カーボンフリーを考える

空飛ぶ猫

自宅(山梨県韮崎市)のベランダからみる風景の中に、たびたびもくもくと煙の立ち上がるものがみえます。盆地のヘリからみることになるロケーションなので、甲府盆地の向こう側までみえてしまいます。煙恐怖症の妻がこの煙を見るたびに混乱するので、常に気になっています。
「この煙は二酸化炭素をどれくらい排出しているのだろうか、植物を燃やしているので、其の刈り取った場所から再び植物が生え、光合成によって二酸化炭素を吸収し、差し引き0のものになるので大気中の二酸化炭素量の上昇にはつながらないので、カーボンフリーまたはカーボンニュートラルになるのでしょうか??」などとふと考えてしまいます。

そんなことがきっかけで、カーボンフリーについて考えてみました。

2018年の地球環境に関する報道で、「地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の2017年平均の大気中濃度は過去最高だった、とする報告書を米海洋大気局(NOAA)がこのほど公表した」というものがあります。
「CO2の17年平均の大気中濃度は405ppm(1ppmは100万分の1)で、記録が残る過去38年で最高だった。陸上と海洋を合わせた地球表面の17年の年平均温度は 1981~2010年の平均を0.43度前後上回った。また、17年の世界の海面水位の平均値は1993年と比べて7.7センチ高かった。世界の海面水位 は10年ごとに平均3.1センチ上昇している」としています。
たかが数センチと思われますが、それだけでも大きく地球の生態系を狂わしてしまうことがこの報告書に示されています。まさに地球の温暖化は切迫した問題だと思います。

目次

カーボンフリーとは、其の関連用語について

カーボンフリー、関連用語の意味 カーボンフリー、関連用語の意味[/caption]” width=”429″ height=”411″ />

類似の言葉の概念であるりますが、意味合いは若干異なるので以下のように整理してみました。

カーボンフリー
人間の生活や経済活動によって排出された二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを植林や森林保護、クリーンエネルギー事業などによるCO2を吸収する活動に投資(寄付)することによって、排出した分を相殺(オフセット)し、発生してしまった二酸化炭素の量と、二酸化炭素の排出を実質ゼロにする。ロハスの中で使われてきた言葉である。ただ、私、個人的な見解では「カーボンをフリーにする。」という意味で使われてる印象があります。
カーボンニュートラル(carbon neutral)
何かを生産したり、一連の人為的活動を行った際に、排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量である。炭素中立という環境化学の用語である。
カーボンネガティブ (carbon negative)、カーボンポジティブ (carbon positive)
排出される二酸化炭素が吸収される二酸化炭素を上回る場合は「カーボンネガティブ (carbon negative)」、排出される二酸化炭素が吸収される二酸化炭素を下回る場合は欧米においては「カーボンポジティブ (carbon positive)」 、前者は日本においては「カーボンマイナス」とも言う。
カーボンオフセット (carbon offset)
人間の経済活動や生活などを通して「ある場所」で排出された二酸化炭素などの温室効果ガスを、植林・森林保護・クリーンエネルギー事業(排出権購入)による削減活動によって「他の場所」で直接的、間接的に吸収しようとする考え方や活動の総称である。

参照引用 環境擁護一覧[地球の自然環境問題]

地球の温暖化の元凶は二酸化炭素が増加したことによるもの?!

地球の大気を暖めるものは、二酸化炭素以外に、メタンなどの温室効果ガスや水蒸気などがかんがえられるが、なぜ、二酸化炭素なのだろうか?

そもそも地上の二酸化炭素は減り続けていた

46億年前、誕生したばかりの地球の大気は、高温・高圧の水蒸気が大部分を占め、その他に二酸化炭素、窒素などを含んでいたと考えられている。その後、数億年かけて地表が冷え、水蒸気が雨となって地表に降り注いで海ができると、大気の主成分は二酸化炭素と窒素になった。さらに、海に二酸化炭素が溶け込み、その一部がカルシウムイオンと結合して、石灰岩(炭酸カルシウム)として海底に堆積することにより、大気中の二酸化炭素は減少し、大気の主成分は窒素になった。

およそ27億年前、太陽の光エネルギーを利用して光合成を行うラン藻(シアノバクテリア)が海中に誕生し、二酸化炭素と水から有機物と酸素が生成されるようになると、大気中の二酸化炭素はさらに減少し、酸素が増えはじめた。その後、生物が進化して陸上に進出し、多様な植物による光合成が活発に行われることで、酸素はさらに増え、大気は数十億年かけて、窒素と酸素を主成分とする現在の組成になった。尚、二酸化炭素濃度は水蒸気を除いた近年の乾燥大気で0.032%(WikiPedia地球大気)にすぎない。

参照 地球の大気と水[環境展望台]

地球温暖化懐疑論

アメリカのトランプ大統領は地球温暖化対策の全世界的枠組みを決めているパリ協定からの離脱を表明している。その理由として「地球温暖化はでっちあげだ。」ということを述べられていた。どういう根拠でと大いに疑問を抱くことであったが、確かに地球温暖化懐疑論は学者の中で存在することは確かである。(WikiPedia 地球温暖化懐疑論)上記で述べているように46億年という地球が誕生してからの現在に至るまでの歴史の中で大気が生成し、その温室効果ガスによって徐々に気温が上昇し現在の地球の平均気温である15度になって来たと言われる。このような認識の中から、太陽の活動によるものとか、水蒸気鯨飲説とか、人為的陰謀説とか、観測データの信憑性に欠けるとか、いろいろな意見が飛び交っていることは確かなようである。その根拠とされるものはいろいろであるということが「WikiPedia 地球温暖化懐疑論」の中で述べられている。トランプ大統領はこのことを言っているのかと思われるが、その信頼性は地球温暖化に関する科学的知見を最も包括的に評価した報告書であるIPCC第4次評価報告書の中で完全に否定されている。

地球温暖化と二酸化炭素増加データとの関連性

このことについては地球温暖化に関する科学的知見に基づいた全世界規模の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)でまとめられたものが最も信頼できるものとされている。最新のIPCC第5次報告書(政策決定者向け要約)では次のように結論付けている。

全地球規模で温暖化が急速に進行している。

Warming of the climate system is unequivocal, and since the 1950s, many of the observed changes are unprecedented over decades to millennia. The atmosphere and ocean have warmed, the amounts of snow and ice have diminished, sea level has risen, and the concentrations of greenhouse gases have increased (see Figures SPM.1, SPM.2, SPM.3 and SPM.4)

参照 WG1AR5_SPM_FINAL.pdf 「Summary for Policymakers」p.4

気候システムの温暖化には疑う余地がなく、また1950年代以降、観測された変化の多くは数十年から数千年間にわたり前例のないものである。大気と海洋は温暖化し、雪氷の量は減少し、海面水位は上昇し、温室効果ガス濃度は増加している(図SPM.1、図SPM.2、図SPM.3、図SPM.4を参照)。

観測された世界地上天気と地上気温の変化

観測された世界地上天気と地上気温の変化
出典 Summary_for_Policymakers[SPM]WG1AR5_SPM_FINAL.pdf


観測された降水量変化の分布図

図SPM.2 観測された降水量変化の分布図
出典 Summary_for_Policymakers[SPM]WG1AR5_SPM_FINAL.pdf

世界の海氷、雪氷、海洋貯熱量、海面水位の変化

図SPM.3 世界の海氷、雪氷、海洋貯熱量、海面水位の変化
出典 Summary_for_Policymakers[SPM]WG1AR5_SPM_FINAL.pdf

大気中の二酸化炭素濃度、海面の二酸化炭素濃度、pH

図SPM.4 大気中の二酸化炭素濃度、海面の二酸化炭素濃度、pH
出典 Summary_for_Policymakers[SPM]WG1AR5_SPM_FINAL.pdf

地球温暖化の最大の要因は人為起源の二酸化炭素排出にある。

Total radiative forcing is positive, and has led to an uptake of energy by the climate system. The largest contribution to total radiative forcing is caused by the increase in the atmospheric concentration of CO2 since 1750 (see Figure SPM.5)
参照 WG1AR5_SPM_FINAL.pdf 「Summary for Policymakers」p.13

放射強制力の合計は正であり、その結果、気候システムによるエネルギーの吸収をもたらしている。合計放射強制力に最大の寄与をしているのは、1750年以降の大気中の二酸化炭素濃度の増加である(図SPM.5を参照)
1750年基準 排出および駆動要因の別放射強制力

図SPM.5 1750年基準 排出および駆動要因の別放射強制力
出典 Summary_for_Policymakers[SPM]WG1AR5_SPM_FINAL.pdf

放射強制力(Radiative forcing)とは気候学における用語で、地球に出入りするエネルギーが地球の気候に対して持つ放射の大きさのこと。正の放射強制力は温暖化、負の放射強制力は寒冷化を起こす。(WikiPedia放射強制力より)数値化するにあたり、地球の気候を左右する気候因子のうち、地球の気候システムによるものを除いた、太陽放射や温室効果などを外部因子を関係式に入れて算出するが、切り口の違いによってデータにずれが生じており、確定的なものではない.IPCC第5次報告書では次のように表現されている。

人間活動は、過去から今にいたるまで地球の表面と大気組成を変化させ続けている。こうした変化の一部は地球のエネルギーバランスに直接・間接の影響を与えており、気候変動の駆動要因となっている。放射強制力(RF)とは、地球システムのエネルギーバランスにおいて、外部から与えられた摂動に応答して生じる正味の変化を表す尺度であり、正の放射強制力は温暖化を、負の放射強制力は寒冷化をもたらす。・・・・
今回は、放射強制力因子の影響のうち、放射強制力の考え方において一定であると仮定されている大気や地表面の構成要素における、迅速な調整メカニズムを伴う影響力を定量化するために、実効放射強制力(ERF)という尺度を用いている。
引用 jpcc_ar5_wg1_ts ipcc ar5 第1作業部会報告書p.53翻訳より

地球の気候に影響を与えている因子のうち一定でないものは考慮していないことになるという解釈になりますが、たとえば水蒸気のような常に変化をし続け、一定の数値として数値化できないということを意味していると思われる。ただし、そのようなことは考えないとしても、今ある地球温暖化による人為的なものを定量化しているもっとも信頼できるものとして受け入れることが出来ると思われている。

カーボンフリーになるもの

二酸化炭素を排出するものは多種多様である。石油や石炭を燃やすこと、製品を作り出すときに排出されるもの、火力発電、車からの排ガスなど人間活動に係わるものがあります。自然界においても、生物の呼吸によるもの、微生物による発酵、海洋からの放出などから排出されます。これらをカーボンネガティブなものとするならば、その逆となるカーボンポジティブになるものを作り出す活動をする、または間接的に援助、推進、支援するオフセットするものを考えることがカーボンフリーになるものということになると思います。
完全にカーボンニュートラルになるものを探すのは難しいことです。何かを作る、行動するということはどこかで二酸化炭素を排出することになるからです。二酸化炭素を排出しない車を作るにしても、其の部品を作り出すときに動く機械、作ったものを輸送するもの、部品を組み立てる人間でさえも呼吸により、二酸化炭素を排出している。完璧さを追求するのではなく、ここではあくまでも二酸化炭素の排出を抑えようとする活動について考えることが妥当であると思われる。

ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment:LCA)の考え方を導入したもの

水素からエネルギーを取り出すときには二酸化炭素を排出しないと言われている。その水素を製造するときはコストの安い天然ガスが使われる事が多いと言われている。天然ガスは化石燃料であり、二酸化炭素を排出する。また作り出した水素燃料を運び出すのに輸送手段、たとえば輸送船を使った場合、その燃料に重油が使われていればこれも二酸化炭素を排出したことになる。その他、その装置を作り出すときに排出されたもの、販売活動、廃棄したときなど考える必要があります。このように、本当にカーボンネガティブになるものを抑えているかどうかは製品の製造、輸送、販売、使用、廃棄、再利用の工程まで含めたものでなければいけないという考え方を基に環境影響評価をする手法がLCAということになります。そして、その環境負荷を極力抑えたものがカーボンオフセットとして評価されます。
参照WikiPediaライフサイクルアセスメント
近年、環境問題と企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)への関心の高まりを受けて、多くの企業が環境報告書の中でLCAを用いて自社の活動や製品を分析し、環境負荷のデータを公表している例も多くある。その実施手順については環境マネジメントの国際規格の中でISO規格で定められた枠組みに基づいて、「目的及び調査範囲の設定」「インベントリ分析」「影響評価」「解釈」といったプロセスで実施される。
参考 国立環境研究所 ライフスタイルアセスメント
このような視点は、とりわけカーボンフリーとなるものに対してということだけではなく、限られた資源を廃棄することなく再利用しながら循環させていく社会の形成に必要なものとなっている。

森を守り、育てる活動

自然界の中でカーボンオフセットとして働くものに「植物の光合成」があります。特に、森林の果たす役割は大きいものとされています。其の中でも成長期の若い樹木が一番二酸化炭素を吸収するようです。成熟した森林や手入れのされない荒れた森林(人工林)では、その吸収能力は低下します。ですから人の手が入った森林は常に下刈りや除伐、間伐、植林するなどして手を入れる必要があります。また樹木は数十年、あるいは百年以上かけて幹、枝として炭素を蓄えます。其の木材を利用して、家を作るとか、家具に利用することにより、炭素が大気中に放出することなくカーボンネガティブとなる量を減らすことが出来ます。さらに植物が腐食し、土にかえることになれば、有機物として炭素がそこに留まる事になります。土壌は、地上の植物 に含まれる炭素をすべて合わせた量の約3〜4.5倍、大気中にある炭素量の2倍を超える量の炭素を蓄積していると言われています。それだけ、森、土壌は二酸化炭素の固定に重要な役割をしていることになっています。
参考  木材の炭素固定量[森林・林業学習館] 
参考 おもしろ森学[私の森,jp]
 

持続可能性を考慮したうえで薪・枯れ草・木質ペレットなど植物由来燃料の利用

薪は燃やせば当然二酸化炭素が発生します。その薪を切り出した切り株から再び芽吹き、枝を伸ばし、葉が開き、光合成が盛んになれば二酸化炭素を吸収することになります。草や木材ペレット、バイオエタノールを使った燃焼も同じように、その原料の植物、樹木が再生するのであればカーボンニュートラルなものに近づく物と思われます。さらに、燃焼するのではなく、炭素固定すれば、よりいっそうカーボンオフセットにつながると思います。植物は食べ物として動物、人間の体内に取り込み体の一部になり、有機物として固定されます。排泄により、大地に還り、有機物肥料として土壌を肥やし、またそこから植物が生え、光合成を行い、それを食べる。こういった炭素の循環が続いていくのならばカーボンニュートラルということになるでしょう。石油や石炭は植物由来の炭素が固定されたものです。一旦燃焼させてしまうと再生できず、炭素循環に載せることが困難ですので持続可能というわけではなく、この対象からはずれてしまいます。そのまま長時間、大気中にとどまってしまうのでカーボンネガティブということになってしまいます。

再生可能エネルギーの利用

再生可能エネルギーとは

エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(エネルギー供給構造高度化法)においては、「再生可能エネルギー源」について、「太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」と定義されており、政令において、太陽光・風力・水力・地熱・太陽熱・大気中の熱その他の自然界に存する熱・バイオマスが定められています。
引用 なっとく!再生可能エネルギー 再生可能エネルギーを知る、学ぶ

としています。温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることから世界各国で導入が急速に広がっています。エネルギーとして利用するものでは、熱源、交通運輸、電源の3種類に分類されますが、特に電源としての再生可能エネルギー利用が急速に拡大しています。日本においてもこうした動きを受け、エネルギー基本計画の中で主力電源として位置づけています。

「他の電源と比較して競争力ある水準までのコスト低減とFIT制度からの自立化を図り、日本のエネルギー供給の一翼を担う長期安定的な主力電源として持続可能なものとなるよう、円滑な大量導入に向けた取組を引き続き積極的に推進していく。」
引用 エネルギー基本計画 平成30年7月 p.39

其の中でも「バイオマス」は太陽光、風力、地熱といった二酸化炭素を排出しない自然のものを直接利用するものとは性質が違っているようです。バイオマスは燃焼、発酵することによってエネルギーに変えて利用します。当然、二酸化炭素を排出します。これは前項で述べているような植物由来であるからカーボンニュートラルであるという理屈になるようです。このことについて、疑念を持たれる人は少なからずいることでしょう。

バイオマスエネルギーとは

バイオマスの分類及び主要なエネルギー利用形態

バイオマスの分類及び主要なエネルギー利用形態
出典 資源エネルギー庁「新エネルギー導入ガイド 企業のためのAtoZ バイオマス導入」

バイオマス(生物起源)エネルギーとは、化石資源を除く、動植物に由来する有機物で、エネルギー源として利用可能なものを指します。特に植物由来のバイオマスは、その生育過程で大気中の二酸化炭素を吸収しながら成長するため、これらを燃焼させたとしても追加的な二酸化炭素は排出されないことから、「カーボンニュートラル」なエネルギーとされています。
引用 第2部 第1章 第3節 一次エネルギーの動向 │ 平成29年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2018) HTML版 │ [資源エネルギー庁]

バイオマスエネルギー導入にあたっての問題点

バイオマスエネルギー推進を通して森林の整備、林業の活性化は森を守り育てるにつながるのでカーボンオフセットにつながると思います。地域にエネルギー供給手段を分散させること、廃棄物の有効活用は地域活性化をとおして資源有効利用を促進し循環型社会形成につながっていくと思います。ただ懸念材料として以下のようなことが指摘されています。

  1. 燃料を調達するために環境破壊をおこしている。
  2. 食用とされる作物がバイオマス燃料として使われるので食糧危機を引き起こす。
  3. バイオマス資源は其の種類の多様さから広く満遍なく点在しているため収集と保存にコストがかかる。
  4. コストを抑えるために安価な輸入資源を使うことにより、地域活性化あるいは再生可能エネルギーを使用拡大する目的である二酸化炭素排出削減につながっていないのではないかという疑念を抱いてしまう。

バイオマスの利用状況

バイオマス世界統計

図:世界の部門ごとの総最終エネルギー消費における再生可能エネルギー
出典 REN21自然エネルギー世界白書2018(日本語訳:バイオマス産業社会ネットワーク)

バイオマス発電の稼動・認定状況

図:FITにおけるバイオマス発電の稼働・認定状況
出典 資源エネルギー庁Webサイト 固定価格買取制度市町村別認定・
導入量等よりバイオマス産業社会ネットワーク作成

日本国内の自然エネルギーおよび原子力の発電量の推移

図1.4 日本国内の自然エネルギーおよび原子力の発電量の推移|出典 ISEP 調査

太陽熱及びバイオマス熱供給量推移

太陽熱及びバイオマス熱供給量推移(PJ/年度)
出典 経済産業省資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」(参照:2018/11/22)より作成
注:バイオエネルギーの熱供給量は、総合資源エネルギー統計のバイオマスエネルギーの一次エネルギー供給量から事業用発電及び自家用発電に使われた量を控除した値。
自然エネルギー財団HPより

世界的にはバイオマスエネルギーの利用(薪などを直接煮炊きに使うような伝統的バイオマス利用は除く)は増えてきています。REN21自然エネルギー世界白書2018によると「年間バイオマス発電量は501TWhから555TWhへと増加した。バイオエタノール生産量は、1.03億㎘から1.06億㎘に増加、FAMEバイオディーゼル生産は3,100万㎘で横ばい、水素化植物油(HVO)生産量は590万㎘から650万㎘に増加した。」としています。国内では海外先進国ほどには熱利用、バイオ燃料を使った交通運輸への利用は増えておらず、バイオエネルギー利用の近年の増加は発電によるものです。其の中身は、日本では、廃棄物発電(一般廃棄物、産業廃棄物)が主だったが、FIT制度が導入されてからは、未利用材や一般木質(輸入材やPKSなどの農業残渣を含む)など木質系の発電設備が主力となってきています。

特に木質バイオマスを推進している

日本政府のバイオエネルギー推進、特に発電に関する位置づけとして、地球温暖化対策、循環型社会の構築、農山漁村の活性化、地域環境(ごみ対策)の改善をあげています。

未利用材による木質バイオマスを始めとしたバイオマス発電は、安定的に発電を行うことが可能な電源となりうる、地域活性化にも資するエネルギー源である。特に、木質バイオマス発電及び熱利用については、我が国の貴重な森林を整備し、林業を活性化する役割を担うことに加え、地域分散型、地産地消型のエネルギー源としての役割を果たすものである。一方、木質や廃棄物など材料や形態が様々であり、コスト等の課題を抱えることから、既存の利用形態との競合の調整、原材料の安定供給の確保等を踏まえ、分散型エネルギーシステムの中の位置付けも勘案しつつ、森林・林業施策などの各種支援策を総動員して導入の拡大を図っていくことが期待される。輸入が中心となっているバイオ燃料については、国際的な動向や次世代バイオ燃料の技術開発の動向を踏まえつつ、導入を継続する。
引用 エネルギー基本計画p19 平成30年7月 資源エネルギー庁

他の自然エネルギーと違うのは、個々にあげられているような、カーボンオフセットになるのみならず、環境、社会、経済など人間生活と密接に係わっているものとして捉えることが出来ます。

「林野庁が行った、平成28年木質バイオマスエネルギー利用動向調査によると、平成28年(2016年)にエネルギーとして利用された木質バイオマスの量は、木材チップが773万絶乾トン(前年比12.0%増)、木質ペレットが21万トン(前年比34.1%増)、薪が5万トン(前年比2.6%減)、木粉(おが粉)が32万トン(前年比12.0%減)で、木材チップのうち、間伐材・林地残材等に由来するものは192万絶乾トン(前年比64.2%増)だった。バイオマス白書2018 2017年の動向 2 国内の動向」としています。ところが図で示されている2017年におけるFITにおけるバイオマス発電の稼働・認定の急激な拡大はパーム油、アブラヤシ核殻(PKS)、木質ペレットなど輸入バイオマスを主に使用する一般木質バイオマス発電を見込んでのものとなっているようです。其の要因としては「2017年4月から改正FIT法が施行され、接続契約の締結が必要になるなどの認定の条件が強化されること、2017年10月より、2万kW以上の一般木質バイオマス発電の買取価格が24円/kWhから21円に引き下げられること、の二つの要因があったと考えられる。」引用 一般木質バイオマス発電の大量認定と制度の大幅な変更ということと考えられます。
こうした事態を受け政府は国民負担軽減を鑑み既に決めたFIT法における2018,2019年度の調達価等を改めて設定することになりました。「2018年度より10,000kW(バイオマス比率考慮前)以上の一般木材等バイオマス(バイオマス液体燃料以外)全規模のバイオマス液体燃料についてを入札制に移行することとしました。その上で、2018年度の入札量については、FIT認定量や導入量を踏まえ、一般木材等バイオマス(バイオマス液体燃料以外)は180MW、バイオマス液体燃料は20MW」としています。
参考 エネルギー基本計画p273 平成30年7月[資源エネルギー庁]

輸入木質バイオマスはカーボンフリーになりえるか

2016年度の種類別木質バイオマスの利用量は、「木材チップ」が約87%、「木粉(おが粉)」が約3%、「木質ペレット」が約2%、「薪」が約0.5%で全体の約93%を占めています。 そのうち木材チップ利用量は、建設資材廃棄物(約52%)、間伐材・林地残材等(約25%)、製材等残材(約21%)の構成比になっています。この内、木質ペレット利用は近年、増加しており、2016年では国内産が12万トンに対して輸入が51万トンと急増しています。この輸入品は果たしてカーボンフリーになりえるのかと考えてしまいます。このことについて以下の見解があります。

電力中央研究所は、バイオマス発電において、原料の調達から燃料製造、輸送までを含めたライフサイクルの二酸化炭素排出量を定量評価する研究を行っている35研究結果によると、ペレットの輸入は海上運輸分の二酸化炭素を国内産に比べて余分に排出するが、海外産のバイオマスは、成形や乾燥などの二酸炭素排出への影響が大きい工程で国内産よりも排出量を抑えられている場合もあるため、ライフサイクルで評価すると、輸入バイオマスを完全に否定する議論は適切でないことが示されている。特に、木質ペレットの場合、成形の際の排出量が海外産では低く抑えられているため、国内ペレットと輸入ペレットのライフサイクルの二酸化炭素排出量に大きな差はないという結果が得られている。バガスペレットおよびEFBペレットについては、乾燥プロセスで工場の廃が利用できる場合や、成形加工プロセスでバイオガス電力が利用できる場合には、国内産ペレットよりも総排出量を低く抑えられる場合もあることが示されている。輸入バイオマスを用いる際は、海上輸送による二酸化炭素排出量の増加分だけでなく、ライフサイクルで評価し、使用の是非を検討することが必要だと考えられる
引用 35電力中央研究所(2011)「国内・外産石炭火力混焼用バイオマス燃料の製造・輸送に係わるCO2排出量の評価」研究報告:Y10010
持続可能なバイオマス発電のあり方に係る調査報告書 平成28年2月 三菱UFJリサーチ&コンサルティング p.96

このように、輸入木質バイオマスに否定的とはいえないという意見がある一方、バイオマスエネルギー導入の本来の目的を堅持すべきというものもある。

再エネというのは設備所有、ファイナンス、燃料供給が地域で回さないと地域経済への恩恵が少ないため、輸入型バイオマスではエネルギー自給にならず、本来の姿ではない。また輸送距離が長くなるとCO2削減効果が少なくなる。
引用 <参加報告>バイオマス発電の問題点を考える~輸入燃料、放射能汚染木材燃やしていいの?

