持続可能なものにかえれば、かなり、気候変動対策に貢献するであろうという発想が、スマートハイウェイということです。路面に太陽光パネルを敷き詰め、電気自動車充電スタンドを道路わきに設置する。また、道路わきの使われていない空間を活用する。こうした取り組みは、電気自動車普及と共に、道路インフラにおける、持続可能な、一石二鳥のものとして今後も期待されるものです。

ハイパーループ hyperloop

真空状態では、物が移動するときに空気抵抗がありません。よって、少しのエネルギーで物を移動することが出来ます。これを移動手段として、実用化使用とするのが、ハイパーループ技術を使った交通システムです。真空状態を作り出すのは、多大なエネルギーを必要とするので、少し空気が入り込んだ状態で行ったところ、時速1000キロメートルで移動できたそうです。都市空間でこれほどの早さの移動が必要であるのか、耐久性が必要とされるインフラにかかるコスト面、安全性と法的なものへの信頼など、現時点で、課題がたくさんあるようです。但し、将来的には、輸送にかかるエネルギーを大幅に削減できる可能性を秘めたものであるのは確かなようです。

微生物農業 microbial farming

農業は温室効果ガス排出量の30パーセントを占めています。土壌中には1グラム中、最大100億もの微生物生息しているとも言われております。植物の生育には、この微生物が分解して得られる有機物を使っています。その見返りに、植物が放出する糖を微生物が餌として得ています。このような共生関係を保つことにより、土壌は肥沃さを保っています。近年、化学肥料や農薬の登場により、この関係が崩れてしまってきたことにより、窒素肥料を作り、使用する工程で強力な温室効果ガスである、亜酸化窒素が大気中に放出されます。土壌浸食や旱魃などの要因ともされております。地球温暖化対策として、土壌の健全な生態系を保つ為にも、化学肥料や農薬の使用を控え、土壌中の微生物環境に即した、農業に変えていくことが求められております。

産業用ヘンプ industrial henp

ヘンプとは大麻草のことです。麻薬の材料として、栽培が禁止されている国がほとんどです。以外にも、数千年前から、衣料や、ロープなどの繊維として使われてきたようです。現代では、コットンに取って代わってしまいました。コットンは、衣料に仕立てるまで、多量の二酸化炭素を排出します。栽培に、農薬や化学肥料を多量に消費します。一方、ヘンプは、成長が早く、これらを多く使用しません。しかも、繊維質を多量に抱えているので、効率的です。但し、土壌が十分肥えたところでないと育ちません。麻薬ではなく、産業用として特化した栽培、生産に向かえば、コットンの代替となるものになります。

多年生作物 perennial crops

人類の主食である、米、麦、とうもろこしなどのイネ科植物は、本来、多年生植物である。ところが、毎年、その種子である、穀物を収穫し、次の年に、その種子を蒔いて収穫することを繰り返している。キャベツや大根などの一年生植物は、毎年種子を残して、次の年に、またそれを繰り返す。この多年生植物を、土壌に残した根で、次の年の収穫につなげるようにすれば、一年生植物のような、耕起による炭素放出がなくなります。

[コラム] 牛と海藻の意外な関係 a cow walks onto beach

牛なので反芻動物は、食物を消化する際にメタンを多量に発生します。その量は、世界のメタン排出量の4分の1を占めます。二酸化炭素の25倍になる地球温暖化係数であるメタンは無視できないものである。海の近くにある牧場では、海藻を牛の飼料にしている所があります。実は、海藻は、このメタンの発生が少ないことがわかってきました。特に、カギケノリは飼料に2~3パーセント混ぜるだけで、70から80パーセントの削減になることが実験室で検証されました。これを、海のパーマカルチャーや、林間放牧、管理放牧などと組み合わせれば、その効果は増幅するとされております。

環境再生型養殖 ocean farmming

殺菌剤や抗生物質を多量に投与する養殖ではなく、海中で光合成を行う、海藻を育てて、人工的に海洋生態系を築き育てる養殖を環境再生型養殖ということです。海藻は、陸の農作物より、持続可能性を高く秘めております。肥料や水などの投与する手間も無く、バックグラウンドがすでに確立しております。また、ケナフなどの昆布の仲間は、成長が早く、海中の生態系をすばやく築けます。海藻自体は、陸上作物のものより、30倍のバイオマスエネルギー源効率となります。牡蠣を養殖すると、海水が浄化されます。牡蠣一つで一日で150リットル前後の海水をきれいにしてくれます。この、海藻と、牡蠣の組み合わせで、海をきれいに出来、クリーンなエネルギーとしても利用できます。

スマートグリッド smart grids

いろいろなサービスのデジタル化に伴い、近年ますます、電力需要が増えてきています。電気そのものは、発電したものがそのまま留まるというものではないので、需給のバランスの維持が必要になってきます。その需給バランスを制御するのがスマートグリッドです。一方通行であった送電を、需要側と調整して、バランスを保つようにします。電力の無駄をなくすことにより、総体的に省エネをすすめることになります。特に、再生可能エネルギーは、太陽光発電に見られるように、供給のばらつきがあるので、これを、平準化するのにスマートグリッドの導入はとても意義があることと思われます。プライバシーや不正アクセス、インフラ整備にかかるコストが今後の課題とされております。

木造建築 building with wood

木材は、炭素を50%も含んでおります。その素材となる森林は適切に管理されていれば持続可能なものです。建物に木をつかうということは、炭素隔離することになり、温室効果ガス削減につながります。近年、木造建築が見直され、高層ビルを木材を使って建てるという試みがなされています。木材のみならず、加工にかかる工程には従来の鉄骨、コンクリートよりはかなり温室効果ガス排出用は少ないです。現地調達すれば、輸送にかかるものもかなり削減できます。不要になれば、堆肥化でき、土に返ります。従来から言われている、「燃えやすい」「耐久性に難点」という欠点は、技術革新が進み、克服したものがでまわっております。最大の障壁は、「高層建築などの近代建築に木材が使える」という認識だといわれております。技術的には問題ないので、もっと普及すれば、二酸化炭素削減効果に多大に貢献することが期待されます。

[コラム] 生き物は互恵主義 reciprocity

自然界は弱肉強食である。与えられた環境の中で、したたたかで、強い者が生き残り、子孫を増やしていく。こういった営みは、今日でもいきづいているとおもいます。しかし、また、自然界では、逆の一面も存在します。それは、生き物の互恵主義です。森林は、樹種に関係なく、土壌中で養分、水分を分け合っています。それは、林床の植物に対しても同様です。土の中の、無数の菌類が、植物の根と根の仲介にはいり、ネットワークを形成しております。ウッドワイドウェブWWWと呼ばれるものです。このネットワークこそ、互恵主義をなりたたせている肝といえるものです。我々人間は、このような、仕組みを認識することにより、新たな、気候変動に対する解決策を見出せることになるでしょう。

可能性の扉 an opening

この書を世に出す目的は、地球温暖化を引き起こすものに対して認識を深め、みんなで行動を起こしてみようということです。ドローダウンに掲げられた項目に耳を傾けみんなでムーブメントを起こすことです。一つ一つの項目に対して、こうするべきだということではありません。この手の提起は、人類の危機をあおるようなものとしてとらわれがちなのですが、ここでは、まず、正しく認識し、個人個人の思いを、結集し、社会変革につなげることにあります。この書は、こういった思いをおこさせ、こういったことが出来るのではないかという発想のきっかけを目的としている。

参考文献・ウェブサイト

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