「国内の木質ペレット工場の生産規模は年間100トン~1,000トン程度の小規模工場が多いが、海外では年間数万トン程度の大工場で生産されており、高い競争力を持っている。」参考 木質ペレットの生産量と輸入ということがFIT法でのコスト削減という目的からすると、持続可能性が担保されていれば、やむ終えないと考えるか、または国内において木質ペレットの生産コストを海外水準まで下げる施策を講じるか、意見が分かれるところである。

石炭火力発電所を石炭からバイオマスに

石炭火力の二酸化炭素削減につながるべく石炭・木質バイオマス混焼 (以下バイオマス混焼)が近年行われるようになった。国内の大型石炭火力発電は微粉炭焚ボイラを採用しており、微粉炭機の石炭の粉砕能力等の制約から、3%程度 (熱量比) までしかバイオマスを混焼できないといわれてきた。繊維質が多い木質ペレットであるが故の制約であるが、これをトレファクション (バイオマスを焙煎して半炭化し水分を抜き燃焼効率を高めたもの)等により石炭性状に近づけた ブラックペレットの開発が進み、従来の石炭火力発電所にそのまま投入できる、つまり大掛かりな設備投資がいらないシステムが現れてきた。欧州諸国(イギリス、ドイツ、デンマーク等)では石炭は使わない、混焼き率100%を目指す動きがみられている。
参考 バイオマス混焼:石炭火力の削減に繋がる制度に[自然エネルギー財団]

新規石炭火力発電において、混焼きすることにより、FIT法の認定対象になり、混焼分は相場価格より高い固定価格で買い取られる。(調達期間20年 20,000kW以上の一般木材バイオマス案件 2017年10月以降で21円+税/kWh))という背景があってのことである。また省エネ法では、新設時の設備単位での効率基準および既設を含めた事業者単位の効率基準の達成を求めているが、バイオマスを混焼すると、投入したバイオマスのエネルギー量に対する効率を、エネルギー投入総量から控除して計算した効率を使用できる。(分母が小さくなる)このような法律上の好条件が追い風になり、海外の安価な木質ペレットを使用して混焼き石炭火力発電がおしすすめられてきた。

国内でのこのような動きはカーボンフリーにつながるのでしょうか。
石炭混焼は規模が大きいため発電効率は高いが、石炭のGHG(温室効果ガス)排出が多いため、50%以上の混焼率でなければ天然ガス発電よりCO2排出が多く、国民負担のあるFITでの支援対象とすることは疑問である。
参考 持続可能なバイオマス利用の要件とは
ただし、バイオマス原料が完全にカーボンニュートラルとは限らないので、実質はさらに高い混焼き率が必要となるでしょう。

日本においては、FIT法が適用されているので、買取価格の一部が電力料金に上乗せされる賦課金は国民が負担しています。このような石炭混焼きを国民負担でまかなっていいのかという批判が出てくるのも当然の事であると思います。政府がいっその事石炭火力発電所をすべてバイオマスにという政策推進をしないのは、バイオマス原材料の調達量の確保の問題や、エネルギー基本計画の中で、石炭による発電をベースロードに位置づけていることにあると思います。二酸化炭素排出量削減が急務と考えるのであれば、政策転換をするなど柔軟な動きが求められることと考えます。

パームオイル、PKS輸入急増が意味するもの

パーム油(palm oil)はアブラヤシの果実から得られる植物油です。食用油とするほか、マーガリン、ショートニング、石鹸の原料として利用されます。近年では、バイオディーゼルエンジンや火力発電の燃料としても利用されています。食用パーム油の残渣を脱酸・漂白・脱臭したRBDステアリンが主にバイオ燃料となる。さらに、そのオイルを絞った後の残りかすがやし殻(PKS)として木質チップ材として発電用につかわれている。
パーム油の生産地は「生物多様性の宝庫」ともいわれる熱帯地域に集中しています。世界のパーム油生産の85%を占めるインドネシアとマレーシアでは農園を拡大するために森林を焼いたり、泥炭地に排水路を掘削しアブラヤシの農地としてきました。森林は光合成により多量の二酸化炭素を吸収し、泥炭地は常に水に漬かっており、植物が分解されずに堆積した土壌であるため大量の炭素を固定しています。インドネシアでは約2000万ヘクタールの泥炭地が拡がっており、固定されている炭素は300億トンとも言われています。森林が焼かれることにより、大規模な森林火災と煙害をひきおこし、泥炭地が開墾され、水が抜かれることにより、乾燥し、ここでも森林火災を誘発する。この炭素が温室効果ガスとして排出されることによって大量の二酸化炭素が大気中に放出されることになっております。また、このような環境破壊のみならず、土地にまつわる紛争や労働問題にも発展してしまう事例がみうけられるようです。パーム油生産1トンあたりの二酸化炭素換算の温室効果ガス排出量は、石炭によるもの以上であるため、欧米ではこれらに対して規制を強化している国々もみられます。国内においては、急増している一般木材等バイオマスのFIT認定量のうち、相当数がパーム油等のバイオマス液体燃料を利用するものである。具体的には、2017年9月末までに認定した一般木材等バイオマスの案件(バイオマス比率90%以上のものに限る。)のうち、件数ベースで約5割、出力ベースで約4割が燃料にパーム油を含む案件となっている。(実際にはこれらをすべて稼動するだけの燃料調達を不可能であるので取り消されるケースが多数出てくる。)このような事態を受け、当面パーム油発電はFIT法の中で区分わけされ、2018年度より、入札制のもとでコスト削減、量的規制、LCA(ライフサイクルアセスメント)要素を含めた規制による、コントロールで対応していく法改正がなされました。これはパーム油による発電がFIT法の下で多量に行われることによる国民負担への対応とパーム油利用の急増が二酸化炭素削減につながらないという懸念をかわす狙いのものと考えられる。
参考 パーム油の利用と生産[パーム油調達ガイド]

バイオ燃料を国産でカーボンフリーに

主なバイオ燃料の特徴
バイオエタノール バイオディーゼル バイオガス
原料 第1世代:とうもろこし、サトウキビなどの穀類
第2世代:食料にならない廃材、牧草、間伐材
藻類()
一般の動植物油脂、廃食油 下水や生ごみ等、主に廃棄物が原料
製法 第1世代:材料をアルコール発酵させて醸造する
第2世代:セルロースを熱や真菌で分解させ、コリノ菌
酵母で醸造
そのままメタノール処理または
水素化分解して製造する
メタン菌による嫌気発酵により有機物を分解してメタンガスを生成する。
用途 車のガソリン燃料の代替 バス・大型トラック・建設機械・船舶・軍用車両用の軽油代替燃料 発電や熱供給に利用される
特徴 大抵の有機物は原料になりうる。
コストがかからない
ガソリンより出力が劣る
廃食油などを利用できるのでエコである。
回収の手間がかかる
製造コストがかかる
資源の制約が少なく、既存の処理施設を改造する等、比較的少ない投資で実現可能である

バイオ燃料については主に交通運輸部門で利用されている。自然エネルギー世界白書 2018によると交通部門のエネルギー消費量のうち約3.1%が自然エネルギー(2015年)とされている。果たしてバイオ燃料はカーボンフリーになりえるのか。2000年代、アメリカでとうもろこしの価格が急上昇した。これはバイオエタノールの生成にとうもろこしが多量に使われたことによるものとされている。きっかけは世界的な原油価格の高騰と地球温暖化に対する関心の高まりによるものとされている。植物由来ということで二酸化炭素排出削減につながるという考えもあったことでしょう。アメリカではトウモロコシ由来のバイオエタノールを生産し、ガソリンに対して約11%混合し、EUでは菜種などを原料としたバイオディーゼルを生産し、軽油に対して約5%混合している。但し、食料としての利用との兼ね合いもあり、各国、農業政策などの産業振興や、環境対策との観点などを踏まえた上でのこととされている。
穀類等、食物、飼料としても生産されるものを原料とする場合は、これらの穀物の栽培により、食料に回す穀物の作付面積が減り、穀物相場が高騰してしまうリスクをかかえてしまいます。このような事態は長い目で考えると、持続可能性は不確かなものであり、果たしてこのようなバイオ燃料生産を押し進めてよいものかという疑問を呈することになっています。このような原料は第1世代の燃料と呼ばれています。そのようなことを受けて登場したのが、資源的な制約が無く、需要が増えても穀物相場には影響を与えにくい藻類等のバイオマスや古紙、おが屑や牛糞などの廃棄物に含まれる有機物を分解することによってバイオ燃料、すなわち第2世代の燃料となります。ただ、収率が低く、原材料は安いものの、熱量あたりの製造費用が高くなる可能性があるし、セルロース発酵などの技術的な困難さもあり、次世代のバイオ燃料とされている。
国内では、世界的に見て、バイオ燃料の導入に関しては遅れており、近年になってとりわけバイオエタノールの導入が進められてきています。エネルギー供給構造高度化法において2018年より5年間は国全体のバイオエタノール供給量を毎年50万kL(原油換算)とし、特定製油事業者に対して当該事業者の揮発油年間供給量をすべての特定製油事業者の供給量の合計で割った比率で個々の事業者に対して全体バイオエタノール供給量を按分する、という告示を提示しております。よってこの比率にしたがってガソリン等にバイオエタノールが混入されることになります。日本では、導入するバイオエタノールはほぼブラジルからの輸入なのですが、導入するバイオエタノールはライフサイクルアセスメント(LCA)での温室効果ガス(GHG)排出量が、化石燃料由来のガソリンと比較して、45%未満とし、食料 競合の回避や、生物多様性の確保に配慮する、としています。この間、国産の非可食原料を特徴とする次世代バイオ燃料の実用を推し進め、国として、バイオエタノールを自給できる狙いとしています。
ただ、下記のような指摘をする科学者がおります。

一般の燃料に比べ亜酸化窒素(N2O)の放出量が2倍である。N2OはCO2の約310倍の温室効果を持つため、地球温暖化を防止するどころか、かえって地球温暖化を促進させるのではないかとパウル・クルッツェン博士などが指摘している
参考 WikiPediaバイオ燃料

このことは、二酸化炭素排出削減の事だけ考えるのではなく、それ以外の温室効果要素、環境全体をみて晩段しなければいけないとする警鐘として聞こえてくるものだとおもいます。
参考 バイオ燃料[環境展望台:国立環境研究所]

バイオマスエネルギーの特性

バイオマスエネルギーの基本特性について以下のような記述が見られた。

バイオマス資源から、固体・気体・液体、全ての燃料の製造が可能だということである。これらの燃料を用いて、電気、熱、交通などあらゆる分野での利用が可能である。したがって、現状で化石燃料が使われている領域の全てにおいて、技術的にはバイオエネルギーへの代替が可能である。
–>十分に高いエネルギー効率が実現するとは言えない。
–>熱利用においては90%以上の高いエネルギー変換効率が実現しているが、発電のみであれば20〜40%程度であり、熱電併給となって初めて80〜90%といった高い総合効率を実現できる p8
化石燃料に比べて単位重量あたりのエネルギー密度が低く、資源が空間的に薄く広く賦存しており、化石燃料のように特定のエリアから集中的に採掘できないということである。したがって、大規模化が比較的容易な化石燃料とは異なり、エネルギーシステム自体が小規模分散型のものに置き換わっていくことになる
–>食糧生産や生態系保全など、燃料生産以外の生態系サービスとの間で、土地を巡る競争が発生しうる。
–>バイオエネルギーの利用に当っては、第一に廃棄物や残渣等の未利用系バイオマスを中心に考え、最後に未利用の土地を活用してのエネルギー作物の生産を考えるという順番を原則とすることが大切である。 p9

参考日本のバ イオエネルギ ー戦略 2018年4月[自然エネルギー財団]

カーボンフリーとなりえるかということから考えた場合、加えて以下のようなことがいえると考えます。

原料が植物由来であること
–>原料を燃焼、発酵などの処理をしてエネルギーを取り出すのでそのものから二酸化炭素を発生する。
–>使われた植物が収奪されたままではなく、再生産されるという炭素循環を保障するものでなくてはいけない。

また、日本のエネルギー基本計画においても次のように述べている。

  • 地域に賦存する地下の蒸気・熱水を活用した地熱発電、小河川や農業用水などを活用した中小水力、地域に賦存する木質を始めとしたバイオマス、太陽熱・地中熱等の再生可能エネルギー熱等は、コスト低減に資する取組を進めることで、コスト面でもバランスのとれた分散型エネルギーとして重要な役割を果たす可能性がある。また、地域に密着したエネルギー源であることから、自治体や地域企業や住民を始め、各地域が主体となって導入が進んでいくことが期待される。加えて、再生可能エネルギーを用いた分散型エネルギーシステムの構築は、地域に新しい産業を起こし、地域活性化につながるものであるとともに、緊急時に大規模電源などからの供給に困難が生じた場合でも、地域において一定のエネルギー供給を確保することに貢献するものである。p.41
  • 再生可能エネルギー熱再生可能エネルギー電気と並んで重要な地域性の高いエネルギーである再生可能エネルギー熱を中心として、下水汚泥・廃材によるバイオマス熱などの利用や、運輸部門における燃料となっている石油製品を一部代替することが可能なバイオ燃料の利用、廃棄物処理における熱回収を、経済性や地域の特性に応じて進めていくことも重要である。太陽熱、地中熱、雪氷熱、温泉熱、海水熱、河川熱、下水熱等の再生可能エネルギー熱について、熱供給設備の導入支援を図るとともに、複数の需要家群で熱を面的に融通する取組への支援を行うことで、再生可能エネルギー熱の導入拡大を目指す。

引用 エネルギー基本計画平成30年  p43

有史以来、人類はバイオマスをエネルギーとして使ってきた。火をおこしたり、暖を取ったりするのに薪を使っていた。ですから、バイオマスエネルギーは最先端のものではなく、とても身近なものといえるでしょう。

バイオマスエネルギーにみるカーボンフリーである言われるための持続可能性をはかるものさし

バイオマスエネルギーがカーボンフリーとなりうるのは「人間が植物を刈り取り、燃やし、二酸化炭素が大気中に放出され、刈り取られたところから植物が再生し、葉が茂り、光合成により、大気中の二酸化炭素を吸収する、ということを繰り返す。」というふうに単純な文言で置き換えることが出来ます。加えて、「刈り取った植物を利用し、一定期間たてば廃棄され、焼却によって二酸化炭素が大気中に放出され、上記と同じような循環をたどることになる。」という一定期間炭素固定される場合もありえます。ここでポイントとなるのは、このようなことが循環されるということだと思います。そして、この循環されるということを「持続可能な社会」の中で、「持続可能性」持続可能性とは[JFS ジャパン・フォー・サステナビリティ]ということばで表現されております。

再エネ二酸化炭素排出の認証

再エネ二酸化炭素排出の認証

排出量0となるには利用する植物が同じように再生することを保障しなければならない。この前提があやしいとそれを利用するまでの段階における「バイオマスエネルギーはカーボンニュートラルであるから、二酸化炭素排出量は0である。」といえない。だが、其の事を確認できる定量的な数値算出方法は一般化されていないし、いちいちそのことを確認しているわけではないと思われる。そこで、次のような手法によってある程度確認できるのではないだろうかと考える。

  1. 森林面積が減少していない。
  2. 森林認証制度により認証されたものである。
森林面積の変化から

1年当たりの森林面積変化の推移気候帯別

1年当たりの森林面積変化の推移気候帯別
出典「世界森林評価Global ForestResources Assessment(FRA2015)


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  • 世界の森林面積は1990年の41.28億haから、2015年には39.99億haに減少した(森林率では31.6%から30.6%に減少
  • 森林減少の速度は1990年代の年率0.18%から、2010年から2015年までの最近5年間においては0.08%にまで低下しており、年間の正味の減少面積は330万ha(760万haの減少と430万haの増加の差)である。大規模な森林減少が起こっているのは熱帯、とりわけ南米とアフリカであるが、最近5年間ではこれらの地域における森林減少速度も大幅に低下してきている。
  • 世界の天然林面積は37億haで全森林の93%を占めているが、最近5年間では正味で年間650万ha減少している。(1990-2000年における純減は年間1,060万haであった。)
  • 世界の人工林面積は1990年に比べて1億500万ha以上増加している。なお、年間の増加面積は2000-2005年に590万haでピークを迎え、最近5年間では、東アジア、欧州、北米、南・東南アジアでの植林の減少に伴い、330万haとなっている。
  • 木材生産量は1990年から2011年にかけてわずかに増加したが、特に低所得国では薪炭材への依存度が高いままである。なお、2011年の木材生産量は30億m3で、その49%が薪炭材向けである。
  • 世界の森林の炭素蓄積量は主として森林の他の土地利用への転用や森林劣化により、この25年間で約111億炭素トン減少した(年間4億4,200万炭素トン、16億二酸化炭素トンの減少)。その減少分のほとんどをアフリカ、南米、南・東南アジアが占めており、森林から農地や宅地等への転用に起因する。他方、欧州、東アジア、北米では炭素蓄積量が最大の増加を示し、大洋州、カリブ海、西・中央アジアでは微増を示した。 尚、森林の炭素蓄積量は、地上部のバイオマス(生きている樹幹、枝条、樹皮、葉等)、地下部のバイオマス(生きている根)、枯死木、リター(落葉落枝等)及び土壌に含まれる炭素蓄積量の合計である。

参考 FAO林業局

JSR2017によると世界の自然エネルギーの最終エネルギー消費(2015年推計)では、伝統的バイオマスは9.1%であり、再生可能エネルギーと呼ばれている自然エネルギー10.2%と同じぐらいの利用があります。森林面積の縮小、天然林の減少、炭素蓄積量の減少、木材生産量のうち半分は薪炭材向けであること、伝統的バイオマス利用が依然、エネルギー消費の一定の割合を維持していること、これらと、人口増加している、アフリカ、南米、南・東南アジアの熱帯地域はオーバーラップしている。いくら森林の管理体制が整っていこうとも、この地域が抱えている問題、それは、食料飢餓、地域紛争、農村崩壊、等と絡めて考えていく必要があることを示していると思われる。

森林認証制度による認証

バイオマスエネルギーを得るために、伐採された木材が、確かに再生するということを実現するためには、切り出した森林が持続可能性をもって管理されていう必要があります。そのことを証明するために、森林認証制度が活用されます。其の基本的仕組みは以下のようにいわれております。

良好に管理された森林は信頼できる独立した第三者評価機関により認証され、生産物は独特の手法で識別可能にラベリングされる。消費者はこれらの製品を容易に識別し選別できる。良好に管理された森林の厳密な規定は基準の形で明示される。基準は地域により若干の違いはあるが、良好な森林経営の基本は共通であり容易に記述でき合意できる。ほとんどの基準(standards)が既往のフォーマットである規準(criteria)と指標(indicators)の形をとっている。基準に合致した森林とその生産物にマークが付されることとなる。認証ラベリングは利益をもたらす。認証をとれなかったものは価格が下がり国際市場での地位を失う。
引用 森林認証の基本的仕組み

森林を認証するということは、エネルギー利用にあたっての森林認証ということのためだけではなく、森林と人との係わりにおいて、環境、社会、経済など広い分野に関係していることと思われます。
国際的に広く認知されている森林認証には以下のようなものがあります。

日本国内における主な森林認証制度
FSC PEFC SGEC
概要 10の原則と56の規準に基づき、独立した認証機関が認証審査を実施。国別、地域別規準の設定が可能。 汎欧州プロセス等の規準・指標に基づく各国独自の認証制度を承認(相互認証)する仕組み。 日本の森林を対象とした制度。PEFCと相互承認
適用地域 FM 全世界 森林認証基準が作成されている国や地域の森林 日本のみ
COC 全世界
件数
(認証面積)
FM 世界->1億9517万ha(84ヶ国)
日本国内->41万ha
2017年12月1日現在
世界->3億1349万ha(36カ国)
2017年12月31日現在
166万ha
2017年12月31日現在
COC 世界->3万3550件(121ヶ国)
日本国内->1289件
2017年12月1日現在
世界->11,484件(72ヶ国)
2017年12月31日現在
580件
2017年12月31日現在

FM認証では環境、地域住民などに配慮した森林管理の状態を評価し、CoC認証では、認証材が非認証材と不故意に混ざらず、きちんと区別されて取り扱われているか、ラベルがきちんと規定に従って貼り付けられているかを確認します。FM認証は林業会社、森林組合、市町村林、大手製紙・住宅会社の社有林など、CoC認証については特に製紙、印刷、製材、建築、家具・工芸品加工など、木材や紙・パルプに関連する多種多様な企業が取得し、持続可能な森林づくりに貢献しながら、消費者への積極的なエコ・アピールの手段として活用しています。しかし、90年代以降、世界的・地域的に様々な森林認証制度が次々に作られ、運用されている現在、それぞれの特徴や違いをきちんと理解するのが難しくなってきています。
引用 森林認証制度[FAIRWOOD PARTNERS]

森林認証制度は、環境面のみならず、社会的、経済的側面も包含する必要がありますが、カーボンフリーに係わることに関しては以下のような視点を持ち合わせる必要があると思います。

①持続可能な森林管理

  • 管理区域を確定している。
  • 天然林は生物多様性を維持するために貢献しているので、その生態系を損なうことの無いようにしている。
  • 人工林は、間伐等、適切に管理されている。伐採を行う場合には持続可能性が保持されることを確認できるようにしている。
  • 森林生態系の保全のみならず、水環境、土壌環境の維持に配慮している。
  • 加えて、其の地域、国の森林管理の法令を遵守している。

②認証制度の社会的信頼性

  • 森林所有者、林業・木材産業関係者、地元住民並びに環境や社会問題に関心を抱 く組織等幅広いステークホルダー(利害関係者)の団体が参画出来る仕組みができている。
  • 認証された森林から木材を生産し、消費者の下にいたるまでのサプライチェーンが明確であり、認証されていないものが混入されることが無く、トレサビリティーができている。また定期的にチェックされている。
  • 独立した第3者機関による認証となっている。
  • 定期的に管理認定されたものがチェックされている。

③認証制度の説明責任

  • 認証の状況が広く一般に公開されている。
森林に係わる制度がカーボンニュートラルになることに貢献しているのだろうか?
世界森林制度指定状況

世界森林資源評価2015(FRA2015)文中のデータを編集
但し、FSC,PEFCデータは別表の2018データを使用
*表中の単位は億ha,棒グラフ100%は世界森林面積40億haの面積を示す。

天然林面積の推移

天然林面積の推移(地域別)
出典 世界森林資源評価2015(FRA2015)

世界人工林面積の推移

世界人工林面積の推移(気候帯別)
出典 世界森林資源評価2015(FRA2015)

世界森林の管理経営のための計画が作成された森林の割合

世界森林の管理経営のための計画が作成された森林の割合
出典 世界森林資源評価2015(FRA2015)

世界森林バイオマス中の炭素蓄積の推移

世界森林バイオマス中の炭素蓄積の推移
出典 世界森林資源評価2015(FRA2015)

世界の森林面積(約40億ha)のうち人工林はわずか3億haです。その人工林の面積が年々増えているということは、砂漠や草地を植林することによるもの以外に、天然林が人工林に土地利用変化のものもあると考えられます。一方、天然林は37億haもありますが、年々減少しているということは伐採によって人工林や農地に変化していると考えられます。それは森林の炭素蓄積量の減少として現れております。この炭素蓄積量とは上部のバイオマス(生きている樹幹枝条、樹皮、葉等)、地下部のバイオマス(生きている根)、枯死木、リター(落葉落枝等)及び土壌に含まれる炭素蓄積量の合計として算出されたものであるとしています。この量が、そのままバイオマスエネルギーの潜在量ということと考えられますので、カーボンニュートラルであるかどうかの疑念を抱いてしまうところです。
森林面積の減少、劣化(森林の炭素蓄積量の減少)を食い止めるべく、各国、規制区域をもうけているようです。たとえば、日本では森林・林業基本計画において「水土保全林」「森と人との共生林」「資源の循環利用林」という区分を設け、保護すべき森林、利用する森林を定義しております。こういった法律が遵守されていれば森林利用の持続可能性は維持されるのですが、特に、広大な熱帯雨林を占めている国々での違法伐採などは依然後を絶たない状況であるようです。
森林認証を推し進めているFSCのホームページの中で次のようなNPOの存在意義についての記述がありました。

森林減少は環境、社会、経済に深刻な影響をもたらしています。社会的には、森林に生活を依存する多くの人々の生活や文化が脅かされます。環境面では多くの野生動物の住処が奪われ、絶滅の危機に瀕しています。….森林の破壊は地球規模の気候変動につながっています。経済的にも、特に開発途上国で深刻な違法伐採による世界の経済的損失は毎年約2兆2000億円と言われています。こうした問題から貴重な森林を守るためにはどうしたらいいのでしょうか。法律を作り取り締まればいいという人もいるでしょう。しかし、世界には必ずしも民意を得ていない政府もあり、国政が民主的に、国民のために機能しているとは限りません。また、環境や立場の弱い人々のことも十分配慮した法律が作られているとも限りません。さらに、法律があってもそれが守られているとも限らず、国内で許容される管理方法も、必ずしも国際的に受け入れられるものだとは限りません。行政によるアプローチだけでは限界がある中、国際的に統一され、NGOや民間企業等が問題の実質的な解決へ向けて協調し、自ら実施でき、それを客観的に評価できる仕組みが必要です。FSCはこうしたボトムアップの取り組みであり、市場メカニズムを利用し、消費者の理解と購買力により責任ある森林管理を支えてゆく仕組みです。こうしたボトムアップ的なアプローチ、そして行政側のトップダウン的アプローチは、相反するものではなく、多数の利害関係が複雑に絡み合う中、むしろ相互補完的に作用するものと考えられます。
引用 世界の森林問題とFSCの価値

ngo主導の森林認証が国をまたいで「カーボンニュートラルである森林資源を人間生活に利用する」ことを保障することになると思います。国際的に認知されているFSCとPEFCの違いがよく議論されることがあります。両者が定めている基準については言葉尻では同じように思えますが、FM認証基準に少し差異が感じられることがあります。
たとえば、天然林の伐採に関しては以下のような違いがあると思います。

FSC

基準6.9. 組織は自然林を人工林や森林以外の土地利用へ転換させてはならない。また自然林を直接転換して造られた人工林を森林以外の土地利用へ転換させてはならない。ただし以下をすべて満たす場合を除く:
a)管理区画*の面積に対してごく限られた割合*のみに影響する場合。
b)転換によって、管理区画*において明確かつ大きく、安定した、長期*的な自然環境保全*の公益がもたらされる場合。
c)高い保護価値(HCV)を維持または向上するために必要な資源や場所を損なったり、脅かしたりしない場合。(V4基準6.10及び2014年総会動議7番)
指標 6.9.1 自然林から人工林への転換、自然林から森林以外の土地利用への転換、自然林を直接転換して造られた人工林から森林以外の土地利用への転換は行なわれていない。ただし以下をすべて満たす場合は除く:
1)管理区画のごく限られた割合*のみに影響する場合。
2)転換によって、管理区画において明確かつ大きく、安定した、長期的な自然環境保全の公益がもたらされる場合。
3)HCVや、HCVを維持または向上するために必要な資源や場所を損なったり、脅かしたりしない場合。注:本指標の適用に際しては、用語と定義に記されている「自然林」及び「人工林」の定義を参照することが重要である。

基準6.10 1994年11月以降に自然林を転換して造られた人工林を含む管理区画は、通常、認証の対象とはならない。ただし以下のいずれかを満たす場合を除く:
a)組織はその転換に責任がないという明確かつ十分な証拠がある場合。
b)管理区画の面積に対してごく限られた割合のみに影響し、転換によって、管理区画*において明確かつ大きく、安定した長期的な自然環境保全の公益がもたらされている場合。
(V4基準10.9)

指標6.10.1
利用可能な最も有効な情報に基づき、1994年以降の土地利用の転換についての正確な情報が収集されている。

指標6.10.2
以下の1)を満たす場合、または2)及び3)を満たす場合を除き、1994年11月以降に自然林から人工林に転換された土地は認証されていない:
1)組織が、自身は直接的または間接的にその転換に責任がないという明確かつ十分な証拠を示した場合。
2)転換によって、管理区画における明確かつ大きな長期的保全の公益がもたらされている場合。
1994年11月以降に自然林を転換して造られた人工林の面積の合計が現在の管理区画面積の5%を超えない場合。


文中の用語定義

基準(Criterion, pl. Criteria):(森林管理の)原則*が満たされているかどうかを判断するための方法。(出典:FSC-STD-01-001第4-0版)

指標(Indicator):管理区画*がFSC基準*の要求事項に適合しているかを判断する方法であり、測定または記述可能な定量的または定性的な可変項目。指標と関連閾値は、管理区画*レベルでの責任ある森林管理のための要求事項を定め、森林評価の基礎となる。(出典FSC-STD-01-002 V1-0 FSC用語集(2009年))

自然林(Natural forest):複雑性、構造と生物多様性、土壌特性、動植物などの面で多くの自然生態系の主要な特徴と重要な要素をもち、そこに育つすべてまたはほぼすべての樹木が在来種である、人工林として分類されていない森林地域。
自然林には、以下の種類を含む:
o伐採やその他のかく乱により影響を受けた森林で、天然更新と人工更新の組合せにより、そのサイトの自然林に典型的な樹種が再生しており、地上部及び地下部に多くの自然林の特徴を残すもの。自然状態で1種もしくは限られた種数のみで構成されている北方林と北部温帯林において、天然更新と人工更新の組合せにより、同じ在来種*が更新されており、そのサイトの自然生態系の主な要素と重要な特徴のほとんどが残されている場合、これは人工林*への転換とはみなさない。
o天然更新や人為補助を加えた天然更新を含む伝統的な造林方法により維持されている自然林。
o非森林地域で在来種が再生して発達した二次林。
o自然林の定義には木に覆われた生態系(wooded ecosystem)、樹林地(woodland)、サバンナを含めても良い。
(出典:FSC-STD-01-001第5-0版).

日本においては、特に以下のものを自然林として扱い、人工林や他の土地利用への転換は禁止する。
1)多層の構造を有し、自然植生から成る森林。環境省の自然環境保全基礎調査では植物自然度9に該当する。
2)過去の皆伐の痕跡が明らかではなく、種構成が自然植生に近く、階層構造が十分に発達し、上木まで連続を成す代償植生(人間の活動によってその土地本来の植生に代わって生じた植生)。植物自然度は8に該当する。
3)過去に存在した人工林が消失した後、萌芽または実生により天然更新された森林で、植生の遷移が進み、種組成や階層構造が発達した植生自然度が8に該当するもの。

人工林(Plantation):外来種または在来種*を用いた植栽または播種により成立した森林地帯。多くの場合、使用される樹種は1種か限られた種数であり、等間隔かつ同齢で、自然林の主な特徴と重要な要素には欠ける。適切な記述や例を用いて、例えば下記のように国内規格でより詳細に人工林を定義してもよい:
o元々人工林のこの定義を満たしていた地域が年月を経て自然生態系の重要な特徴と主な要素の多くまたはほとんどをもつようになった場合、自然林に分類することができる。
o生物多様性、生息・生育域の多様性、構造の複雑さ、生態系機能を復元*し、向上させるために管理されている人工林は、年月を経て自然林に分類することができる。
o自然状態で1種もしくは限られた種数のみで構成されている北方林と北部温帯林において、天然更新と人工更新の組合せにより、同じ在来種*が更新されており、そのサイトの自然生態系の主な要素と重要な特徴のほとんどが残されている場合、これは人工林への転換とはみなさない。
(出典:FSC-STD-01-001第5-0版)
日本では、代償植生(人間の活動によってその土地本来の植生に代わって生じた植生)から成る以下の種類の森林を人工林とする。
1)針葉樹人工林:木材生産等の利用目的のため植栽された、スギ・ヒノキ・カラマツ等の針葉樹の林。環境省の自然環境保全基礎調査では植物自然度6に該当。
2)広葉樹人工林:特定の利用目的(パルプ用材、きのこ栽培用原木や薪炭利用・薬用・伝統工芸品等)のために周期的に伐採され、萌芽や植栽、播種等により更新されている広葉樹林。植生自然度は6, 7に該当する。ただし、遷移が進み、種構成が自然植生に近くなり、階層構造が十分に発達し、植生自然度が8に該当する状態となった森林は自然林に定義される(自然林の定義2)参照)。
3)過去に存在した人工林が消失した後、萌芽または実生による天然更新された森林で、成立してからまだ日が浅く、植生遷移の比較的初期段階にある、種組成や階層構造が未発達で、植生自然度は7に該当するもの。

高い保護価値(HCV) (High Conservation Value, HCV):以下のいずれかに該当する価値:
o HCV 1: 種の多様性。世界、地域または国レベルで重要な*固有種と希少種*または絶滅危惧種*を含む生物多様性*が集中している場所。
o HCV 2: 景観レベルでの生態系とモザイク。世界、地域、国レベルで重要*であり、数多くの自然発生種の存続可能な個体群が本来の分布や数で存在している原生林景観*、大規模な生態系*と生態系のモザイク。
oHCV 3: 生態系と生息・生育域*。希少*、危急または絶滅が危惧される生態系、生息・生育域*またはレフュジア(退避地)*。
oHCV 4: 不可欠な*生態系サービス*。集水域の保護*や脆弱な土壌と斜面の侵食や崩壊の防止を含む、危機的な状況において重要な根本的な生態系サービス*。
oHCV 5: 地域社会*のニーズ。地域社会*または先住民族*との協議*の下で特定された、地域社会*または先住民族*の基本的な生活(例:生計、健康、栄養、水など)に欠かせない場所と資源。
oHCV 6: 文化的価値。世界的または国家的に、文化的、考古学的または歴史的に重要な場所、資源、生息・生育域と景観、及び/または地域社会*または先住民族*との協議*の下で特定された、地域社会*または先住民族*の伝統文化にとって文化、生態、経済または宗教/精神上の側面からに非常に重要な場所、資源、生息・生育域と景観。(出典:FSC-STD-01-001 V5-0に基づく)

引用 FSC-STD-JPN-01-2018 V1-0日本語参考訳.pdf

基準6.9では「自然林(天然林とも呼ぶことが出来る。原生林を含む)の伐採、土地利用の転換は、自然環境の保全の為、その生態系を損ねることのないように、ごく小規模の割合でおこなわれることを除いて、してはならない。」としている。
基準6.10では「1994年11月以降に自然林を転換して造られた人工林を含む管理区画は、この区画すべてに対して認証することはない。但し、その管理主体が、人工林にさせた当事者、関係者ではない場合、またはその人工林が管理区域の5%にも満たない面積であり、自然環境の保全に寄与するものであれば例外として認める。」という解釈と受け止めることが出来ます。

SGEC(PEFCと相互認証)

基準 2 生物多様性の保全

2-1-3 原則として原生林の1%以内の小面積で、かつ下記による正当化可能な状況以外は、原生林を人工林に転用してはならない。
a この規格で定める生態系、種、遺伝子の多様性の維持等生物多様性の維持・保全等に関する基本的な管理方針に照らしてその影響が無視できる範囲のものであること。
b 自然環境保全法及び自然公園法ほか生態系の保護・保全に関する法令及び地域森林計画、市町村森林整備計画に反するものでないこと。
2-1-4 林地の転用に当たっては、原則として森林認証面積の1%以内(但し、500ha未満は5HA以内)とし、原生林については前項の規定に基づくほか、この規格の基準2「生物多様性の保全」及び基準6「社会経済的便益等の維持・増進」等の関連
する規定、並びに森林法で定める保安林制度、森林計画制度、林地開発許可制度及び関連する自然環境保全法及び自然公園法等諸法令に基づき適切に実施しなければならない。 なお、林地の転用については、長期的な森林の保全やその及ぼす影響が経済的・社会的な恩恵に寄与するものでなければならない。
2-1-5 原生林の人工林への転用に関し、正当化できる明確な事由がない状況のもとで2010年12月31日以後に転用された人工林については、本規格に定める要求事項を満たさず、認証には不適格となるものとして取り扱わなければならない。

基準 4 森林生態系の生産力及び健全性の維持

4-4天然林(萌芽更新により育成された森林を含む。)についても地域の特性を考慮し適切な森林管理計画等が樹立され、的確な更新施業が行われていなければならない。

4-4-1 森林管理計画等における天然林に関する記述内容が、地域森林計画及び市町村森林整備計画に照らして適切であり、天然林の伐採と更新が技術合理性の観点から相互に有機的に結合して計画されなければならない。 伐採・更新に当たっては、伐採方法、数量、予定時期を含む予定表が作られなければならない。

4-4-2 天然林の施業に当たっては、施業方法と林相・林型に応じた適切な選木指針が策定され、伐採率、伐採の繰り返しの期間などの技術指針が策定されなければならない。 また伐採後の更新が適切に行われるよう、林相・林型、伐採後の現地の実態に応じて、地表処理、植え込みなど必要な更新補助作業が計画されなければならない。


文中の用語定義

2-1 人工林と天然林
人工林は、植栽又は人工下種により生立した林分で、植栽樹種又は人工下種の対象樹種の立木材積(又は本数)の割合が 50%以上を占めるものをいう。また、天然林は人工林以外の森林をいう
2-4 原生林
在来種の森林であり、人による活動の明白な兆候がなく、生態系の推移が大きな阻害を受けていないもの。
注意書:人の介入による影響が少ない非木材の林産品が採集される区域も含む。多少の木が除去される場合もある。

引用 SGEC_Bunsho20181101.pdf緑の循環認証会議SGEC文書(2018年11月1日)

基準2では「原生林に対しての土地の転用を禁止しております。但し、1%以内の小面積で、自然環境保全の為の国内各種法令を遵守した上での例外は認める。また、2010年12月31日以後に原生林から転用された人工林がある場合は認証を認めない。」としています。
基準4では「天然林の伐採、土地転用は地域の森林整備計画にそって、適切な方法で行われ、現地の実態に応じて適切に行われなければならない。」として天然林の伐採、土地利用転換は禁止している訳ではないようである。

両制度は、同じような事を規定しているように思われますが、決定的な相違点は以下の事になると思います。

  1. 基本的に伐採、土地利用を禁止しているのは、FSCでは自然林(天然林)であるが PESCは原生林としている。
  2. FSCでは自然林、PESCは原生林としている区域をかつて人工林にしてしまったことがある伐採管理当事者であるというくくりがFSCでは1994年11月以降であり、PESCでは2010年12月31日以後としている。

1では伐採、土地利用転換禁止区域が、自然林(天然林)であるか、原生林であるかとの違いです。FSCの自然林とは、原生林を含む自然林であって、世界森林資源評価2015(FRA2015)のなかで示されている世界で37億haある天然林の事を指しているようです。一方、PEFCでは、世界で13億haの原生林であるから、単純に考えれば、差し引き24億haの面積の取り扱いが異なっていることになります。つまり、PEFCでの24億haもの面積の天然林は適切な森林管理計画の下、伐採、土地利用転換可能という風に考えることが出来ます。そのことについては、世界森林資源評価2015(FRA2015)制度指定状況の図の中で、世界の人工林の面積が3億haに対して、PEFCでの認証面積が3.1億haにもなっていることからもそのことがうかがえます。

2では過去に自然環境保全を最優先しなければいけない自然林、原生林を人工林に変えてしまった管理主体に対して、そのような行為をしてしまった所には認証してはならない。その判断基準は行為を行ってしまった日付としていますが、其の根拠は何であるのでしょうか。

PEFCの基準とするプロセスの違いにより一概にいえないにしても、PEFCのほうが上記のような考察から、FSCより基準が緩いようにおもえます。

FSCでは「世界の森林問題とFSCの価値」の中で述べられている、貴重な森林を守るということが譲ることが出来ない事であるという問題意識が森林認証制度の根幹になっているように思われます。
対してPESCでは「持続可能な森林経営のための政府間プロセスをベースに、各国で個別に策定された森林認証制度の審査およびそれら制度間の相互承認を推進」というアプローチをとっています。この政府間プロセスというのは、自国の政府が参加する認証基準をPESCが提示している世界の政府間プロセス基準の中から選び、森林管理規格として採用することとしている。政府間プロセス基準は、世界の森林環境に応じて9基準ある。相互認証された日本のSGECではモントリオールプロセス(温帯林および北方林の保全および持続可能な管理のための基準および指標)、インドネシア、マレーシアなどの熱帯雨林地域では、天然熱帯林の持続可能な管理のためのITTOガイドライン(1992)(11)、および、熱帯生産林の生物多様性保全のITTOガイドライン(1993)(12)が基準となっております。このような基準の採用の違いは、其の地域がおかれている森林管理環境によるものとされています。日本の森林では、戦後、植林が大規模に行われ、その人工林の管理が問題になっている。熱帯雨林地域では、東南アジア地域の熱帯雨林の伐採による木材生産が国の産業の基盤となっている状況にある。このような違いが、各国の相互認証された認証制度の違いとなっていることが大きな特徴といえます。

その厳格とされている森林認証制度であるFSCでさえも、設立メンバーであった国際環境NGOグリーンピースからは「堅実な木材認証は、人々の権利を保護し、森林管理を改善するのに役立つが不完全なツールであると信じています。そのため、Greenpeace Internationalはその森林管理協議会のメンバーシップを更新したり、他の木材認証スキームのメンバーとして参加しません。」という報道があります。 グリーンピースhp 記事 グリーンピースインターナショナル、FSCの会員資格を更新しない より
これは、各地で問題となっている、森林違法伐採や、不明瞭な認定が公表されている状況に対して、森林認証制度では問題解決できないことに対するものであると考えたからなのでしょうか。

パームオイル生産に伴う認証

パームオイルはエネルギー利用によるものという以外に、パームオイルを使った製品に係わるものに使われる原料である、パームオイル認証とはアブラヤシ農園から生産される環境の認証になっております。なぜ、パーム油を認証しなければならないのか。それは、パーム油が生産されるところは、生物多様性の宝庫、熱帯雨林であることであるということに起因しています。生産地は、マレーシア、インドネシアの2国で世界全体の85%を占めています。この地域が、アブラヤシ農園の拡大により森林が減少していることが、近年、二酸化炭素排出量増加に大きく影響しているとして問題とされてきています。また、それ以外にも、環境の破壊、労働問題、地域紛争などもクローズアップされてきており、それらの問題解決策として、認証ということがなされるようになりました。認証することの意義は森林認証と同じです。エネルギー利用として使われる場合は、日本のFIT法ではパームを使ったバイオマス発電の認定に、この認証が必須となってきています。
特に、世界的に信頼性の高いといわれているのがRSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil:持続可能なパーム油のための円卓会議)というNGOの認証です。
RSPOでは以下の認証を与えております。

1)生産段階での認証(P&C認証)
生産現場での基本的な認証単位は、搾油工場(Mill)とそこにパーム油果房を供給する全ての直営農園、契約農園、独立農園が含まれます。審査はRSPO認定の認証機関が「8つの原則と43の基準」を中心に最低3人の審査員によって、2回にわたり実施されます。最初の審査では基準とのギャップが特定され、2回目にそれらの改善状況を中心にチェックされます。

2)サプライチェーン認証(SCCS認証)
SCCS(Supply Chain Certificate System)認証とは、認証パーム油を使用して作られた製品を取り扱う製造・加工・流通過程でSCCS認証の要求事項を満たしているかを認証する制度です。認証パーム油を海外から仕入れる商社、油を加工する企業、商品を製造するメーカーなど、最終製品が出来上がるまでの各工程でSCCS認証製品の所有権を持つ組織は認証取得の対象となります。
引用 認証パーム油を使うには? RSPOへの手引き[WWFジャパン]

RSPO 4つのサプライチェーンモデル

RSPO 4つのサプライチェーンモデル
出典 WWF Parm Oil JPN2017

~~4つのサプライチェーン認証(SC認証)チェーンモデル~~

IP
認証された単独の農園から最終製品製造者に至るまで完全に他のパーム油と隔離され、受け渡される認証モデルです。認証油生産農園を特定できる。
SG
複数の認証農園から得られた認証油からなり、非認証油とは混ぜ合わされること無く、認証油が最終製品製造者まで受け渡される認証モデルです。生産農場をひとつに特定できませんが、認証農園から生産された原料のみであることが保証されます。
MB
流通過程で、認証油と非認証油が混合される認証モデルです。物理的には非認証油も含んではいますが、購入した認証油の数量は保証されています。
B&C
認証油のクレジットが生産者と最終製品製造者などとの間でオンライン取引されるモデルです。これにより、認証油のサプライチェーンが未整備で調達困難な場合でも、認証生産者を直接的に支援することが可能になります。

~~~~~~~~~

RSPOは、経済的にも、社会的にも、環境にも持続可能なパーム油が基準となるようマーケットを変革することを目的とした非営利かつボランタリーな組織で、エネルギー利用に関してのみならず、パーム油を原料とする、食品、化粧品等広くその製品に至るまでの認証に係わっております。其の規模は、2018年末時点で、世界のパームオイルRSPO認定量 13.47百万トン(世界のパーム油の19%)、3.74百万haの認証、小規模農家コミットメント338,982haとなっております。
参考 私たちに関しては[RSPO]

環境保護団体から、森林や泥炭地の保全に対しての制度的脆弱性への追求、生産国や業界団体からの認証取得のハードルの高さなどの指摘を受け、2018年11月に5年ぶりの基準改訂しました。主な変更点は原則(Principle)の再編、高炭素蓄積森林の開発規制、泥炭開発の禁止、小規模農家のための基準策定となっております。

~~~RSPO原則~~~

  • 原則1:倫理的かつ透明性であれ
  • 原則2:法令を遵守し、権利を尊重する。
  • 原則3:生産性、効率性、ポジティブに行動すること、および回復に尽くす。
  • 原則4:コミュニティと人権を尊重し、利益をもたらす。
  • 原則5:小自作農の参加を支援する。
  • 原則6:未来に開かれた労働者の権利とおかれている立場を尊重する。
  • 原則7:生態系を保護し、保全し、そして強化する。

参考 RSPO Principles & Criteria for the Production of Sustainable Palm Oil (2018)-English.pdfを翻訳

高炭素蓄積(HCS:High Carbon Stock)森林の開発規制(原則7,12)
以前の基準原則である高い保護価値(HCV:High Conservation Value)を擁する森林の保護、保全に加え、高炭素貯蔵(HCS:High Carbon Stock)地域の特定、保護、保全が基準・指標に入った。このHCSとはHCSアプローチとして認識されており、保護価値の高い(HCV:High Conservation Value)森林の保護や、地域住民からのFPIC(Free Prior Informed Consent)、泥炭地の保護、水辺ゾーン、地域住民や先住民族にとって文化的・経済的に重要な地域の特定と保全を含んでおります。
泥炭開発の禁止(原則7.7)
泥炭地への新規植栽は深さに関係なく、行わない。泥炭に植えられた農園についてはRSPOの管理マニュアルに従う。
小規模農家の為の参加を支援する(原則5)
小規模農家の認証取得に向けての支援プログラムの策定、資金支援を行う。

新基準は1年間の猶予期間を経て2019年11月15日に批准となる。

「2018年度になり、RSPOの制度を取り入れた、生産国としての立場からの認証制度である、ISPO(Indonesian Sustainable Palm Oil:インドネシア持続可能なパーム油)とMSPO(Malaysia Sustainable Palm Oil:マレーシア持続可能なパーム油)を同等のものとして認めてほしい、という業界団体の要望が出された。」バイオエネルギー持続可能性の確保はこれからが本番[自然エネルギー財団]とした記事にあるように、RSPOの認証油の調達が難しくなってきている打開策にISPO,MSPOの認証油の流通に期待が高まっています。RSPOとの違いは以下のようになっております。

日本における主なパーム油認証制度
RSPO ISPO MSPO
正式名称 Roundtable on Sustainable Palm Oil Indonesian Sustainable Palm Oil Malaysia Sustainable Palm Oil
制度保有者 RSPO インドネシア政府 マレーシアパーム局
制度対象者 RSPO会員 生産者すべて 生産者すべて
認証プロセス ・第三者認証、独立監査
・独立最終認定(Accreditation)
・第三者認証、独立監査
・ISPO委員会が認定の最終判断
・異議申し立てプロセスが非公開
・第三者認証、独立監査
・独立最終認定
基準 環境 ・原生林、保全価値の高い森林の規制
・泥炭開発への禁止
・火入れの規制
・農業エリアであれば開発可
(環境アセス必要)
・農業エリアであれば開発可
(環境アセス必要)
・生物多様性が高い土地への配慮
・火入れの規制
社会 ・土地利用権、強制労働の規制
・児童労働に関する規制
・小規模農家のための支援
・児童労働の排除(国内法の遵守) ・児童労働の排除(国内法の遵守)
サプライチェーン認証基準 IP, SG, MB, BC SG, MB SG, MB(2019上半期)に交付予定

ISPO、MSPOについては以下のような認証制度としての信頼性に疑問を抱く記事がある。

既存研究がすでに明らかにしているようにvi 、ISPOやMSPOをRSPOと同等と認めることは難しい(表)。そもそも、第三者認証は、消費者が法律の遵守レベルよりも高い水準の要求を行い、供給者がそれに応えることでプレミアムが発生するという市場原理を活用している。つまり、RSPOなどの民間の認証スキームは、生産国の法律を上回る水準の要求をしている場合が多い。しかし、ISPOとMSPOは、それぞれインドネシアとマレーシア政府が保有する制度であり、基準の多くが国内法の遵守レベルに留まっている。加えて重要なのは、制度運用の透明性である。例えば、厳密な認証を行うため、制度保有者は、認証の最終決定には関与しないのが一般的である。しかし、ISPOでは、認証の最終決定をインドネシア政府が行っており、透明性に難点がある。
vi 代表的なものとして、欧州委員会が委託して実施した研究:DG Environment (2017), Study on the environmental impact of palm oil consumption and on existing sustainability standardsなどがある。
引用 バイオエネルギー持続可能性の確保はこれからが本番[自然エネルギー財団]

RSPOの制度においても、さらに、厳格な制度内容に踏み込んだ「RSPO NEXT」があります。RSPO NEXTは、RSPOの原則と基準の現在の要件とガイダンスを満たし、さらに自主的な方針と行動によってそれらを超えたRSPO会員企業と協働する自発的な取り組みです。構成要素は、森林伐採なし、火災なし、泥炭地への植え付けなし、GHGの削減、人権の尊重および透明性の各カテゴリーに分類され、投資、合弁事業、およびより広い供給基盤を供えた組織の組織内に適用されます。
また、2013年に発足した、パーム油革新グループ(Palm Oil Innovation Group:
POIG)という、「RSPO NEXT」と類似したような、RSPOの原則と基準を土台としながら、POIG憲章で追加的な基準を設ける革新的な取り組みを目指す動きもあります。これらが、今回のRSPO認証制度改定で、どのように係わっていくのか、パーム油認証制度がその地域の環境を保護、保全ということに一本化していくのか、見定めていかなければいけないところと思います。そして、制度設計に、甘いところがあると指摘されている、ISPO、MSPOにおいても、RSPOの基準を基にしているということから、RSPOの動きに影響されることと思われるので、今後の制度のバージョンアップに期待したいところです。特に、認証が、全生産を対象としているところに、いままで制度が浸透していかなかった、パーム油生産の40%を占める小規模農家に持続可能性のある生産活動への変革を促し、認証に係わるコスト的な面と管理的な面での簡素化につながっていくのではないかと思われます。
参考 Roundtable on Sustainable Palm Oil

認証制度からみえてくるものとは

認証が抱えている構図と本当の役割とは何でしょうか、森林認証では、環境や人権問題や制度の透明性に厳格なfscと、地域の実情に合わせた、広く制度を行き渡すことを目指すpescという構図がある。パーム油認証では、RSPOのハードルの高いといわれている制度設計に対して、基準の甘さがあるものの、業界全体の制度の浸透による、環境面や社会的、経済的なものの持続可能性の底上げを目指すISPO、MSPOの取り組みがある。両ケースとも、突き詰めて考えるならば、経済的にも優位に立っている先進国とそうではない地域との対比に置き換えられるように思われる。つまり、論点は先進国では、環境問題、地球温暖化対策に重きがあり、途上国では経済問題、貧困や人権問題として捉えているようなところがある。このような、捕らえ方の差異が制度の構築の仕方、受け入れ方の違いとして現れているのではないかと考えることが出来るのではないでしょうか。おなじような状況は京都議定書やパリ協定締結のときに見られた、先進国と発展途上国の立場の違いによる、ミスマッチが象徴的な出来事として思い出されます。
カーボンフリーの先にあるものは地球温暖化対策であり、更に其の先にあるものは安心して暮らせる環境や、社会の実現あるはずです。まずはこのことは外せない優先順位の最上位に置かなければいけないものであり、其の事を前提として、貧困や人権や経済的格差問題を包括的にすすめていかなければならないことと思われます。加えて、制度が確立できているにもかかわらず、守られていないケースが頻繁に報告されている状況があるようですが、こういう状況であるからこそ、第三者機関としてのngoの果たす役割もクローズアップされてくるべきと思われます。究極的には、「認証なんて必要ない、森林に係わる製品のすべてに対して持続可能性を持つ物だ。」ということになれば、余計なコストも抑えられ、其の分、森林の保護、保全、管理にまわせるのではないかと考えてしまし、木質バイオエネルギー利用も、カーボンフリーであるという事を確信を持って言えることが出来ます。
参考 パーム油持続可能性認証にみる「環境と開発」 南北問題の再燃:途上国の挑戦[ジェトロ・アジア経済研究所]

水素エネルギーの活用、推進

水素をエネルギーとして利用すれば二酸化炭素を排出しないものになります。活用としてはエンジンの燃料として燃焼させる方法と燃料電池として電気を供給する方法などがあります。燃料電池のほうがエネルギー変換ロスが少なく、効率的とされています。2014年に日本が世界に先駆けて市販した燃料電池自動車(FCV)は水素と空気中の酸素によって発電し、モーターで駆動する自動車です。家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」は、都市ガスやプロパンガスから取り出した水素と空気中の酸素で発電し、その際に発生する熱でお湯もつくりだしています。二次電池として広く使われているニッケル水素電池は、水(H2O)から分離した水素(H)がニッケル中の金属に吸蔵されることで充電し、その逆反応で放電しています。そのほか、ロケットの燃料には液化水素が使用されています。
参考 5分でわかる水素エネルギー 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構[NEDO]水素エネルギーナビ

水素はさまざまな資源からつくることができるというのも特徴のひとつです。水はもちろん、メタノールや廃プラスチック、石油や天然ガスなどの化石燃料からもつくることができます。この水素を製造する段階で二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーを使うことによって、原材料供給段階から活用段階までカーボンネガティブを極力抑えたものになるようです。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がオーストラリアで推しめている「褐炭水素プロジェクト」では、利用価値が低いが安価な褐炭から水素を取り出し、排出された二酸化炭素を地中に貯留するCCSという技術を使って、水素の「製造、貯蔵・輸送、利用」まで一貫したサプライチェーンを考えたカーボンフリーなものもあります。日本においては、経済産業省がこの水素エネルギーを活用した取り組みを二酸化炭素排出削減の切り札として2030年頃までに大規模場グローバルサプライチェーンを構築し、水素製造段階においてもCCS技術等と組み合わせることにより、トータルとして二酸化炭素削減を進め、2050年には二酸化炭素排出80%減を目指しているとしています。その先駆けとして現在新しいエネルギー社会のモデルを創り出す拠点として、原発の被災地である福島県浪江町で未来の水素社会実現に向けたモデルとして「福島水素エネルギー研究フィールド」(2017年8月からスタート)を立ち上げ、推し進めているところのようです。また、再生エネルギーの中でも、太陽光発電、風力発電は気象条件により発電量が大きく左右されるものであり、時には系統(送電システム)に流せず、捨てられている現状であることの打開策として、水素製造に利用するということも考えられているようです。これらの有効活用も今後大いに期待できる材料になるかと思います。
参考 記事一覧 石炭が水素を生む!?「褐炭水素プロジェクト」2018-07-26[経済産業省 資源エネルギー庁]
参考 福島生まれの水素をオリンピックで活用!浪江町の「再エネ由来水素プロジェクト」2018-08-16[経済産業省 資源エネルギー庁]
参考 カーボンフリーな水素社会の構築を目指す「水素基本戦略」[経済産業省 資源エネルギー庁]

カーボンフリーを推し進める法律・制度

地球温暖化対策推進法~温室効果ガス排出削減を事業者にうながす

通称:温対法

制度の概要

温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度により、特定排出者は、毎年度、「温室効果ガス算定排出量(実排出量)」に加え、「国内認証排出削減量(国内での排出削減にかかわるクレジット)」や「海外認証排出削減量(JCMクレジット)」などを反映した「調整後温室効果ガス排出量」を事業所管大臣に報告することが義務付けられている。
続いて、事業所管大臣は、特定事業者から報告されたデータを環境大臣および経済産業大臣に通知します(温対法21条の4)。2大臣は、事業所管大臣から通知されたデータを電子ファイルに記録するとともに、排出量の集計結果を集計し、公表します(温対法21条の5)。公表は、企業単位、業種単位、都道府県単位で温室効果ガスごとになされます。
これによって、排出量が公表され、国民が閲覧できることとなります。また、誰でも、事業所ごとの排出量の開示請求を行うことができるとされています(温対法21条の6)。
但し、達成しなければならない義務や国からの強制力がないが、温暖化排出量の報告をせず、又は虚偽の報告をした場合には、20万円以下の過料の罰則があります。

特定排出者とは

次に当てはまる所が対象になります。

特定事業所排出者
エネルギー起源二酸化炭素(燃料の使用、他者から供給された電気の使用、他者から供給された熱の使用)の場合には、すべての事業所のエネルギー使用量合計が年間1500キロリットル以上となる事業者や、 省エネ法対象特定事業者とされています。
特定輸送排出者
省エネ法における特定貨物輸送事業者、特定旅客輸送事業者、特定航空輸送事業者、特定荷主(認定管理統括荷主又は管理関係荷主であって、貨物輸送事業者に輸送させる貨物輸送量が3,000万トンキロ/年以上または輸送能力の合計が300両以上の貨客輸送事業者)
特定事業所排出者(二酸化炭素ではない温室効果ガスの場合)
温室効果ガスの種類ごとに全ての事業所の排出量合計がCO2換算で3,000t以上、または事業者全体で常時使用する従業員の数が21人以上の事業者
温室効果ガス排出量の算定について

参考 温室効果ガス総排出量 算定方法ガイドラインVer.1.0 guideline.pdf

温室効果ガスの排出とは、「人の活動に伴って発生する温室効果ガスを大気中に排出し、放出し若しくは漏出させ、又は他人から供給された電気若しくは熱(燃料又は電気を熱源とするものに限る。)を使用すること」をいいます(地球温暖化対策推進法第2 条第4 項)。他人から供給された電気は、燃料とは異なり、使用場所において温室効果ガスが発生するわけではありませんが、電気を供給するために発電している火力発電所における燃料の使用により排出される二酸化炭素のうち、使用した電気に対応する量を算定するようになっております。
二酸化炭素を1として温室効果ガスごとに地球温暖化係数が決められており、温室効果ガスの排出量とは温室効果ガスの物質ごとにその排出量に地球温暖化係数を乗じ、二酸化炭素換算して算出された排出量ということになります。
算定に必要な基本的データは

  • 活動区分表
  • 対象事業者の活動区分ごとのデータ
  • 活動区分に対応した排出係数一覧表
  • 電気事業者ごとの排出係数
  • 地球温暖化係数(GWP)
  • 対象事業者の国内外クレジット

以下、温室効果ガス排出量算定に必要なデータとその説明になります。

活動区分表

引用 指標算定の対象となる排出活動の一覧

  • エネルギー起源CO2
  • 燃料の使用
  • 他者から供給された電気の使用
  • 他者から供給された熱の使用
  • 非エネルギー起源CO2
  • 原油又は天然ガスの試掘・生産
  • セメントの製造
  • 生石灰の製造
  • ソーダ石灰ガラス又は鉄鋼の製造
  • ソーダ灰の製造
  • ソーダ灰の使用
  • アンモニアの製造
  • シリコンカーバイドの製造
  • カルシウムカーバイドの製造
  • エチレンの製造
  • カルシウムカーバイドを原料としたアセチレンの使用
  • 電気炉を使用した粗鋼の製造
  • ドライアイスの使用
  • 噴霧器の使用
  • 廃棄物の焼却もしくは製品の製造の用途への使用・廃棄物燃料の使用
  • メタン(CH4)
  • 燃料を燃焼の用に供する施設・機器における燃料の使用
  • 電気炉における電気の使用
  • 石炭の採掘
  • 原油又は天然ガスの試掘・生産
  • 原油の精製
  • 都市ガスの製造
  • カーボンブラック等化学製品の製造
  • 家畜の飼養
  • 家畜の排せつ物の管理
  • 稲作
  • 農業廃棄物の焼却
  • 廃棄物の埋立処分
  • 工場廃水の処理
  • 下水、し尿等の処理
  • 廃棄物の焼却もしくは製品の製造の用途への使用・廃棄物燃料の使用
  • 一酸化二窒素(N2O)
  • 燃料を燃焼の用に供する施設・機器における燃料の使用
  • 原油又は天然ガスの試堀・生産
  • アジピン酸等化学製品の製造
  • 麻酔剤の使用
  • 家畜の排せつ物の管理
  • 耕地における肥料の使用
  • 耕地における農作物の残さの肥料としての使用
  • 農業廃棄物の焼却
  • 工場廃水の処理
  • 下水、し尿等の処理
  • 廃棄物の焼却もしくは製品の製造の用途への使用・廃棄物燃料の使用
  • ハイドロフルオロカーボン類(HFC)
  • クロロジフルオロメタン(HCFC-22) の製造
  • ハイドロフルオロカーボン(HFC)の製造
  • 家庭用電気冷蔵庫等HFC封入製品の製造におけるHFCの封入
  • 業務用冷凍空気調和機器の使用開始におけるHFCの封入
  • 業務用冷凍空気調和機器の整備におけるHFCの回収及び封入
  • 家庭用電気冷蔵庫等HFC封入製品の廃棄におけるHFCの回収
  • プラスチック製造における発泡剤としてのHFCの使用
  • 噴霧器及び消火剤の製造におけるHFCの封入
  • 噴霧器の使用
  • 半導体素子等の加工工程でのドライエッチング等におけるHFCの使用
  • 溶剤等の用途へのHFCの使用
  • パーフルオロカーボン類(PFC)
  • アルミニウムの製造
  • PFCの製造
  • 半導体素子等の加工工程でのドライエッチング等におけるPFCの使用
  • 溶剤等の用途へのPFCの使用
  • 六ふっ化硫黄(SF6)
  • マグネシウム合金の鋳造
  • SF6の製造
  • 変圧器等電気機械器具の製造及び使用の開始におけるSF6の封入
  • 変圧器等電気機械器具の使用
  • 変圧器等電気機械器具の点検におけるSF6の回収
  • 変圧器等電気機械器具の廃棄におけるSF6の回収
  • 半導体素子等の加工工程でのドライエッチング等におけるSF6の使用
  • 三ふっ化窒素(NF3)
  • 三ふっ化窒素(NF3)の製造
  • 半導体素子等の加工工程でのドライエッチング等におけるNF3の使用
対象事業者の活動区分ごとのデータ

例として、オフィス等電気及び熱利用が中心の事業者として、以下の小売店舗省エネルギー法における第二種エネルギー指定管理工場等に該当)を有する事業者(省エネルギー法における特定事業者に該当)を想定します。
なお、当該事業者の事業所はこの店舗のみであると想定します。

オフィス等電気及び熱利用中心の事業者(小売業)
延床面積 48,516㎡(大規模小売店舗に該当)
エネルギー起源CO2 他者から供給された電気の使用(東京電力エナジーパートナー(株)) 11,637,371 kWh
燃料の使用(A重油) 1,078 kl
排出削減クレジット J-クレジット(国内認証) 100t-CO2(無効化)
国内クレジット(国内認証) -70t-CO2(移転)
活動区分に対応した排出係数一覧表

参照 算定方法及び排出係数一覧表

電気事業者ごとの排出係数

参考平成29年度の電気事業者ごとの基礎排出係数・調整後排出係数等の公表について

電気事業者別排出係数(平成29年実績を一部表示)
電気事業者名 基礎排出係数(t-CO2/kWh) 調整後排出係数(t-CO2/kWh)
小売電気事業者
北海道電力(株) 0.000666 0.000678
東北電力(株) 0.000521 0.000523
東京電力エナジーパートナー(株) 0.000475 0.000474
中部電力(株) 0.000476 0.000472
北陸電力(株) 0.000593 0.000574
関西電力(株) 0.000435 0.000418
中国電力(株) 0.000669 0.000677
四国電力(株) 0.000514 0.000535
九州電力(株) 0.000438 0.000463
沖縄電力(株) 0.000786 0.000772
(株)G-Power 0.000000 0.000000
一般送配電事業者~~離島供給を受けている場合に使用
北海道電力(株) 0.000496 0.000496
東北電力(株)
東京電力パワーグリッド(株)
中部電力(株)
北陸電力(株)
関西電力(株)
中国電力(株)
四国電力(株)
九州電力(株)
沖縄電力(株) 0.000759 0.000744
地球温暖化係数(GWP)
地球温暖化係数
温暖化ガス(別名) 地球温暖化係数
二酸化炭素 1
メタン 25
一酸化二窒素 298
ハイドロフルオロカーボン類 12~14800*
パーフルオロカーボン類 7390~17340*
六フッ化硫黄 22800
*は詳細を省略
対象事業者の国内外認証クレジット(無効化、移転共に)
  • 国内クレジット
  • オフセット・クレジット(J-VER)
  • グリーンエネルギーCO2削減相当量
  • J-クレジット
  • JCMクレジット

*クレジット無効化とは、保有クレジットを温暖化効果ガス削減量として評価する事によって無効にする。
*クレジット移転とは、自らが創出した国内認証排出削減量を示すクレジットを他者へ移した。
*クレジット無効化は正の値、移転は負の値となる。

排出量算定の流れ
  1. 温室効果ガスごとに定めた当該温室効果ガスを排出する活動[活動区分表]のうち、事業者の排出活動の抽出[対象事業者の活動区分ごとのデータ]

    [例]

    • エネルギー起源CO2:他者から供給された電気の使用(東京電力エナジーパートナー(株))
    • エネルギー起源CO2:燃料の使用(A重油)
  2. 活動ごとの排出量の算定[活動区分に対応した排出係数一覧表]
    温室効果ガス排出量 = 活動量× 排出係数
    *排出係数:活動区分に対応した排出係数一覧表を参照

    [例]

    • エネルギー起源CO2:他者から供給された電気の使用(東京電力エナジーパートナー(株))
      活動量=11,637,371 kWh
      東京電力エナジーパートナー(株)基礎排出係数=0.000486 tCO2/kWh
      東京電力エナジーパートナー(株)当該年度の前年度の調整後排出係数=0.000474 tCO2/kWh
      温室効果ガス算定排出量 = 11,637,371 × 0.000486 = 5,655.76231 tCO2
      調整後温室効果ガス排出量 = 11,637,371 × 0.000474 = 5,516.11385 tCO2
    • エネルギー起源CO2:燃料の使用(A重油)
      エネルギー起源CO2排出量=(燃料種類ごと)活動量×単位発熱量×(燃料種類ごと)排出係数×44/12
      活動量 = 1,078 kl
      A重油単位発熱量 = 39.1GJ/kl
      A重油排出係数 = 0.0189tC/GJ
      温室効果ガス算定排出量 = 1,078 × 39.1 × 0.0189 × 44/12 = 2,920.98114tCO2
  3. 温室効果ガスごとに、活動ごとに算定した排出量を合算します。

    [例]

    • エネルギー起源CO2排出量(温室効果ガス算定排出量) = 5,655.76231 + 2,920.98114 = 8,576.74345tCO2
    • エネルギー起源CO2排出量(調整後温室効果ガス排出量) = 5,516.11385 + 2,920.98114 = 8,437.09499tCO2
  4. 温室効果ガス算定排出量の算定[地球温暖化係数]
    • 温室効果ガスごとの排出量をCO2の単位に換算します。
      各温室効果ガス排出量(tCO2) =各温室効果ガス排出量(tガス)× 各温室効果ガスの地球温暖化係数(GWP)
    • 温室効果ガス算定排出量=各温室効果ガス算定排出量をすべて合算した値
      [例]
      地球温暖化係数 二酸化炭素 = 1 であり合算算出単位がtCO2なので上記のデータは変わらず。
      温室効果ガス算定排出量=8,576.74345(小数点以下切捨て)->8,576 tCO2
  5. 調整後温室効果ガス排出量の算定
    調整後温室効果ガス排出量(tCO2)=他者から供給された電気の使用の調整後温室効果ガス排出量+エネルギー起源CO2(燃料・熱由来)の基礎排出量+非エネルギー起源CO2の基礎排出量(※廃棄物原燃料使用に伴う非エネルギー起源CO2の排出量を控除)+CO2以外の温室効果ガスの基礎排出量-無効化した国内認証排出削減量-無効化した海外認証排出削減量+自らが創出した国内認証排出削減量のうち他者へ移転した量

    [例]
    調整後温室効果ガス排出量(tCO2)=
    他者から供給された電気の使用の調整後温室効果ガス排出量:5,516.11385 tCO2
    +エネルギー起源CO2(燃料・熱由来)の基礎排出量:2,920.98114 tCO2
    +非エネルギー起源CO2の基礎排出量:0 tCO2
    +CO2以外の温室効果ガスの基礎排出量:0 tCO2
    -無効化した国内認証排出削減量:100 tCO2
    -無効化した海外認証排出削減量:0
    +自らが創出した国内認証排出削減量のうち他者へ移転した量:70 tCO28407.09499(小数点以下切捨て)->8407 tCO2
  6. 報告書作成
    温室効果ガス排出量の報告は省エネ法にも義務付けられています。どれを作成するのかは、以下のようになっております。(A)エネルギー起源CO2の排出量のみを報告する場合省エネルギー法の定期報告書を使用して報告してください。温対法の報告様式第1の提出は不要です。(B)エネルギー起源CO2以外の温室効果ガスの排出量のみを報告する場合温対法の報告様式第1を使用して報告してください。(C)エネルギー起源CO2とそれ以外の温室効果ガスの両方の排出量を報告する場合省エネルギー法の定期報告書に、温対法の報告様式第1を添付して報告(エネルギー起源CO2の排出量に係る情報及び調整後温室効果ガスの排出量に係る情報を省エネルギー法の定期報告書に記載し、エネルギー起源CO2以外の温室効果ガス排出量に係る情報を温対法の報告様式第1に記載)してください。なお、この場合、調整後温室効果ガス排出量については省エネルギー法の定期報告書に記載することとします。

    [例]
    上記の(A)に該当するので、省エネ法の定期報告書にのみ、記入し、提出することになります。

尚、報告書作成情報の詳細は 参考 温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度を参照してください。

省エネ法~エネルギーの効率的な利用を促進する

正式名称:エネルギーの使用の合理化等に関する法律

目的

国内外におけるエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用の確保に資するため、①エネルギーの使用の合理化に関する措置、②電気の需要の平準化に関する措置、③その他エネルギーの使用の合理化等を総合的に進めるために必要な措置等を講じ、国民経済の健全な発展に寄与することです。

規制対象

規制対象となる「エネルギー」は、燃料(原油・ガソリン・重油などの石油製品、可燃性天然ガス、石炭・コークスなどの石炭製品など)、熱(燃料を熱源とする熱で、蒸気・温水・冷水など。太陽熱や地熱などは含まない)、電気(燃料を起源とする電気。太陽光発電、風力発電などは含まない)です(省エネ法2条1項・2項)。

エネルギーの使用の合理化を図るべき事業分野

工場や事業場、輸送、住宅・建築物、機械器具等(エネルギー消費機器等、電気を消費する機械器具、熱損失防止建築材料)の4つに区分されています。
エネルギー消費機器等(エネルギーを消費する機械器具や、エネルギー消費機器の使用で消費されるエネルギーの量に影響をおよぼす部品など)の製造または輸入を行う事業者は、エネルギー消費機器等について、使用に際して消費されるエネルギーの量に関する性能を示したエネルギー消費性能の向上を図ることによって、エネルギーの効率向上に努めなければならないとされています(省エネ法77条)。

施策
トップランナー制度~省エネの目標設定

トップランナー制度とは、対象となる特定機器について、現在商品化されている製品のうち、エネルギー消費効率が最も優れているもの(トップランナー)の性能に加え、技術開発の将来の見通し等を勘案して目標となる省エネ基準(トップランナー基準)を定める制度です。その特定機器について3~10年程度先の目標年度における省エネ達成基準を決め、それを事業者に求めるという流れになっています。これによって、対象機器のエネルギー消費効率の改善の推進を行うこととなります。
トップランナー方式の対象となる特定機器は、1.乗用自動車、2.エアコン、3.蛍光ランプのみを主光源とする照明器具、4.テレビ、5.複写機、6.電子計算機、7.磁気ディスク装置、8.貨物自動車、9.ビデオテープレコーダー、10.電気冷蔵庫、11.電気冷凍庫、12.ストーブ、13.ガス調理機器、14.ガス温水機器、15.石油温水機器、16.電気便座、17.自動販売機、18.変圧器、19.ジャー炊飯器、20.電子レンジ、21.DVDレコーダー、22.ルーティング機器、23.スイッチング機器、24.複合機、25.プリンター、26.電気温水機器(ヒートポンプ給湯器)、27.交流電動機(三相誘導電動機)、28.LEDランプ、
加えて、建築物の外壁や窓を通して熱を失うことを防止するために用いる建築材料(熱損失防止建築材料)です(省エネ法81条の3)。
現在、エネルギー消費機器等と熱損失防止建築材料の合計32品目がトップランナー制度の対象となっています。基準に照らして、エネルギー消費性能等の向上や、熱の損失の防止のための性能の向上を相当程度行う必要がある場合には、経済産業大臣は事業者に対して、勧告、公表、命令を行うことができます(省エネ法79条、81条の5)。

ベンチマーク制度~製品等の省エネ度ランクづけ

業種・分野ごとにエネルギー消費原単位の目標(ベンチマーク指標)を設定し、省エネの取り組みに関する自社のポジションを確認してもらい、更なる省エネ取り組みを促すことを目的に導入されました。ベンチマーク指標は、各業種・分野において一定規模以上のエネルギーを使用している事業者のエネルギー消費原単位を分析し、上位1~2割の水準に設定されます。省エネの取り組みを進めてきたがゆえに「エネルギー消費原単位」を年平均1%以上低減することが難しくなった事業者についても、この指標によって適正な評価が可能となります。

電気の需要の平準化~効率的に電気を使う

「電気の需要の平準化」とは、「電気の需要量の季節又は時間帯による変動を縮小させること」です。(法第2条第3項)特に需要のピークとなる夏期・冬期の昼間の電気需要を低減することが課題とされています。

①電気の使用から燃料又は 熱の使用への転換 (チェンジ)
自家発電設備の活用[コージェネレーション] 、空気調和設備等の熱源変更[ヒートポンプ]
但し、ヒートポンプの冷媒に強力な温室効果ガスである、「 HFC(ハイドロフロオロカーボン)」が使われている場合があるので、二酸化炭素は排出しないが、地球温暖化をそくしんしてしまっている。参考 ヒートポンプをめぐる諸課題と最近の動向について [気候ネットワーク]pr20100819-2.pdf
②電気を消費する機械器具を使用する時間の変更 (シフト)
電気を消費する機械器具の稼働時間の変更、蓄電池及び 蓄熱システムの活用
③その他事業者が取り組むべき措置 (カット等)
エネルギーの使用の合理化、電気使用量の計測管理に関する措置 、電気需要平準化に資するサービスの活用
コージェネレーション・システムの推進
コジェネレーションのしくみ

コジェネレーションのしくみ
出典 コージェネの基本形態[コージェネ財団]

コージェネレーションとは、ガスタービン、ガスエンジン、ディーゼルエンジンや燃料電池を用いて、発電を行うとともに、その排熱を利用して蒸気を発生させる技術である。熱と電力を同時に得ることから、日本語では「熱電併給」とも呼ばれる。

蒸気の使用先がコージェネレーション・システムの近傍であることが望ましいため、地域冷暖房や工業団地等で用いられることが多い。

コージェネレーションの全電源に占める割合は、例えばデンマークでは50%以上、そしてオランダ・フィンランドで20%以上というデータもある。日本ではこんなには普及していない。冷涼な気候である北欧では、冬季の暖房用として廃熱利用が積極的に使われてきたという経緯があるからであると思われる。

日本では、主要な発電方式である火力発電において、排熱を冷暖房や給湯用に利用するコージェネレーションよりも、排熱で水から水蒸気をつくり、蒸気タービンを回して発電を行う「コンバインドサイクル発電」が適用される傾向にある。

このコージェネレーションに使われる燃料は主に天然ガスを使う場合が多いのですが、これを再生可能エネルギーに置き換えればさらに二酸化炭素排出削減につながることと思います。

参考 再生可能エネルギー活用[コージェネ財団]

バイオマス発電におけるコージェネレーション

バイオマス発電におけるコージェネレーション
出典 再生可能エネルギー活用(太陽・バイオ)[コージェネ財団]

以下、其のメリットについては以下のようなことが言われております。

  • 発電効率と廃熱を有効利用することで省エネルギー効果(1次エネルギー換算)、CO2削減効果、経済性向上といったメリットが得られる。発電効率45~20%、熱効率30~60% 総合~80%となる。
  • 電力需要のピーク時に稼働させることによって、商用系統の電力負荷平準化にも貢献できる。
  • コージェネレーションと商用電力が連系することにより電源の二重化、安定化を図ることができる。特に、停電対応(BOS:ブラックアウトスタート)仕様機を採用することにより、商用系統の停電時における重要負荷への電力供給が確保できる。
  • 建築設備用途として採用する場合、発電機のイニシャルコスト、各種法規を満足するための調整、排気を熱交換するための熱交換設備の導入の課題をクリアしなければならない。

参考 コージェネの特長[コージェネ財団]

対象となる事業者が行わなければならないこと
  1. 事業者全体でのエネルギー使用量の把握
    温対法の温室効果ガス算定、報告と兼用できる。
  2. エネルギー使用状況届出書の提出
  3. 国から特定事業者又は特定連鎖化事業者の指定をうける
  4. エネルギー管理統括者等の選任
  5. 事業者単位でのエネルギー管理の実施
    上記のような施策の実行
  6. 中長期計画書・定期報告書の提出

詳細は省エネルギーセンターにて確認する必要があります。


参考 環境法令ガイド[国立環境研究所]
参考 省エネ大国・ニッポン ~省エネ政策はなぜ始まった?そして、今求められている取り組みとは?「資源エネルギー庁」
参考 改正省エネ法の概要2010[省エネルギーセンター]

高度化法~エネルギー消費をカーボンポジティブに

正式名称:エネルギー供給構造高度化法

目的

エネルギー供給構造高度化法は電気やガス、石油事業者といったエネルギー供給事業者に対して、太陽光、風力等の再生可能エネルギー源、原子力等の非化石エネルギー源の利用や化石エネルギー原料の有効な利用を促進するために必要な措置を講じる法律です。
具体的には、経済産業大臣が基本的な方針を策定するとともに、エネルギー供給事業者が取り組むべき事項について、ガイドラインとなる判断基準を定めます。これらの下で、事業者の計画的な取組を促し、その取組状況が判断基準に照らして不十分な場合には、経済産業大臣が勧告や命令をできることとするものです。

対象範囲
高度化法対象範囲

エネルギー供給構造高度化法の対象範囲
出典 資源エネルギー庁 総合政策課編 overview001.pdf 図6を加筆しました。

原子力、太陽光及び風力等の非化石電源の利用、バイオマスの利用及び石油製品や都市ガスの製造工程におけるロスの減尐等の取組を通じて、電気事業者、ガス事業者及び石油事業者等といったエネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用を促進することで、エネルギーの安定的かつ適切な供給の確保を図ることを目的としている。
このうち、非化石エネルギー源の利用を促進することに関しては、以下のような告示がされている。

平成28年度介在産業省告示第112号/平成29年度経済産業省告示第130号において、「電気事業者は自ら供給する電気の非化石電源比率を2030年度に44%以上にすることを目標にする。」としている。

固定価格買取制度~再生可能エネルギー買取の価格保障

別名:FIT法
詳細については太陽光発電設置を適切に進めるFIT法と電力システムの改革[未来につながるエネルギー]に書かれてあります。固定価格買取制度は電力における再生可能エネルギーの拡大を目的に作られ、2012年より始まり、2017年に電力の自由化に合わせて大幅に改正されました。各年度ごとに価格が改定されてきているので、2019年時点では固定価格買取制度[資源エネルギー庁]に価格詳細が掲載されております。尚、住宅用太陽光発電設備は、2019年11月以降順次、10年間の買取期間を終えることとなっております。

下図は卸売り電力市場を通したfit法における電力と環境価値のながれを示してあります。

電力と環境価値の流れ

卸売り電力市場をとおしたFIT法における電力と環境価値の流れ

賦課金は非化石証書取引を挟むことにより、減額されることを示しております。

環境価値を流通させ、再生可能エネルギーの拡大を募る証書・クレジット制度

一定規模以上の企業や自治体が法律(温対法、省エネ法)などにより温室効果ガスの削減が義務づけられています。其の目的の達成のために自ら、再生可能エネルギーを作り出し、利用することも考えられますが、多額のコストをかけずに考えられたのが、環境価値を証書・クレジットという形に変え、それを購入することによって実現させるやり方です。
たとえば、鉛筆というのは紙に文字を書くときに必要なものです。この「必要なもの」を人はお金を出して手に入れることになります。其のとき支払った代金がこのものの価値の尺度であり、お金が必要なものという価値を形にしたものととらえることができます。同じように、「二酸化炭素量削減につながるもの」の価値は証券・クレジットという形にし、其の大きさを価格という尺度を使って、容易く流通できるようにしたものとして作り上げたものです。
日本国内で流通しているものには以下のようなものがあります。

国内で流通する証書・クレジット
クレジット名 グリーン電力証書 グリーン熱証書 J-クレジット(再エネ由来) 非化石証書(再エネ指定)
発行者 グリーン電力証書発行業者(日本自然エネルギー株式会社) グリーン熱証書発行業者(日本自然エネルギー株式会社) (運営は経済産業省・環境省・農林水産省の郷土) 低炭素投資促進機構(国指定の費用負担調整機関)
対象エネルギー 太陽光、風力、水力、地熱、バイオエネルギー 雪氷熱、太陽熱、バイオマス 、風力、水力、地熱、バイオエネルギー 太陽光、風力、水力、地熱、バイオエネルギー(2018年末時点では、種別は証書に記載されない)
購入対象者 企業、自治体等 企業自治体等 企業自治体等 小売電気事業者
購入方法 発行業者から購入 発行業者から購入 事務局が実施する入札またはクレジット保有者または仲介事業者から購入 非化石価値取引市場で入札して購入
発行量(2017年度) 3億7800万kWh 535百万MJ 約11億kWh 531億kWh(4~12月発電分)
価格 発行業者によって異なる。多量に購入する場合で3~4円/kWh(2017年度) 発行業者によって異なる。多量に購入する場合で3~4円/kWh(2017年度) 入札状況によって変動、2018年4月に実施した入札では平均で約0.9円/kWh(co2排出量から換算) 入札状況によって変動、最低価格は1.3円/kWh、最高価格は4円/kWh(2017年4月~2018年12月発電分)
償却期間 なし(いつでも償却可能) なし(いつでも償却可能) なし(いつでも償却可能) 発電した年(1~12月)と同じ年度に限る

グリーン電力証書~市場を介さない環境価値

自然エネルギーにより発電された電気の環境付加価値を、証書発行事業者が第三者認証機関(一般財団法人日本品質保証機構)の認証を得て、証書という形で取引する仕組みです。「グリーン電力証書」を購入する企業・自治体などが支払う費用は発電設備の維持・拡大などに利用されます。企業・自治体などは、発電設備を持たなくても、証書に記載された電力量(kWh)相当分の自然エネルギーの普及に貢献し、グリーン電力を利用したとみなされます。

  • ①お客さまは、日本自然エネルギーとグリーン電力証書発行に関する契約をします。
  • ②日本自然エネルギーは、第三者認証機関(一般財団法人日本品質保証機構)の設備認定を得た後、自然エネルギー発電事業者に発電を委託します。
  • ③自然エネルギー発電事業者は、発電の実績を日本自然エネルギーに報告し、日本自然エネルギーは発電事業者より自然エネルギーの環境付加価値を購入します。
  • ④日本自然エネルギーは、発電実績をとりまとめ、第三者認証機関(一般財団法人日本品質保証機構)に、電力量の申請を行い認証を受けます。
  • ⑤日本自然エネルギーは、認証された電力量を契約量に応じてお客さまに配分し、「グリーン電力証書」を発行します。お客さまは「グリーン電力証書」の費用を支払います。
特徴
  • 需要家が直接売買できる
  • 発電された電力は発電者の自家消費に使われるか、送配電買取事業者に売電されます。
  • 発電者は自家消費分を環境価値として売却し、新しい発電設備の導入や維持にこのグリーン電力の販売収益を活用することができる。
  • 契約者にはグリーン電力の利用を示すためのマークが提供されます。このマークは風力・バイオマス・小水力等によるグリーン電力(自然エネルギー)の利用を証するマークとなっております。
  • CDP、RE100、SBT、日経環境経営度調査等の各種報告において、再エネの使用量として報告ができます。また、一定の手続きを経て、地球温暖化対策推進法の調整後温室効果ガスの削減や東京都や埼玉県等の環境条例における再エネクレジットとしても活用いただけます。

参考 グリーン電力証書[日本自然エネルギー株式会社]
参考 WikiPediaグリーン電力証書
参考 自然エネルギーの普及策[自然エネルギー白書 2017]

グリーン熱証書~熱の環境価値普及に期待

グリーン電力証書システムの電力を熱におきかえたものです。主に、バイオマスエネルギー利用のものが証書化されています。

  • ①お客さまは、日本自然エネルギーとグリーン熱証書発行に関する契約をします。
  • ②日本自然エネルギーは、第三者認証機関(一般財団法人日本品質保証機構)の設備認定を得た後、グリーン熱事業者に熱生成を委託します。
  • ③グリーン熱事業者は、熱の生成および利用の実績を日本自然エネルギーに報告し、日本自然エネルギーはグリーン熱事業者より自然エネルギーの環境付加価値を購入します。
  • ④日本自然エネルギーは、熱の生成および利用の実績をとりまとめ、第三者認証機関(一般財団法人日本品質保証機構)に、熱量の申請を行い認証を受けます。
  • ⑤日本自然エネルギーは、認証された熱量を契約量に応じてお客さまに配分し、「グリーン熱証書」を発行します。お客さまは「グリーン熱証書」の費用を支払います。
特徴
  • 生成された熱エネルギーは熱事業者の自家消費に使われるか、地域の事業者等が購入することになります。
  • グリーン熱証書の保有により、記載されている熱量(MJ)相当分を自然エネルギー由来の熱を使用しているとみなすことができ、CO2削減を行っているといえます。
  • ご契約と同時に、グリーン熱の利用を示すためのマークを提供しています。
  • CDP、RE100、SBT、日経環境経営度調査等の各種報告において、再エネの使用量として報告ができます。また、一定の手続きを経て、地球温暖化対策推進法の調整後温室効果ガスの削減や東京都や埼玉県等の環境条例における再エネクレジットとしても活用いただけます。

参考 グリーン熱証書[日本自然エネルギー株式会社]
参考 自然エネルギーの普及策[自然エネルギー白書 2017]

J-クレジット制度~日本国内での温室効果ガスの排出削減活動を国が認証

国が認証するJ-クレジット制度は、「国内クレジット制度」と「J-VER制度」を2013年に統合されたものを制度化したものです。省エネルギー機器の導入や森林経営などの取組による、CO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度となっています。

制度の目的

J-クレジット制度は小企業や自治体などの省エネ、低炭素投資などを促進し、クレジットの活用による国内での資金循環を促していくことを目指しています。

取り扱う二酸化炭素削減事業
省エネルギー分野
省エネルギーボイラーの導入、省電力証明設備の導入等
再生可能エネルギー分野
バイオマス燃料、太陽光発電等
工業プロセス分野
工業プロセスにおける温室効果ガス削減等
農業分野
低タンパク配合飼料の給餌等
森林分野
森林経営活動等
廃棄物分野
食品廃棄物の堆肥化等
クレジット創出者の手続きの流れ
j-credit登録申請

j-creditプロジェクト登録
出典 申請手続の流れ[J-クレジット制度]

j-credit認証

j-creditプロジェクト認証
出典 申請手続の流れ[J-クレジット制度]

  1. 温室効果ガスの排出削減量や吸収量の増加につながる事業(プロジェクト)の計画書を作成
  2. 審査機関によるプロジェクト計画書の妥当性確認
  3. プロジェクト計画登録申請
  4. モニタリングを実施し、其の報告書を作成
  5. 審査機関によるモニタリング報告書の検証
  6. クレジット認証・発行申請
クレジットの売買
j-クレジットの取引方法

j-クレジットの取引方法
出典 j-クレジット売買[J-クレジット制度]

  • オフセットプロバイダー等による売買仲介
  • 購入者との相対取引
  • 入札による売却
クレジット種別による活用方法一覧
クレジット種別による活用方法一覧
再生可能エネルギー(発電)由来クレジット 再生可能エネルギー(熱)由来クレジット 省エネルギー由来クレジット 森林吸収由来クレジット
温対法での報告(排出量・排出係数調整)
省エネ法での報告(共同省エネルギー事業に限る) × × ×※1 ×
カーボン・オフセットでの活用
CDP質問書での報告 ○※1 未定 × ×
RE100での報告 ○※1 × × ×
ASSET事業の目標達成
低炭素社会実行計画の目標達成 △ ※2 △ ※2 △ ※2 ×

※1 報告可能な値はプロジェクトごと、認証回ごとに異なります。
※2 低炭素社会実行計画に参加している事業者が創出したクレジットは対象外です。制度記号が「JCL」のクレジットが使用可能です。
参考 J-クレジットの活用方法[J-クレジット制度]

特徴
  • 中小企業の低炭素の取り組みを促す一方、日本の大企業が海外へクレジット購入を求めた京都クレジットとは異なり、国内での取引で資金循環を促すものです。
  • 設備導入のために国又は地方自治体から補助金を受けている場合でも、プロジェクトの要件を満たしているのであれば、本制度に参加することができます。
  • 追加性を有すること。追加性の有無は、原則、経済的障壁の有無(投資回収年数が3年以上)で評価します。*追加性とは「クレジットによる資金調達がなければ、温室効果ガス削減事業をすすめる事ができない。」ということ。
  • 日本国内で実施していること
  • 本制度にて承認された方法論に基づいていること。*方法論とは「排出削減・吸収に資する技術ごとに、適用範囲、排出削減・吸収量を算定する方法」をいう。

参考 よくあるご質問[J-クレジット制度]

非化石証書~市場をとおして非化石エネルギー電源の環境価値を取引する

非化石エネルギーは、化石エネルギー(石炭、石油、天然ガス等)ではなく、再生可能エネルギー:再エネ(太陽光・風力・水力・地熱・太陽熱・大気中の熱その他の自然界に存する熱・バイオマス)以外に原子力も含めてのものとなっております。非化石証書として取引されるものは、2019年3月時点で「再エネfit」、すなわち固定価格買取制度の下で再生可能エネルギーで発電された電力に対してのみ発行されることになっています。それ以外の非化石エネルギー電源のものは非FIT、卒FITも含めて、経済産業省の専門部会で方向性は示されているものの、正式に施行されてはいない。尚、非化石証書を購入できるのは小売電気事業者だけなので、需要家は小売電気事業者が持つ非化石証書の環境価値を使って構成されたメニューをみて購入することになります。

電力供給の流れと環境価値の流れ
非化石証書取引所の機能(FIT電源)

非化石証書取引所の機能(FIT電源)

化石燃料発電者が卸売り電力市場に入札をした場合
  • ①電力買取業者(送配電業)または発電者が卸売り電力市場に電力を入札する。
  • ②小売電気業者がその電力を落札する。
  • ③小売電気業者が需要家に電力を供給する。(非化石電力も化石燃料電力も混ざっている状態である)
再エネfit発電者が卸売り電力市場に入札した場合
  • ①電力買取業者(送配電業)が卸売り電力市場に電力を入札する。
  • ②其の電力に環境価値をつけ非化石取引市場にて非化石証書として入札する。
  • ③小売電気業者がその電力を落札する。
  • ④非化石証書は任意の小売電気業者が落札し電力にプレミアム料金メニューとして企業や自治体などの需要家に販売する。
  • ⑤プレミアム料金で買い取った需要家はその環境価値を享受する。但し、プレミアム料金でない、通常の料金では環境価値は付かない。
  • ⑥証書売却分は費用負担調整気候において、再エネ買取での交付金の原資に当てられる。
  • ⑦其の原資に当てられた分が賦課金の総額から差し引かれ、需要者おのおのの電力料金に上乗せられている賦課金の減額につながる。(再エネ買取における国民負担の軽減につながる))
取引の流れの特徴
  • 電力の取引、買取の流れと環境価値の流れは別物である。
  • 小売電気事業者に買い取られた電力は非化石(再エネ)電源も化石電源も混じっている状態になっている。
  • 小売電気事業者だけが非化石取引市場での入札に参加できる
  • 小売電気事業者は需要家に証書の価値分の料金を上乗せしてプレミアム電力料金プランとして売り出すことが出来る。
  • プレミアム電力料金として購入した需要家(企業、自治体)はその環境価値を享受できる。
  • 証書購入されない小売電気事業者の料金メニュでは、環境価値は付かない。
  • 証書の売却分は再エネ買取の交付金の原資として使われ、その財源となっている、賦課金が減額される。
非FIT非化石電源発電者の売電と環境価値の流れ

参考 非FIT非化石証書の取引に係る制度設計について2018年12月17日[資源エネルギー庁]027_03_02.pdf

非化石取引所の機能(非卒FIT電源)

非化石取引所の機能(非卒FIT電源)

発電者が小売電気事業者との相対取引として、或いは市場取引として、いずれの場合も売電、環境価値の証書化する為には、第三者認定機関からの認証をうけなければならない。

  • ①託送供給等業務の一環で確認した電力量の通知を一般送配電業者からうける。
  • ②第3者機関では、一般送配電事業者にその電力量データの確認と、発電事業者が保有する発電設備が確かに非FIT非化石電源であることの確認を取り、認定をする。
  • ③A小売電気事業者との相対取引の場合は認定された電力量に応じて小売業者に相当電力と非化石証書が組み込まれる。
  • ③市場取引の場合、認定された電力は卸売り電力取引所で入札され、環境価値は非化石価値取引市場で証書となって入札を受ける。小売電気事業者はその相当電力と証書を落札することになる。
  • ④小売電力事業者は電力にプレミアム料金メニューとして企業や自治体などの需要家に販売する。
  • ⑤プレミアム料金で買い取った需要家はその環境価値を享受する。但し、プレミアム料金でない、通常の料金では環境価値は付かない。
  • ⑥証書売却分は発電事業者に還元される。

参考 非FIT非化石証書の取引に係る制度設計について2018年12月17日[資源エネルギー庁]027_03_02.pdf

小規模卒FIT非化石電源発電者の売電について

2019年11月には、FIT制度に基づく固定価格買取期間が終了した電源(卒FIT電源)が約53万件生じる見込みでである。其の中でも余剰買取をしていた小規模住宅用太陽光発電についてはどのようにしたらいいか、非化石電源の環境価値の取り扱いについて、専門部会で議論されてきている。
住宅用太陽光電源保有者は電事法上の発電事業者としての資格を有さないのでアグリゲートしている小売電気事業者が第3者機関に電力量の確認と環境価値の認証を受け非化石証書として組み込まれることになるようである。其の環境価値は電力量分と共に需要家へ相対取引される。(当面、市場取引は行わない。)
参考 非FIT非化石証書の取引に係る制度設計について2018年12月17日[資源エネルギー庁]027_03_02.pdf

非化石証書が持つ環境価値
非化石価値
高度化法の非化石電源比率算定時に計上できる価値となる。小売電気事業者は、自ら供給する電気の非化石電源比率を2030年度に44%以上にすることが求められている。
ゼロエミ価値
小売電気事業者が調整後排出係数算定時に、調達した非化石証書の電力量に全国平均係数を乗じることでco2排出量を実二酸化炭素排出量からこの値分を減算することが出来る価値です。
環境表示価値
小売電気事業者が需要家に対して付加価値を表示・主張することができる価値です。

参考 非化石価値取引市場について[資源エネルギー庁]007_04_03.pdf

証書・クレジットがカーボンフリーにどう貢献しているか

証書発行者は証書を販売した時点で自らが環境に貢献したと主張する権利が社会的にはなくなるということである。家庭用太陽光発電をしている場合、RPS制度によって電力会社が購入した余剰電力分の環境価値は既に設置者からなくなっており、自家消費分のみが太陽光発電設置者のものとなっていたので、この権利を証書として販売してしまえば、単なる屋根貸しになると言うことである。 WikiPediaグリーン電力証書

証書・クレジットを取得するということはco2を削減という環境価値を得ることであり、「co2を実際に削減している」ということではないのである。これは、温対法における温室効果ガス算定での調整後温室効果ガス排出量として評価されている。事業者は温室効果ガス排出量の報告で、実際に削減した結果を「温室効果ガス算定排出量(実排出量)」として、環境価値を取得した、または放出したものを含めたものとして「調整後温室効果ガス排出量」として算定することになっております。このようなデータは一般に公開されております。証書・クレジットという環境価値を広く流通させることにより、実際に温室ガス削減につなげるというのがその意図するところと思われます。この数値をどのように解釈するかは、需要家や、投資家の判断に委ねるということになるのですが、「自ら温室効果ガスを削減しているには当たらない。」という見方をするのも当然の事と思われる。
証書・クレジットの注目すべき評価ポイントは、その内容にあると思います。つまり、環境価値の中身です。どういうところでどういう発電方法で得られたものかは、売電された電力ではわかりません。電気は系統(送電線網システム)に流された時点で発電方法が何かに係わらず通常、すべて混ざった状態で供給されることになっているからです。どういうものかは再生可能エネルギーから発電されたものとして、付け加えられた環境価値、すなわち証書・クレジットに記載されてあります。需要者はどこでどういう発電方法をした電力かという情報を元に、支持するものを決め、それを購入することにより、間接的に、その発電者に更なる事業拡大を促す効果をもたらすことになって行きます。
但し、最も発行量が多い非化石証書に関してはこのことに疑念を抱く意見が見られます。

非化石証書もCO2などの温室効果ガスを排出しない環境価値は認められているが、環境負荷の低い自然エネルギーであることを証明する手段が欠けている。証書の元になる発電設備に関する属性情報が付随していない点である。具体的には、発電所の名称や所在地、発電方法、発電量、発電時期など、環境負荷の低い設備で発電していることを示す情報だ。こうした属性情報を伴わないと、証書の購入者は環境負荷を評価できない。環境負荷の低い自然エネルギーの利用を促進するRE100では、属性情報を伴わない非化石証書は要件に合わないため推奨していない。非化石証書の取引は固定価格買取制度(FIT)の適用を受けた電力を対象に2018年5月に始まったが、RE100の要件に合致しないことも理由になって取引量は伸び悩んでいる。
海外の証書では発電設備の属性情報を示すことが基本要件になっていて、すべての証書に属性情報が含まれている。非化石証書が自然エネルギー由来の証書として国際的に通用するためには、最初から属性情報を伴う形で発行する必要がある。さらに証書の発行者から購入者までを追跡(トラッキング)できるシステムを構築して、発電事業者・小売電気事業者・電力利用者が公平に自然エネルギーの電力を取引できることが望ましい。そうした国際的な要件を満たす証書の管理システムは世界の数多くの国で使われている。、、、、

属性情報の付いた非化石証書はRE100でも認められることになった。RE100に加盟する企業を中心に非化石証書の利用価値が高まるが、国際的な基準に照らし合わせると改善すべき点が残っている。
参考 非化石証書が条件付きでRE100に認定、国際的な基準へ課題は残る[自然エネルギー財団]

RE100とは、事業運営のエネルギーを再生可能エネルギー100%にすることを目標とする国際イニシアチブです。リコーや富士通、イオンなどの日本企業はもとより、米アップルや米マイクロソフトなどRE100参加企業の日本法人が国内で再エネ電気の調達を増やし始めているからです。RE100に加盟した企業は、100%再エネ化の進捗状況を毎年報告しなければならない。グローバル企業にとっては、属性情報が欠ける非化石証書では「再生可能エネルギー100%を目指している」というメッセージを発する事はできないと考えてしまうのは当然の流れであると思われる。こういった状況を受けて、経済産業省がトラッキング情報を付与した実証実験を経て、属性情報を追加した非化石証書を活用させる方向で動いている。
さらに、証書・クレジットの場合は、新たな投資による温室ガス削減効果(追加性)が求められるとしている。それには、売電することにより、更なる事業規模拡大につながるものがなければいけないのであるが、固定買取制度の下では、非化石証書の発行量を伸ばしたところで、非化石証書の収益は発電事業者に還元される仕組みではないからである。また、固定買取制度の目的が化石燃料取引価格と対等に取引できるように交付金を使って再生可能エネルギーを買い取りつつ、価格保障をし、コストダウンさせようとすることであり、投資を促すという物ではもともとないので当然の事と思います。fit終了後コスト的に市場で十分渡りあっていけるレベルに達したもの、またはグリーン電力証書、j-クレジットなどの相対取引のものであれば、其の可能性は十分考えられるものと思われる。
もうひとつ、懸念することといえば、原子力発電で発電されたものの扱いであると考えます。非化石電力であり、二酸化炭素排出0として環境価値として取り出し、非化石証書として市場取引になるのですが、とでも大きな議論を巻き起こすものと思われます。そもそも、原子力エネルギーで発電されたものはクリーンなものなのか。それは二酸化炭素削減の議論とは別のものとしてとらえられてくるものと思います。属性情報としてラベルをつけ、果たして市場取引の中で受け入れられるのでしょうか。非化石証書取引市場の制度の中で、どのような形で扱われるのか注視すべきものであるとおもわれます。

参考 RE100での活用[J-クレジット]
参考 環境価値はどこで買う? グリーン電力証書・非化石証書・Jクレジット制度の特徴と違い[タイナビNEXT]
参考 「非化石証書」を利用して、自社のCO2削減に役立てる先進企業[資源エネルギー庁]

低炭素技術を海外に提供する

たとえば開発途上国にとって、先進的な低炭素技術の多くはコストが高く、投資がきちんと回収できるのか見込みが立てにくい場合があります。
地球温暖化対策の全世界的枠組みを決めているCOP(気候変動枠組み条約会議)では、このような状況をうけて、開発途上国への資金援助、排出量取引における市場メカニズムの詳細ルールについて議題としてきた。
cop3で採択された京都議定書では、温室効果ガス排出量削減として、森を育てる、管理する活動のほかに、柔軟性措置として、クリーン開発、排出量取引、共同実施の 3つのメカニズムが規定された。このうち、共同実施 (JI:Joint Implementation)は先進国間での排出削減活動の取引であり、地球全体の温室効果ガス削減量は変わらない。
ここでは、開発途上国での削減活動である、クリーン開発、排出量取引について考えてみることにします。
其の前に、この排出量削減活動を考えるにあたり、ポイントとなる概念として、SDGs、排出量取引、追加性、ボトムアップアプローチ、協力的アプローチ、REDD+についてどういうものなのか調べてみました。

参考 WikiPedia京都議定書

排出量削減量の取引に係わる概念

目標とするSDGs

人間活動に起因する諸問題を喫緊の課題として認識し、国際社会が協働して解決に取り組んでいくため、2015年9月の国連総会において「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(以下「2030アジェンダ」という。)が採択されました。2030アジェンダは、先進国と開発途上国が共に取り組むべき国際社会全体の普遍的な目標として採択され、その中に、「持続可能な開発目標(SDGs)」として、17のゴールと169のターゲットが設定されています。

開発途上国への支援を行う際に、「どういうことを支援するのか」のテーマとして、取り上げられる内容であると思います。
参考 REDD+とは[REDD+プラットフォーム]

炭素クレジットによる排出量取引

排出取引(はいしゅつとりひき、英語:Carbon emission trading)とは、各国家や各企業ごとに温室効果ガスの排出枠(キャップ)を定め、排出枠が余った国や企業と、排出枠を超えて排出してしまった国や企業との間で取引(トレード)する制度である。排出権取引、排出量取引ともいう。京都議定書の第17条に規定されており、温室効果ガスの削減を補完する京都メカニズム(柔軟性措置)の1つ。
排出取引の方式は主に2種類ある。キャップアンドトレード (Cap & Trade) と、ベースラインアンドクレジット (Baseline & Credit) であるが、多くの排出取引で前者が用いられている。
引用WikiPedia排出取引

京都メカニズムの柔軟性措置において、創出された炭素クレジットを市場取引するという流れの中で全体としてカーボンオフセットにつなげようという狙いの元に、排出量取引が行われてきています。

京都メカニズムにおける柔軟措置とは

気候変動枠組条約締約国会議cop3で採択された京都議定書では、国内における排出量削減活動以外に、国外における削減活動から得られた削減量を自国での排出削減量として反映できる柔軟性措置が認められている。
クリーン開発、排出量取引、共同実施、吸収源活動がこれに該当する。

クリーン開発メカニズム (CDM: Clean Development Mechanism)
先進国が途上国において、排出削減活動を行い、その実績を、自国の排出削減量にカウントできる。次項において、詳細が示されております。
排出量取引 (ET: Emissions Trading)
この制度は、排出量の削減による取引上の利益により、さらなる削減意欲を生じさせることを意図したものである。
下記 4種類の炭素クレジットを取引する制度である。

  • AAU (Assigned Amount Unit) – 各国に割り当てられる排出枠
  • RMU (Removal Unit) – 吸収源活動による吸収量
  • ERU (Emission Reduction Unit) – JI で発行されるクレジット
  • CER (Certified Emission Reduction) – CDM で発行されるクレジット
共同実施 (JI: Joint Implementation)
投資先進国(出資をする国)がホスト先進国(事業を実施する国)で温室効果ガス排出量を削減し、そこで得られた削減量 (ERU: Emission Reduction Unit) を取引する制度。先進国全体の総排出量は変動しない。
吸収源活動
二酸化炭素吸収源としては、森林、土壌、海洋などが考えられますが、ここでは、森林に係わるものだけを対象としております。1990年以降の植林などで CO2 の吸収源が増加した分を、温室効果ガス排出量削減に換算し算入するもの。また、吸収源である森林が同年以降に都市化・農地化などで失われた分は排出量増加として算入される。

  • 新規植林(Afforestation、過去50年間森林がなかった土地に植林)
  • 再植林 (Reforestation、1990年より前には森林であったが同日時点では森林ではなかった土地に植林)
  • 森林減少(Deforestation、森林を他用途に転換)
  • 1990年以降、森林、放牧地、植生の適切な管理に係わるもの

参考京都議定書 WikiPedia京都議定書

国の総排出枠
総排出枠の構成

総排出枠の構成

国としての総排出枠は排出量取引により、流動的に増減するようになっております。まずは、京都議定書で設定された削減目標から初期割り当ての排出枠が決まります。そして、自国での排出量取引により、炭素クレジットを獲得します。さらに、他国で獲得された炭素クレジットを市場から入手する場合も考えられます。そして、そのクレジットを無効化(排出枠量として自国の排出枠に加える)、移転(自国の排出枠から差し引く)により、最終的に、国としての総排出枠量が決まります。取引前の排出量から総排出枠を引いた量が、自国で削減しなければならない削減量となります。
 炭素クレジットは各国において国別登録簿という電子システムで管理されており、国別取引ログでチェックされるようになっております。
 尚、日本においては、京都議定書第二約束期間における、削減目標の設定がないので、京都メカニズムのクレジット(CER、ERU 、AAU、 RMU)の国際的な移転や獲得を行うことはできない。(従来どおり、CDMプロジェクトには参加し、クレジットを取得できる。)
 また、京都議定書の後継とされる、パリ協定において、2020年以降の市場メカニズムのあり方については、2019年現在、未定である。
参考炭素クレジット[EICネットパブリシティ]

排出量取引の方法
排出量取引と排出枠の関係

排出量取引と排出枠の関係

排出量取引では、排出枠が設定される事を前提に国家間で取引される。各国または各企業に総削減量から割り振られた削減量を削減前排出量から差し引いたのが排出枠となります。取引は、この排出枠からあふれた量と、排出枠にとどかなかった排出枠量との両者で行われることになります。排出枠の買い手(A国)、売り手(C国)の間で、各国、各企業の事情により、需給のかたよりはあるものの、買う量と売る量の差が最終的にはなくなるといわれている。しかも、市場原理により、取引は「自前で削減したほうが得か、或いは取引したほうが得か。」という費用が最小限で済むように流れることになる。
 ところが、上図の一番上のように、A国がC国から無制限に排出枠を調達するようになると、A国は「自国で削減するよりも他国の削減枠を利用したほうが得である。」と考えてしまい、自国での削減努力行動が停滞してしまうことになってしまう。
 そこで現在は、キャップアンドトレードと呼ばれる、取引量上限を決める方法が取られているケースが主流になっているようです。
上図の真ん中のように、取引量に上限値を設ければ、上図の一番下のように、A国に削減活動をせざるを得ない状況を作り出すことが出来るので、全体として、削減活動の底上げにつながるとされている。

参考 排出量取引成功のカギと適切な国内対策[地球環境研究センター]

排出削減を「総量規制」にするか「原単位規制」にするか

たとえば、製造に1台あたり10の温室効果ガスが排出される車についてかんがえてみることにする。

総量規制の場合
排出総量値を100とすると
10台生産すると10*10=100の排出総量になる。
14台生産すると10*14=140の排出総量になるが140-100=40削減しなければならない。
排出総量;100 削減しなければならない量:40
原単位(生産量)規制の場合
1台に付き2削減と設定した場合
10台生産すると10*10=100の排出総量になるが2*10=20削減しなければならない。排出総量は100-20=80
14台生産すると10*14=140の排出総量になるが2*14=28削減しなければならない。排出総量は140-28=112

このように、ある程度、製品個数が大きくなると、同じ製品でも、原単位で行った場合の方が総排出量が増えてしまうことになる。

参考 温室効果ガス排出量取引[WWFジャパン]

排出量取引する意義

排出量取引では、削減費用の低い国がより多くの排出削減をすることで、費用節約効果が生まれ、それを自国内よりも安いと思われる、削減が必要な国が排出枠として買うことになる。排出量取引は、先進国間で行われるので、先進国の総排出量は変わらないのですが、経済的損失を最小に止めるという効果があります。
こういう状況に、取引上限を設けるということは、そもそも京都メカニズムの以下の原則によるものと思われます。

京都議定書の数値目標の達成に際して、京都メカニズムの活用は国内対策に対して補足的(supplemental)で、国内対策が数値目標の達成のための努力の重要な要素(significant element)でなければならない。[決15/CP7前文,p2]

京都メカニズムの活用による排出枠の取得は、あくまでも、二酸化炭素削減活動の主流ではない。国内での削減活動につなげることがそもそもの目的であるといえます。
このことは、次項で説明する、開発途上国に対する、クリーン開発メカニズムに関しても同様に考えることが出来ます。

追加性

クリーン開発メカニズム(Clean Development Mechanism:CDM)プロジェクトの要件の一つとして、1997年の京都議定書には、“Reductions in emissions that are additional to any that would occur in the absence of the certified project activity.”という文言が入っている(Art.12, Para 5(c))。この文言の解釈を巡る問題が「追加性問題1」であり、多くの場合、環境的追加性(Environmental additionality)、投資的追加性(Investmentadditionality)、財政的追加性(Financial additionality)の3つの追加性の具体的な基準の内容や相互関係が問題となる。環境的追加性は、広義に追加性一般を意味する場合と、何らかのプロジェクトが実現されることによって温室効果ガス排出削減が実施される事を狭義に意味する場合とがある。しかし、後者の狭義の立場に対しては、以下で述べるように、地球温暖化問題やCDMという仕組みが存在しなくても実施される可能性が高いプロジェクトに対してカーボン・クレジット(CDMの場合はCertified Emission Reduction:CER)を付与すべきではないという考えがある。投資的追加性とは、当該プロジェクトの収益性が一定以下であり、地球温暖化やCDMという制度が存在しない場合に民間企業によって営利目的で実施される可能性がないことを意味する。すなわち、投資ビジネスとして収益を得ることを目的とした民間投資(例:産業植林や現行の海外発電事業と同タイプのプロジェクト・ファイナンス事業)は、収益性が一定以上であれば実施されるような資金および技術のフローである。したがって、収益性が一定以上の投資プロジェクトはbusiness as usual のシナリオに含まれていると考えるべきであり、たとえその実施によって温室効果ガスの削減が実現するとしても、それを新たな削減量としてカウントすべきではないと考える。投資的追加性を判断する指標としては、投資回収年数や投資収益率などの経済的指標を用いる。財政的追加性2は、現行の政府開発援助(Overseas Development Assistance:ODA)が、CDMというメカニズムがあろうとなかろうと、南北問題の解決を目的とした先進国から途上国への資金および技術のフローとして存在するものと考える。現行ODAの中には、温室効果ガス排出削減をもたらすプロジェクトが存在するものの、このようなプロジェクトは、地球温暖化問題やCDMという制度がなくても実施されており、これからも実施されると予想する。
引用 追加性問題再考[東北大学東北アジア研究センター]additionality.pdf

排出量取引における市場メカニズムを取り入れる時に、単なる「温室効果ガス削減のための事業援助」ではなく、「其のプロジェクトに追加性があるか。」がクリーン開発として承認されるかどうかの鍵となっているようです。但し、上記の環境的追加性、投資的追加性、財政的追加性が具体的にどのような場合を認めているのか、copにおいてはこのことに関しては明確に規定しているものは見受けられないようであります。

削減量を決めるボトムアップの仕組み

COP15 (第15回気候変動枠組み条約締約国会議) のコペンハーゲン合意により、先進国は削減目標を、途上国は削減行動を自主的に約束しこれを国際的な測定・報告・検証 (MRV) 制度を経て削減を達成するという、ボトムアップの仕組みが認められることなった。このことにより、すべての国が削減達成目標を提示できる状況になったことは大きな前進であると言われている。

京都議定書では途上国が削減目標を持たないことよって生じる、削減量のダブルカウント問題、削減枠のない途上国からのCER(カーボンクレジット)が適切なベースライン排出量が算出されないことによる追加性を持たなくなる事への対処につながることであると考えられます。
参考 CDM における追加性とベースライン[Climate Experts]
参考 追加性問題再考[東北大学東北アジア研究センター]additionality.pdf

協力的アプローチ(cooperative approaches)

パリ協定第6条2項により規定されており、制度に参加する国の承認を前提として、海外で実現した排出削減・吸収量を各国の削減目標の達成に活用できます。協力的アプローチの代表的事例として、日本が提案し実施している二国間クレジット制度(JCM)があります。

REDD+

REDD+ : Reducing emissions from deforestation and forest degradation and the role of conservation,
sustainable management of forests and enhancement of forest carbon stocks in developing countries
途上国における森林減少・森林劣化に由来する排出の抑制、並びに森林保全、持続可能な森林経営、森林炭素蓄積の増強
引用 REDD+とは?[森から世界を変える REDD+プラットフォーム]

REDD+は、途上国における森林減少・劣化の抑制や持続可能な森林経営などによって温室効果ガス排出量を削減あるいは吸収量を増大させる努力にインセンティブを与える気候変動対策です。
具体的には、途上国が、森林減少・劣化の抑制により温室効果ガス排出量を減少させた場合や、あるいは森林保全により炭素蓄積量を維持、増加させた場合に、先進国が途上国への経済的支援(資金支援等)を実施するメカニズム,一方、支援した先進国(REDD+実施者)も気候変動抑制への貢献がクレジットという形で評価されます。REDD+実施者はその売却により収益を獲得できるようになります。
REDD+は、既に2013年の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第19回締約国会議(COP19)において基本的な枠組みが決定されています。
UNFCCCの枠組みのもとでは、国または準国(州や県など)の単位でREDD+事業が進められることが決まっております。
米国ではすでに2010年よりVCS(Verified Carbon Standard)という団体が設立され、REDD+プロジェクトの認証・登録やクレジット(排出権)の発行などを行っています。これまでに30件近くのREDD+プロジェクトが承認されています。それらのプロジェクトからの発行クレジット量は2,000万t-CO2あまりに達しています。そのうち半分程度が既に市場で取引されており、自主的市場におけるデファクトスタンダードとしての地位を確立しています。

日本においても、2014年から環境省、経済産業省がJCM-REDD+用のルールづくりに着手。2015(平成27)年度からは環境省の「二国間クレジット制度(JCM)を利用したREDD+プロジェクト補助事業」がスタートしました。

UNFCCCの枠組みのもとで、現在、2020年以降の実施を目指して資金面や技術的な詳細な点に関する交渉が行われているところです。

参考 REDD+とは?[森から世界を変える REDD+プラットフォーム]

クリーン開発メカニズム (Clean Development Mechanism CDM)

このcopでは各国の政府閣僚のみならずOECDや環境NGOなど国際的な機関、団体が加わった中で行われるものであり、各々が其の役割を発揮すべく議論が交わされてきた。
cop3において、この市場メカニズムにおける先がけとしてクリーン開発メカニズム CDMが採択された。 CDM は、京都議定書に定められた温室効果ガスの削減目標の課された先進国 (附属書I国) が、削減目標の課せられていない途上国 (ホスト国) において持続可能な発展に寄与する温室効果ガス削減プロジェクトを実施し、実施されなかった場合に比べ、追加的な排出削減があった場合、削減量に対し炭素クレジット (Certified Emission Reduction: CER) が発行される制度である。CERは途上国支援のために一部差し引かれますが、残りは、ホスト国(途上国)とプロジェクト参加者(先進国)の間で、CDM理事会の決定に従って分配されることになります。そして、先進国は、この制度の下で創出されたクレジットを自国の削減目標の一部に充当出来る。日本をはじめ、国内において高効率、低排出機器の普及が既に進んでいる先進国では、技術革新などにより温室効果ガス削減を更に推進するには限界がある。CDMはそうした状況を考慮した京都メカニズムの柔軟性措置のひとつである。

CDMプロジェクトの手続きの流れ
①計画策定
プロジェクト参加者がCDMの計画を策定する。
②PDD作成
プロジェクト参加者が、プロジェクト設計書(PDD)を作成する。
③有効化審査する
PDDをもとに、CDMとして適格か、排出削減量の計算が正しいかどうか等を審査する。
④政府承認
関係国(投資国およびホスト国)のDNAからの書面による承認を得る。
⑤登録
関係国からの承認を受け、有効化審査を通過したプロジェクトは登録申請できる。登録は、国連CDM理事会が行う。
⑥モニタリング
プロジェクト参加者は排出削減量の決定に必要なモニタリングを実施する。
⑦CER検証・認証
検証(モニタリング結果について、DOEが定期的に審査を実施)と認証(検証結果にもとづいてDOEが排出削減量を確定)を行う。
⑧CER発行・分配
国連CDM理事会によって、DOEが承認した排出削減量に相当するCFRが発行される。発行されたCERのうち2%分が途上国支援に活用するために差し引かれる。さらに、CDMの運用経費を引いたCERがプロジェクト参加者間で分配される。

参考 図説・京都メカニズム第2版[環境省]ref_all.pdf

適用できるCDMプロジェクト種別
  • 排出削減COMプロジェクト
    COM(大規模)
    小規模CDM
    • タイプⅠ:再生可能エネルギー(最大出力15MW)
    • タイプⅡ:エネルギー効率改善プロジェクト(最大削減エネルギー60GWh)
    • タイプⅢ:年間排出削減量が60kt/年(CO2換算)
  • 新規植林・再植林CDMプロジェクト
    新規植林・再植林CDM(大規模)
    小規模新規植林:再植林CDM(16,000tCO2/年以下)
プロジェクト計画における留意点

独立したいくつかのCDMプロジェクトをひとつのプログラム活動(Programme of activities: PoA) として事業者等が調整管理主体となり実施することも可能です。

そのプロジェクトがなかった場合に排出されていたと考えられるGHG排出量予測 (ベースライン)と比較して、追加的な排出削減をもたらすことや、ODA資金の流用をしていないことが認められる内容である必要があります。

日本においては、新規植林及び再植林に係るCDMからのクレジットは、本事業の年限(8年)を超える長期間(最大で60年間)の補填義務を伴うことから、取得対象としないこととしていました。
原子力CDM/JIからのクレジットについても、国際ルール(マラケシュ合意6
)上、取得を控えることとされていることから、取得の対象外としていました。

省エネによってエネルギーコストが軽減されれば、CERの収入が無くとも投資を回収できる場合が多いことから、追加性の実証が非常に厳しく求められており、CDMとして認められるのは特に難しい。CDMにおけるクレジット取得形態は、附属書I国以外の国(発展途上国)で実施するCDMプロジェクトに自らが参加し、発行されたクレジットを取得する直接取得(タイプA)と、クレジットを既に取得又は今後取得する見込みのある事業者等との間で転売によるクレジット購入契約等を締結する間接取得(タイプB)がある。後者は、CER(CDMにおけるクレジット)は市場で取引できるということを意味しております。

日本での京都メカニズムで獲得したクレジットは、9749.3万t-CO2であり、グリーン投資スキーム(GIS)7,000万t-CO2、間接取引(タイプB)1977,5万t-CO2、直接取引(タイプA) 221.8万t-CO2であった。グリーン投資スキームとは、環境対策に特化した先進国同士の排出量取引である。

結果、京都議定書第一約束期間(2008~2012年)における温室効果ガスの排出削減目標値である基準年総排出量比で6%の1.6%分をこのクレジットで充当できた。

参考 京都メカニズムクレジット取得事業総括報告書[国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構]100783325.pdf
参考 京都メカニズムクレジット取得事業の概要について[環境庁]mat160118.pdf

政府開発援助(Official Development Assistance ODA)

ODAにおいても、発展途上国への温室効果ガス削減の取り組みも可能とされています。
では、そもそもODAとはどういうことを行っているのでしょうか。

発展途上国の開発支援を目的として、政府資金で行われる資金援助・技術協力。Official Development Assistance の略。対象は、平和構築、貧困解消、医療・衛生改善、教育・人材育成、法整備など多方面に及ぶ。支援の流れは、対象国への「直接援助」と国連の諸機関や国際金融機関などを通しての「多国間援助」の二つに分けられ、形態は「無償資金協力(贈与)」「有償資金協力(貸与)」「技術協力」の三つに分けられる。
引用 政府開発援助[コトバンク]

日本は、戦後の高度成長期に東・東南アジアを中心に、戦後賠償という名目で活発に開発援助を続けてきた。80年代末にはODA拠出額は世界1位になった。但し、日本の開発援助は、無償資金協力として、人道支援中心の欧米各国に対して、被援助国が返済を擁する、有償資金協力事業となっている比率が高いものであった。しかも、道路、橋、鉄道、発電所などのハードインフラストラクチャー整備が主立っていたODA事業に関して、資材の調達先や服務などの工事事業を日本企業に限定することであるケースがはなはだしかった為に、「ひも付き援助」という国内外からの批判を受けていた。
1980年代以降は、こういった状況は解消されてきたものの、2016年度における統計では、二国間ODA総額21,023百万ドルに対して政府貸付等が15,279百万ドル、4分の3の比率を占めており、その内の51%が相変わらず、輸送や、通信、エネルギーなどの経済インフラおよびサービスに向けられている。(2017年版 開発協力白書より)

2015年2月,開発協力の理念や重点政策,実施の基本的な考え方等を定めるODA大綱を12年ぶりに改定し、その内容からもこのような方針を推し進めてきている以下のような意図がうかがえる。

現在のグローバル化した国際社会では,国際社会との相互依存がますます深まっており,国際社会と協力して,平和で安定し,繁栄した国際社会を作っていくことは,国民の生活を守り,繁栄を実現することにもつながっています。このように,開発途上国の安定と発展に貢献することで,望ましい国際環境を形成し,そのことを通じて,日本国民の利益の増進にも貢献する開発協力は,我が国の平和国家としての歩みを体現するものであり,まさに,国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の実践なのです。

引用 開発協力,ODAって何だろう [外務省]

つまり、日本が得意とする、インフラ整備をodaの事業を通じて、官民一丸となり、アピールすることにより、周りめぐって、国益につなげようというものであると思います。近年、ODA事業の援助額は頭打ちになっているものの、上記の内容は、海外援助のあり方の方向性を示していることであり、その延長線上に以下に示す、JCMのスタンスがあるものと考えることが出来ます。

参考 WikiPedia政府開発援助
参考 開発協力,ODAって何だろう[外務省]

二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism JCM)

CDMでは、京都議定書締約国やCDM理事会が一括して管理していました。しかしながら、審査プロセスの長期化、厳格化など制度の運用にかかわるさまざまな問題点が取りざたされている。JCMはCDMの制度を継承しつつも、より導入しやすく補完する形で生まれてきた。ここでは、CDMやODAとの関連を通してJCMについて考えてみることにします。

JCMとは

日本が進めている「二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism、JCM)」は、日本の持つすぐれた低炭素技術や製品、システム、サービス、インフラを途上国に提供することで、途上国の温室効果ガスの削減など持続可能な開発に貢献し、その成果を二国間で分けあう制度です。パリ協定では第6条2-3項「協力的アプローチ」において,JCM等,各国独自の市場メカニズム制度を容認している。

JCMとCDMとの違いについて
JCM・CDMプロジェクトサイクル

JCM・CDMプロジェクトサイクル
出典 JCMの解説[炭素エクスプレス]

日本において、京都メカニズムを用いて、何とか第一約束機関の削減目標値が達成できたことは、CDMによる成果であった。その後、第2約束機関では削減数値目標をもたず、CDM是非の議論がなされできた。こういった状況において、CDMでは実現が出来にくかった制度的なものがJCM制度へと引き渡される流れが生まれた。

CDMにおいて国連管理下に一元管理されていたものが、基本的に当事者の2カ国が管理する形なので、より調整しやすく、コストも少なくてすむ事を狙ったものになっています。JCMでは日本と各パートナー国で設置した「合同委員会」が、JCMの実施に必要となるルールやガイドラインなどを定めて管理します。以下、CDMとの比較において、JCMの特徴的な点を以下のようにあげてみました。

  • 排出削減量の計算を、あらかじめ用意されているひとつのスプレッドシート(計算表)で、より簡単に計算するようにした。
  • プロジェクトが客観的に判断することのできる基準をあらかじめ用意して、この「適格性要件」を満たしていれば、CDMのような「追加性」の証明がなくても認められる。
  • プロジェクトの妥当性を確認した機関が検証も兼ねることが出来るので、よりスムーズに検証がすすむ。
  • 事業に対する2国間での合意形成がそれぞれの国の実情に合わせてなされるので、実現に向けてのプロセスがスムーズに進行する。

参考 「二国間クレジット制度」は日本にも途上国にも地球にもうれしい温暖化対策[資源エネルギー庁]

JCM事業での途上国支援のかかわり方

京都メカニズムにおけるCDM事業の妥当性確認の中での基本原則として「実質的で永続性があり、追加的で検証された削減」ということがとりだたされている。では、実際にどういうことなのかについて政府JCM関係資料の中に以下のように提示されていた。
「普及初期の案件に限定して、初期コスト(設備導入費用)を補助することで、途上国でもトータルコストによる投資判断が定着するよう、普及の突破口を開く。ここまではJCMの果たすべき役割となる。其の後トータルの経済性での評価が定着されてきた国・技術では、速やかに⺠間ベース案件を促進するため、設備補助以外の支援形態(リース補助、出資、ADBを活用したツーステップローン等)により、民間主導のJCMを促進する。」というような内容であると思われる。

先進国がJCMとして行うのは、いわば焚き付けの部分ということが言える。焚き付けられた炎を大きくするのは、途上国側である。焚き付ける材料は国が用意し、焚き付けを実際に行うのは民間主導のJCMである。決して、炎を大きくする役目まで踏み込んではいけない。それは、途上国側の、或いは民間の、BaU(business-as-usual)といわれる、利益を生み出す事業として、展開すべきものであり、排出削減によるクレジットには直結しないものとなってしまうからである。これを、非追加性であると呼ばれているものである。この見極めは、とても難しい。
CDMでは、CDMが指定する「指定運営機関(DOEs)が仮想のシナリオに対して提案された各プロジェクトとの追加性を評価としている」としていますが、この仮想のシナリオがどういうものかは、過去の実績から導かされるものであると思われますが、其の判断は指定運営機関に委ねられている。
一方、JCMでは「プロジェクトが客観的に判断することのできる「適格性要件」を満たしていれば、CDMのような「追加性」の証明がなくても認められます。」ということなので、これは、まさに、追加性を有した対象となる日本における優れた低炭素技術等を指しています。

JCM資金支援事業
JCM資金支援事業・実証事業分野別統計

JCM資金支援事業・実証事業分野別統計
出典 Joint Crediting Mechanism (JCM)20180719_TT8_Koakutsu.pdf

2013年から2018年までに17パートナー国において、127支援、実証事業が行われている。そのうち55%が省エネ、34%が再生可能エネルギー、7%がコジェネレーションシステムであった。その他、廃棄物エネルギー、交通、RDEE+合わせて4%となっている。

日本では、経済産業省、環境省が中心になって、これらをすすめている。
最新情報については、日本政府が公開している二国間クレジット制度最新情報20190401_JCM_goj_jpn.pdfに記載してあります。

市場メカニズムの今後の展開

京都議定書の第二約束期間が2020年までであり、その後は、ポスト京都議定書として位置づけられている、cop21において採択されたパリ協定にひきつがれることになっております。
市場メカニズムは京都メカニズムでの経験を踏まえた上でのものになっており、その内容は、パリ協定の第6条(市場メカニズム等)の中で条文化されております。以下、3つの概念として取り扱われております。

協力的アプローチ=国と国とが協力して実施する(各国主導型)市場メカニズムに関する6条2及び3項
「各国が自国の意志で(クレジットや排出枠を国際的に移転する)協力に携わる場合には、クレジットや排出枠の国際的な移転と獲得を行う。」但し、パリ協定では、排出枠という捕らえ方はない。先進国、途上国の区別なく、締結国すべてに削減目標が設定されることになるので、今後、制度化されるものには、クレジットの配分方法や、削減量の二重カウント防止をどのように管理していくかが、問われることになる。また、自主行動としているにしても、パリ協定締約国会議copのなかで、「持続可能な開発と環境の保全」「排出削減量の計算方法」を共通の認識としてどう盛り込まれるかが、議論されることになる。
次項における「二国間クレジットJCM」がこれに該当する。
国連が管理する(国連管理型)市場メカニズムに関する6条4~7項
このメカニズムは、パリ協定締約国会議(CMA)の管理下で、緩和と持続可能な開発の支援に貢献する制度として位置づけられております。京都メカニズムの「クリーン開発メカニズム」の内容と共通しているところが多い。異なる点は、国を附属書I国と非附属書I国に分けるということがなくなっているということである。先進国にだけ排出枠を課すというのではなく、パリ協定では、各国が削減目標Nationally Determined Comtribution、略称:NDCを作成・提出・維持するという、共通の目標提出義務を負っていることであるため、これは先進国、途上国の区別のないものとして、捕らえられているからであると思われます。
他国が削減目標達成に活用した場合は、ホスト国の削減目標の達成に活用できません。これは京都メカニズムで得た教訓を踏まえ、ホスト国とのダブルカウントを回避するために設けられた措置です。また、世界全体の排出における総体的な緩和を行うことという、条文が加えられています。
非市場アプローチに関する6条8及び9項
市場メカニズムによらない持続可能な開発のための緩和、適応、資金、技術移転、能力構築の全てに関連する枠組みということになります。締結国の中で、市場メカニズムに反対してきた国々と意見も反映させる意味合いもあるものとされておりますが、明確な定義や合意はない。

パリ協定で採択されたものは、詳細合意ルールについて、2018年12月のcop24において、大筋の合意をみたが、市場メカニズムにおいては、詳細ルールについては、次回持越しということになった。

参考パリ協定第6条の解説[炭素市場エクスプレス]
参考国際交渉の動向パリルールブックの内容とその意味[地球環境戦略研究機関]1-1_Mizuno_fin.pdf

カーボンフリーにつながる生活スタイル・概念

身土不二

大元は仏教用語で「「身」(今までの行為の結果=正報)と、「土」(身がよりどころにしている環境=依報)は切り離せない、」引用 [WikiPedia身土不二]という意味である。
それが、大正時代に「食養会」が 食養運動のスローガンとして世に広まっていった。引用 [WikiPedia身土不二]

「平たくいうと、「身体(身)と環境(土)はバラバラではありませんよ(不二)」という意味です。身体は、食べ物を含め、さまざまなものを環境から取り入れています。空気、光、音、熱、湿気などなど…。」
その土地でとれたもの、その季節に自然にとれるものを中心に食べれば、暮らしている場所の気候・風土に適応し、季節の変化についていくことができます。たとえば熱帯の作物や夏の野菜は、人間が暑さに対応しやすいような、身体を冷やし、ゆるめる働きのある成分が多く、今さらながら、自然はうまくできていると思わざるを得ません。反対に、寒い冬に、熱帯産のバナナやパイナップルを食べたり、夏にとれるトマトやキュウリを食べたりすれば、身体は冷えて、具合が悪くなってしまいます。引用 「身土不二」と「一物全体」[マクロビオティックWeb]

カーボンフリー的な見方をすると、輸送コストがかからず、作物が育ちやすいような環境を作る為の余計な活動をすることがないので温室効果ガスの排出が少なくてすむということになります。

地産地消

地域生産・地域消費(ちいきせいさん・ちいきしょうひ)の略語で、地域で生産された様々な生産物や資源(主に農産物や水産物)をその地域で消費することである。
遠距離輸送には大量の燃料・エネルギーを必要とする為、そのために輸送する際にかかるエネルギー・CO2排出量等のコストを計算するフードマイレージの観点から考えると、地産地消ならば、それらは不必要なエネルギー消費、排出削減が可能なCO2であると考えることができる。引用 WikiPedia地産地消

地産地消とは、地域で生産されたものをその地域で消費することですが、国の基本計画では、地域で生産されたものを地域で消費するだけでなく、地域で生産された農産物を地域で消費しようとする活動を通じて、農業者と消費者を結び付ける取組であり、これにより、消費者が、生産者と『顔が見え、話ができる』関係で地域の農産物・食品を購入する機会を提供するとともに、地域の農業と関連産業の活性化を図ることと位置付けています。
産地から消費するまでの距離は、輸送コストや鮮度、地場農産物としてアピールする商品力、子どもが農業や農産物に親近感を感じる教育力、さらには地域内の物質循環といった観点から見て、近ければ近いほど有利です。
また、消費者と産地の物理的距離の短さは、両者の心理的な距離の短さにもなり、対面コミュニケーション効果もあって、消費者の「地場農産物」への愛着心や安心感が深まります。
それが地場農産物の消費を拡大し、ひいては地元の農業を応援することになります。さらに高齢者を含めて地元農業者の営農意欲を高めさせ、農地の荒廃や捨て作りを防ぐことにもなります。
結局、地場農業を活性化させ、日本型食生活や食文化が守られ、食料自給率を高めることになります。
引用 「地産地消」とは

身土不二と類似しているように思える言葉である。物事に対する見方、姿勢についてのようなものというものに対して、地産地消は農業者と消費者を結びつける、消費者運動というようなニアンスとして捉えることが出来る。

循環型社会

循環型社会(じゅんかんがたしゃかい)とは、有限である資源を効率的に利用するとともに再生産を行って、持続可能な形で循環させながら利用していく社会のこと。 人的資源や文化的要素の循環状態は概念に含めない。引用 WikiPedia循環型社会

経済活動よる「大量生産・大量消費・大量廃棄」が問題とされてきている。政府は、このことによって生じる廃棄物を何とかリサイクル、ごみ減量化するために環境への負荷が少ない「循環型社会」を形成することに解決策を求めることとし、循環型社会の形成を推進する基本的な枠組みとなる循環型社会形成推進基本法を制定した。この法律は下図のように、持続可能な社会の実現の一角として位置づけられています。

持続可能な社会

持続可能な社会
出典 循環型社会への新たな挑戦[環境省]pamph.pdf

その基本理念の柱となっているのが資源の循環的な利用です。これは、以下のような資源のあり方の優先順位をつけ、社会全体として最も効率的に環境への負荷を低減させていこうとする意図からのものとなっております。

循環型社会とは

循環型社会とは
出典 循環型社会の形成に向けてkaiin_4th_140324.pdf

①発生の抑制Reduce–>天然資源投入量の抑制、廃棄物等の発生を抑制
②再使用Reuse–>使い終わったものも繰り返し使用
③再生利用Recycle–>再使用できないものでも、資源としてリサイクル
④熱回収–>リサイクルできず、かつ、燃やさざるを得ない廃棄物を焼却する際に発電や余熱利用を実施
⑤適正処分–>処分する以外の手段がない場合は、適正に処分

このような理念を受け、平成30年度環境省がすすめてきた循環型社会の形成に関する施策の主なものは以下のようになっております。

  • 社会や環境に配慮した商品・サービス(認証されたもの)を積極的に購入することで社会課題の解決に貢献する消費活動を推進する。
  • 2020東京大会における持続可能性に配慮した農産物の調達–>有機農産物、障害者が主体的に携わってきた農産物、認証されたものを使う。
  • シェアリング・エコノミーの推進–>カーシェアー、サイクルシェア、プリマアプリ、ホームシェア、遊休施設のシェアなど
  • 食品ロスの削減–>商慣習見直し、外食における食べきり運動等を推進
  • テレワークの推進–>移動に伴う二酸化炭素削減、業務の電子化、オンライン化
  • 宅配便の再配達削減–>できるだけ一回で受け取りませんかキャンペーン、戸建用宅配ボックス
  • 営業時間の見直し–>コンビニエンスストアの24時間営業見直し

これらを実現させる為には、いまあるライフスタイルを見直すことが必要になっております。
個人が出来る3R(Reduce,Reuse,Recycle)としては以下のようなことを実践してみてはと思います。

  • ゴミになるもの、必要ないものを買わない(Reduce)
  • 買い物袋を持って行く(Reduce)
  • 物を大事に使う(Reduce)
  • 自分が使わなくなったものを、使ってもらえる人に譲る(Reuse)
  • 何度も利用できるガラス瓶などが使われている製品を選ぶ(Reuse)
  • 詰め替え用の製品を選ぶ(Reuse)
  • フリーマーケットやリサイクルショップを利用する(Reuse)
  • ゴミをしっかりと分別する(Recycle)
  • 製品の購入時リサイクルされたものを選ぶ(Recycle)
  • 生ゴミを堆肥化させる(Recycle)

参考 循環型社会とは?3Rとは?環境省の取り組みは?企業や個人がすべきことは? [brave-answer]
参考 循環型社会への新たな挑戦[環境省]pamph.pdf
参考 平成30年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書(概要)[環境省]gaiyou.pdf
参考 循環型社会の形成に向けて[環境省]kaiin_4th_140324.pdf

パーマカルチャー

パーマカルチャーという語そのものは、パーマネント(permanent 永久の)とアグリカルチャー(agriculture 農業)をつづめたものであるが、同時にパーマネントとカルチャー(文化)の縮約形でもある。
パーマカルチャーとは、オーストラリアのビル・モリソンとデビット・ホルムグレンが構築した人間にとっての恒久的持続可能な環境を作り出すためのデザイン体系のことです。
伝統的な農業の知恵を学び、現代の科学的・技術的な知識をも組み合わせて、通常の自然よりも高い生産性を持った『耕された生態系』を作り出すとともに、人間の精神や、社会構造をも包括した『永続する文化』をかたちづくる手法である。
単に環境に配慮しただけの生活ではなく、持続可能な無農薬・有機農業を基本とし、水・土・植物・畜産・水産・建造物・人々・経済、都市と農村、これら全てを考慮し、組み合わせて地域全体を設計するところに特色がある。もちろん生産性も求め、デザイン性も考慮される。
日本でかつて当たり前にあった、人と自然が有機的かつ生産的なつながりを持った空間。村落共同体と自然環境(生物、田畑、森や山、水、空気など)が存在し、人間が周りの環境に働きかけ(食料や建築素材の栽培・採取、薪のエネルギー利用、山林の維持管理など)、その生活から生み出される知恵や技術をベースとした永続可能なコミュニティー文化を作り上げていた。それはまさにパーマカルチャー。もう一度、日本の伝統を見直してみよう。

参考 究極のライフスタイル「パーマカルチャー(Permaculture)」って、いったい何?農業を超える?
参考 パーマカルチャー

スローライフ

「スローライフ(Slow Life)とは、生活様式に関する思想の一つである。ファストフードに対して唱えられたスローフードから派生した考え方で、大量生産・高速型のライフスタイルに対して、ゆっくりした暮らしを提案するもの。Slow livingに相当する和製英語である。」 引用 WikiPediaスローライフ
SLOWは、スロー・リビングの4つの考え方のアクロニム(頭字語)にもなっています。
S : Sustainable 持続可能、地球環境に負荷をかけない
L : Local  地元産
O : Organic  大量生産品ではない
W : Whole  加工されていない、できるだけ自然のままの食品
参考 ミニマリスト流、スローライフの始め方。心と身体が疲れている人におすすめです。[ 筆子ジャーナル]

ローハス

英語の “lifestyles of health and sustainability” (健康で持続可能な、またこれを重視する生活様式) の頭文字をとった略語で、「健康と地球環境」意識の高いライフスタイルを指す用語である。
社会学者のポール・レイ (P. H. Ray) と心理学者のシェリー・アンダーソン (S. R. Anderson) による全米10万人以上を対象にした社会調査を基に生み出されたマーケティングコンセプトである。
アメリカの調査機関NMIが、LOHAS層を「環境と健康に関心、社会に対する問題意識、自己啓発・精神性の向上に関心が高く、実際の行動に移す人々」と定義している。
アメリカでは「LOHAS」という言葉はビジネス用語,日本では、「健康と環境を志向するライフスタイル」と意訳されスローライフやエコに続いて広まった。
参考 WikiPediaローハス

  • イメージは環境にやさしいライフスタイルを心掛けている (例えば、商品の選択をする場合、価格よりも性能が良い、環境に優しい、デザインが良いが判断の大切なポイントと考えている)
  • 持続可能な経済の実現を願っている (例えば、地球環境に負荷を掛けない、風力発電等の自然エネルギーの活用、サスティナブルな農業、地球温暖化の防止、エネルギー源の水素化の実現など)
  • 平均年齢は42歳、30%が大学卒、年収は全米平均以上、60%が女性といってます。 日本でも博報堂が首都圏在住者を対象にした調査では「現在はやっていないが、今後やってみたい環境配慮型の行動」として「環境問題に取り組みが進んでいる企業の品物を買う」という回答が65.1%でトップとなりました。
  • 予防医学・代替医療を心掛け、なるべく薬に頼らない (例えば、運動、食育、医学についても気に掛けている)
  • ヘルシーな食品やナチュラルなパーソナルケアー製品を愛用している (例えば、有機野菜や化学添加物の少ない食品を選び、自然系洗剤等を使う)
  • 自己啓発のために投資する (例えば、異文化との接触、ヨガや習い事、友人関係への時間投資)

参考 LOHASってな〜に?(ロハスとは)[NPOローハスクラブ]

グリーンコンシューマー

グリーンコンシューマー(Greenconsumer)は直訳すると「緑の消費者」。環境をイメージした緑と、コンシューマー=消費者を合わせた造語で、「環境を大切にする消費者」と意訳されています。
誰もが日常的にしている“買い物”を少し変えるだけで、商品の作り手、売り手、ひいては経済全体に影響を与えることのできる取り組みです。
環境を大切にしたもの選び 「買う=商品選択」によって、環境に配慮した商品、サービスづくりを応援していこうという活動です。
具体的には以下の行動を推奨しています。

  1. 必要なものを必要なだけ買う。本当に必要かどうかを考えてから買いましょう。
  2. 使い捨て商品ではなく、長く使えるものを選ぶ。ごみになるまでの時間が長いもの、そして修理しながら使えるものを選びましょう。
  3. 容器や包装はないものを優先し、次に最小限のもの、容器は再使用できるものを選ぶ。
  4. 作るとき、買うとき、捨てるときに、資源とエネルギー消費の少ないものを選ぶ。木材から得られるもの(木製品)はカーボンニュートラルであるとされています。
  5. 化学物質による環境汚染と健康への影響の少ないものを選ぶ。オーガニック食材がこれにあたります。
  6. 自然と生物多様性をそこなわないものを選ぶ。FSCやREPOSなどの認証マークのついた商品を購入しましょう。
  7. 近くで生産・製造されたものを選ぶ。
  8. 作る人に公正な分配が保証されるものを選ぶ。フェアトレード商品を購入することで途上国の人々の生活支援と経済的自立のための活動を応援しましょう。
  9. リサイクルされたもの、リサイクルシステムのあるものを選ぶ。
  10. 環境問題に熱心に取り組み、環境情報を公開しているメーカーや店を選ぶ。

ものやお金で語られる豊かさではなく、時間や人とのつながりといった豊かさに転換していく必要があります。グリーンコンシューマーは、そうした「豊かさ」の価値観を転換していくための考えであり、行動提案でもあります。
参考 グリーンコンシューマー活動[認定NPO法人環境市民]

ひゅっげ

「ヒュッゲ」とはデンマーク人が大切にしている時間の過ごし方や心の持ち方を表す言葉です。 他の北欧の国々と同じく、デンマークは 税金が高い国です。消費税25%、所得税55%、車の購入に280%の税金がかかります。其の分、社会保障がとても手厚く、医療費も無料、教育費も大学まで無料ということになっています。だから「将来が不安だからお金を貯めておかなくては」「子供の養育費の為に働かないと」と日本人にありがちな考えにはならないのかもしれませんね。
女性の社会進出や出産後の社会復帰などジェンダー平等の先進国としても有名であるのも、こういったお国柄なのだからでしょうか。
デンマークの人達の気質や文化、考え方など、「ヒュッゲ」を感じる具体的なヒントとして以下のようなことが言えるようです。

  1. 家族や友人との時間を大切にする。
    時間の流れを意識する デンマークの人は残業をしないそうです。
  2. 無理をしない 見栄をはらない 素の自分を見せることが、素の付き合いに繋がるという思考のデンマーク人が多い。
  3. 自然を身近に感じる。
    デンマークでは車の登録料が高いこともあり自転車に乗る人が多数 冬が長いデンマークですがその分夏は思い切り外の生活も楽しみます。
  4. 物を大切にする。
    デンマーク人は家で過ごす時間が長いことからか、椅子をとても大切にするそう 選ぶ時もとても長い時間をかけてじっくり選びます。
  5. 心地いい空間作りを心掛ける。
    デンマークでは昼夜問わずキャンドルを灯す習慣がある。
  6. ミニマムに暮らす 余計なものは持たない。
    でも全て捨てるという訳ではなく先程の椅子のように必要なものにはお金を惜しまないそう。
  7. 手作りのぬくもりを感じる。
    手作りならではのぬくもりや温かみは、心を豊かにしますよね。
  8. 仕事に縛られない。
    デンマークの人はワーク・ライフ・バランスを取るのが非常に上手です。仕事に対するモチベーションもお金や出世などよりも、自分の仕事が好きだと感じ、自主性を持って働いている人がほとんどです。
  9. 今あるものに感謝する。
    厳しい気候の中でも、家での過ごし方を工夫したり、生活の中で小さな幸せ見つけて楽しんでいます。
  10. 幸せは自分で見出すもの。

参考 デンマークの「ヒュッゲ」から学ぶハッピーライフ~幸せへのヒント10

マクロビオティック

「 従来の食養に、桜沢如一による陰陽論を交えた食事法ないし思想である。長寿法を意味する。玄米、全粒粉を主食とし、主に豆類、野菜、海草類、塩から組み立てられた食事である。身土不二、陰陽調和、一物全体といった独自の哲学を持つ。」引用 WikiPediaマクロビオティック

陰陽とはマクロビオティックの原理であり、また東洋の伝統的な世界観でもあります。ごく簡単にいえば、「陽」とは収縮していく求心的なエネルギー(またはそうした状態)、「陰」とは拡散していく遠心的なエネルギー(またはそうした状態)を指します。ただし陰陽はあくまで相対的なものです。あるものや性質を陽と決めたとき、初めて陰となるものや性質が出てくるのであって、尺度によっては同じものが陰になったり陽になったりすることに気をつけなければなりません。一例を挙げますと、夏は暑いから陽、冬は寒いから陰と考えられますが、視点を変えると夏は体をゆるませ陰性にする季節、冬は体を縮こまらせ陽性にする季節ともいえます。
人間の健康や性格、それに自然現象や政治経済にいたるまで、陰陽どちらにも偏りっぱなしになることなく、二つの性質がほどよく保たれているなら、それらは穏やかでゆったりしたものとなります。ものごとを適正にしておくには、この「陰陽バランス」を考慮に入れる必要があります。
この陰陽の法則が森羅万象に当てはまるなら、当然、人間の健康にも、それを支える食べ物にも適用できるはずです。陰の性質は遠心的・拡散的であること、上昇性、静かさ、冷たさなどです。陽の性質は求心的・収縮的であること、下降性、動き、熱さなどです。

極端に陰性な食べ物や極端に陽性な食べ物を除いた、一定の範囲内のものを食べていれば、体も心もバランスがとれてきます。基本的には、別表の右にも左にも偏らず、真ん中あたりのものを中心に食べていれば健康を保てることが、経験的にわかっています。 ただし、固定的で観念的な陰陽論に陥ることは避けたいものです。「これは陰か?陽か?」とばかり考えて頭デッカチにならないよう、気をつけてください。
また、「一物全体」はその言葉通り、一つの物を丸ごと全体を食べる、という意味です。野菜なら皮、根、種も含め丸ごと食べましょうということです。
食べ物の中の要素はいくら分析しても、し尽くすことはできません。自然の摂理にしたがい、住んでいる土地の季節の食べ物を、一定の範囲内でいろいろ食べることが、陰陽のバランスを保つ近道ともいえます。
参考 マクロビオティックWebホームページ

野焼きの火を見て、「カーボンフリーなるものは」を悟る

 カーボンフリーについて、いろいろ調べていましたら、気がつけば、半年の年月が経過してしまいました。
地球温暖化は、我々の暮らしにどのように影響しているのでしょうか。大多数の人は実感できずに、日々の生活にいそしんでいることでしょう。

 カーボンフリーという言葉は、いろいろ調べてみても、明確な概念として位置づけられていないようであります。ただ、英語としての言葉の意味をそのまま当てはめてみると「脱炭素化」ということでしょうか。「カーボンニュートラル」とか「カーボンオフセット」などと、煮たような意味合いを持っており、後者のほうが一般的に使用されているようです。

 2011年、東日本大震災、福島第一原子力発電所事故による、放射能飛散、後世に残る大惨事があり、その後に、脱原発を表明したのは、韓国、ドイツ、台湾、スイスの4カ国である。一方、原発を所有している大多数の国がエネルギー政策の中に原子力発電の存在を容認している。日本においても、エネルギー基本計画の中にしっかりと「2030年に実現を目指すエネルギーミックス水準:原子力の電源構成比率20~22%」として位置づけられている。

 そのようになっている理由は、地球温暖化対策、脱炭素化推進の政策が大きくかかわっている。人々が豊かな暮らしを実現しようということが、消費を生み、より多量なエネルギーが必要とされてきた。現代人は、テレビ、冷蔵庫、エアコン、パソコン、スマホなどなど、電気なしでは生きていけない。古代人や、今も昔の伝統的な暮らしを継承している民族からすれば、なんとも情けない限りである。

 文明人の暮らしを満たす為に、電気などを生み出すエネルギーが必要とされてきた。そして、これからの未来にも、そのおもいは変わらないであろう。そんなことを前提に考えるならば、必要枠のエネルギーは確保しておかなければいけないという国としての施策が浮かび上がってくる。

 原発は、いろいろな思惑が錯綜してはいるものの、二酸化炭素を排出しないエネルギーであり、かつ安定的に電力が確保できるということで、政府のエネルギー政策を構築する上で、都合の良いものとして、位置づけられてきたように思える。
「脱炭素」ということばがそれを影ながら後押ししてきた。そのことが、「経済活動をさらに推し進めていかなければならない」というおもいと相成って、原発容認ということにつながっていったと思います。

 カーボンフリーを推し進めなければいけないのは「地球が、人間活動によって、急激に気温が上昇し、動植物を含めた、生態系に著しく支障をきたす。」ということである。まさに環境問題として捉えなければいけないと思います。その解決策として、原発稼動を持ち出していくこと自体、誤った選択になると思います。日本では、震災以来、すべての原発がストップしていたのが、1基、2基と再稼動され始めてきています。九州では川内、玄海原発が動き、国の方針で、ベースロード電源として原子力発電が位置づけられている為、優先給電のランクの低い太陽光発電、風力発電によって生み出された電力が、多量にすてられるような事態となっています。電力の需給バランスをコントロールできる技術的なことに加え、日本のエネルギー政策そのものを抜本的に見直す必要があると思います。

「地球が危ない」、でも「生活レベルをあげたい」、この両者を満たそうと思わず、前者を優先すべきであり、特に、先進国は、国民一人ひとりが、その重い責任を背負っていると考えます。

 野焼きの煙を見ていると、古代人や、今も、伝統的な生活を守り続けている民族が、「大地に火を放ち、そののち、耕し、種をまき、作物を収穫する。」「そして、数年かけて、年毎に植える作物をかえ、地力が落ちてきたら、何年か休ませる。」という行為が、あながち否定すべきものではないと思えてきます。野焼きは一見、自然破壊のように思えますが、とりわけ、古代から行われてきた焼き畑農業は、十分に土壌環境を回復させた大地に火を放った跡に作物を植え、そして、地力が落ちてきたら、また数年かけて、回復を待つという、自然の摂理にかなったものであると考えます。もちろん、一方的に、地力を収奪し尽くしたり、化学肥料、農薬を多用したり、必要以上に焼き払ったり、煙害を引き起こすような行為は言語道断である。古代から受け継がれた焼畑
農法は、むしろ、大地の神々に感謝の意をささげ、自然と共生して行われてきたものと思われる。

 脱炭素化に係わる、いろいろな打開策を調べてきたが、私論ではありますが、その解決策の根本にあるのは、昔から受け継がれてきた、人と自然との関係の中から導き出されたものであるとおもう。「地球があたたかくなりすぎている。」ということが、ビジネスになり、取引され、危機感が薄れていき、やがて、日常の中に埋もれていく。世界、国家ではなく、いまこそ、ひとりひとりが、この問題に真摯に向き合い、生き方を見つめなおすときであると考える。

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